ネットの中のあなたに恋をした

NALI

顔も性別も知らない人





「スマホのネットゲームかぁ」


SNSの中のゲーム広告を見つけた。

「戦争ものは苦手なんだけど・・・・・パズルゲームみたいに焦ってしなくてまったり出来そうだし、やって見ようかな」



「アバターの名前と顔かぁ性別は入れなくても大丈夫なのね・・・・・・・・・そうね名前は『シロ』顔は女のコの顔にしよう性別は書かないっと」


私は大事な休みの日曜日に、彼氏もおらず、友人達もほぼデートで誰も私と遊んでくれずに家でゴロゴロしていた。



ボーッとSNSを見ていて見つけたネットゲーム。



毎日仕事が忙しく、

帰ってからの趣味もなく、学生の頃はテレビゲームでロープレをするのが楽しみだったけど、

いつの間にか彼氏が出来るとゲームをする時間がなくなり、ゲーム自体に興味がなくなっていた。




「ふーん。なるほどチーム戦なのね。どこかに所属かぁ。どっか初心者入れてくんないかなぁ」


最初に所属したチームは30人のチーム

「意外と多いのね」


やってみると何だか奥が深く面白くなっていた。最初の方はレベルが毎日のように上がり、達成感が半端ない。

戦争物なんだけど、戦いも学校の運動会みたいな感覚。対戦後は仲良くなってるみたいな?


もちろん理不尽に戦いを挑まれたりすると嫌な気持ちになったりするけど。



2週間経って気づいた!

「私、仕事終わるのが待ち遠しい。家に帰ってゲームするのが楽しみになってない?」



それと反比例して、チームのメンバーがどんどんオフライン時間が増えている



「この人今日もログインしてないなぁ」



30人いたチームも結局3人しかログインしなくなっていた。



「楽しかったのに〜何だか寂しいなぁ活気がないと、やりがいもないのよね」



そんなとき2件の個別メールが届いた。

1つは日本語

1つは英語

両方とも内容は一緒だった


『私達のチームの仲間になりませんか?』



その時の私のゲームレベルは60だった。



え?いいの?でも今のチーム3人はログインしてるんだよね。

仲間裏切るのは嫌だな。


偶然なのか1人が何も言わずにチームを出ていった。


「一緒に頑張ってたのに一言もないの?」


チーム内ではチャットが出来たがこのチームでの会話はほとんどなかった。



「決めた!チームを変えよう」


私は2つの誘いのうち日本語の誘ってくれた方に聞いて見た。


『そちらに行きたいのですが、まだ2人稼働しています。一緒にいけますか?』



そのチームリーダーは

『大丈夫ですよ。枠を空けておきますので申請して来てください』



私は初めてチームのチャットに

『別のチームに行きます。一緒に行きませんか?』



それに行き先のチーム名を載せて私は移籍した。




そのチームは180人の大きなチームだった。24時間誰かが必ずログインしている。

ログインがあまりないとチームリーダーがどんどんメンバーを入れ替えていた。

「枠を空けるってそういう事だったんだ。私が入った分ログインされてない人が外されたんだ。最高何人チームに入れるとか何にも知らなかったな」



私は前のチームレベル60は最高位だった

でもこのチームでの60は最下位だ

「すっごい!みんなレベル高いー!」


その中でもひときわ目立つ人を見つけた。


名前は『アシル』さん性別は書かれてなくてアバターは女性の顔だった。


チームチャットはみんなが書き込んでいた。その中でアシルさんは『僕』って書いている。


「え?女のコなのに『僕』呼び?かわいい」


しかもかわいいのに戦闘になるとめっちゃ強い!


ギャップ萌えって本当にあるんだ


私は一気にアシルさんのファンになった。


私はなかなかチャットに恥ずかしくて書き込みが出来なかった。




1か月が過ぎた頃

一緒にチームを移ろうって誘ったうちの1人が入って来た


「レベルが60になるまで入れなかったのかな。私が離れるときその人はレベルが50ぐらいだったから。

でも来てくれて嬉しい」

もうひとりの人は結局来なかったけど。


私は180人に埋もれる存在感のない人。率先して来てくれた前の仲間にも挨拶チャットが入れられない弱虫だ。




私のレベルは70に上がっていた。

そんな時に憧れのアシルさんと選抜だけが戦いにいけるイベントとに私も選ばれた!


「嘘〜!やったいいの?めっちゃ嬉しい!!」


私は嬉しくて2日後のイベントまで仕事中も嬉しくてニヤニヤしてしまった。



イベントは夜の23:00寝落ちしないようにアラームまでセットした。


時間通りにイベントに無事に参加できたのはいいけど、わたしは弱すぎた。相手にやられまくっている。


そんな時にチームチャットにアシルさんが

『後は僕に任せて!下がってていいよ』


「キャーアシルさんかっこよすぎるー!!」

アシルさんは有言実行で1人で敵を倒してくれた。

「やばすぎ!かっこいい」


私はベットの上でのたうち回りながらアシルさんのかっこよさに感動していた。


イベントが終わるとアシルさんは仕事の都合で3日ほどログイン出来ないと

チームの中の仲がいいメンバーに連絡があった。



「アシルさん社会人なんだ〜何歳なんだろう。若いって思ってたけど以外と年上?女のコじゃなくて男性?」いろいろ想像するけど

どんなアシルさんでも

ゲームの中のアシルさんが私は好きだ



そう思ったらスーッと自分が納得した。



アシルさんが80歳のおじいちゃんでも

16歳の女子高生でもかまわない


ゲームの中のアシルさんに会える毎日が嬉しかったし楽しかった。



3日間会えない事で自分が名前も声も性別も知らない人に恋をしていた事に気づいた。





私は今幸せだ。
















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