ノルダン王国滅亡記

プロローグ

ここではないどこかで

　あるところにノルダン王国という国があった。北と東西の三方を海に囲まれた極北の小さな国で、国民は貧しくも平和な日々を送っていた。

　しかし、ある時に何もないはずの北端の岬から、悪魔の軍勢が現れて、人々の生活を脅かしはじめた。

　悪魔の軍勢とノルダン王国との戦いは、決着がつかないまま何年も続き、その間に人々の暮らしは大きく変わってしまった。王国の北部にあった集落はことごとく攻め滅ぼされ、王都マグニポールは要塞のようになり、周辺の小さな村落までもが石壁の砦を築くようになった。

　悪魔との戦争はいつ終わるのか、人々は不安の中で英雄の出現を待ち望んでいた。