(※復元成功)特A事案「Mr.テディは一体何処へ?」⑤
--それから、”八神”は何を?
山井「我々を連れて、最初の惨殺事件が起きた現場付近に向かいました。近所だったのですが、八神さんの運転する車に乗って行きました」
陽子「その間に、また警察から電話があって……」
山井「また近所で殺人事件があったって知らせで……その一報を聞いて、八神さんがまた話を……」
--どんな話でしたか?
山井「最初に、『あなた方の娘さんは、何かしらの特殊能力を持っている。それは間違いないですか?』って。そうですって答えると、『さっきのお話から察するに、自分と他者の体を入れ替える、といった能力では?』と……その通りだったんで、そうですと答えました」
陽子「そのあとは、少し深刻な顔になってました。それから、『あなたの娘さんと入れ替わった人物についてお話しましょう』って……」
--”八神”には、入れ替わった相手が分かっていたのでしょうか?
山井「途中から気づいたようですね。むしろ、『私は本来ソイツを追ってきたんです』って言ってました」
--それから、どんな話をしていましたか?
山井「『そいつは、とても残忍なヤツです。行く先々で、たくさんの人を殺めてきました』と。『数年前から日本各地を転々として、快楽のままに殺人を犯してきました』って話でした。ゾッとしました。そんな奴が、娘の体に入っているのかって……それで妻が……」
陽子「はい……ひょっとして、近所で起きている殺人事件もって……」
山井「八神さんは本当に苦虫を噛み潰したような顔をして、『その可能性は高いです』と……」
陽子「それで私はまたパニックになって……取り乱してしまって……」
山井「私も頭が真っ白になりました。でも、多少なり冷静な部分も残ってまして、『そんな危険な奴が、いつ娘と入れ替わったんですか?』って思って、八神さんに聞いてみたんです。そしたら、『ヤツについて、もっと詳しくお話しましょう』と言ってくれました」
--正体については何と?
山井「最初に、とても厄介です、と。実はヤツも特殊能力を持っているとの話でした。映画とか漫画でよく見る、サイコキネシス……物とか人とかを念じるだけで動かせる能力と説明してました」
--その説明を聞いて、驚かれませんでしたか?
山井「少し驚きましたが、何せ我々は娘の能力を目の当たりにしてますからね。もう、何が起きてもって感じでしたよ」
--他には何と言っていましたか?
山井「『娘さんの部屋に侵入したヤツは、いつも通りサイコキネシスを使って暴れまわろうとしたのでしょう。部屋が破壊されていたのはそのせいです』って。『しかし、そんななか娘さんと体が入れ替わってしまった。ヤツも驚いたでしょうが、すぐに歓喜に変わったはず。自由に動ける、良い体を手に入れた、と思ったはずです』と言ってました」
陽子「そんな危険な奴が娘の部屋に潜んでいたなんて、とずっと鳥肌が止まりませんでした」
山井「続けて、『さらにヤツが厄介と言えるのは、警察や司法では全く裁けない相手だからです』と。そして、『あなた方が侵入に気づかないのも無理はない。そもそもそいつは人ではない』って……それで妻の持っていたぬいぐるみを指差して、『ソイツが娘さんと体を入れ替えた張本人です』って……」
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