特A事案「蛇巫女」に関するインタビュー記録⑥
東堂「……誰だ?」
−−はい?
東堂「誰なんだ、そいつは」
−−ご存じない、と?
東堂「ああ。そんな奴は知らん」
−−”八神雄二”は、”蛇巫女”事件の裏側を調査し、馬場さんに真相を話してくれたそうです。あなた方が調査を依頼したのではないのですか?
東堂「裏側……真相……アンタ、さっきから何を言ってるんだ?」
−−ご存じないのですか?
東堂「ご存じも何も、俺らで全部解決したんだ。他にこの事件に関わってるやつなんていない」
--それでは、馬場さんのお父様の話は……?
東堂「父親……事件の発端となった坊主の親父さんか。それがどうした?」
−−私からお話していいものかわかりませんが……では、よろしいですか?
東堂「あ、ちょっと待ってくれ。同席させたい奴がいる……葵!!」
(襖が開き、すり足のような足音)
葵「はい」
東堂「この人……前に話した編集さんだ。これから、”蛇巫女”に関わる話をしてくれるらしい」
葵「……なぜ、その名を?」
東堂「そこらへんも含めて、この人は知ってるらしいぜ」
−−では、よろしいでしょうか?
東堂「頼む」
(15分ほどかけて、インタビュー記録④について説明)
葵「……そんなことが……?」
東堂「……確かに、ずっとそれだけが謎だったんだ。何かあるとは思っていたが、そんなことになってたのか……馬場康介、確かに聴いた名だ」
--私が聴けたのは、ここまでです。
東堂「その、『八神雄二』ってのは何なんだ? 俺らや……馬場康介と同じような”拝み屋”の類か?」
--それはわかりません。私も、調査中です。
東堂「わかったら教えてくれ。俺も気になる……葵、どうした?」
葵「……八神……雄二」
東堂「危険なやつか?」
葵「……わかりません。ただ、その人の名を聞くと……震えが止まりません」
東堂「お前がそうなるってことは、相当だな」
--そちらの方は……?
東堂「まぁわかりやすく言うと、”霊能力者”ってやつだ。なんだ、気になるか? 取材するか?」
--そうですね……ただ、今は「八神雄二」を……。
東堂「ま、そりゃそうだよな……よし、俺も調べといてやる。同業者から、何か話聞けるかも知れねぇしな」
--ご協力、感謝します。
(音声記録、終了)
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