ラビングデッドLUV
エリー.ファー
ラビングデッドLUV
ゾンビになってしまいました。
どうしようかな。
この後、どうしようかな。
コンビニ行こうかな。
しょっぱいものを食べたい感じがする。
血を飲みたいとかはないかな。
まぁ、ゾンビになって少ししか経ってないし。
とりあえず、髭でも剃るか。
あ、ない。髭がない。
マジか。
肌もちょっと綺麗になってる。
さすがにゾンビだから肌の色は悪いけど、アトピーとかおさまってる気がする。髪の毛は結構抜けたけど。まぁ、いいか。これくらいのことは我慢できるな。
髭が生えないのは、たぶん、その体力もないってこと。
違うのかな。間違ってたら、どうしよう。
冷蔵庫にカルピスがあったはずだから、ちょっと飲もう。
あ、昨日寝る前に飲んだんだ。じゃあ、歯を磨かずに寝た可能性が高いな。
でも、ゾンビだし虫歯になっても困らないか。
いや、習慣だし。磨くか。
ゾンビになっちゃったなあ、絶対口とか臭そうだよなあ。
なんで、自分の口臭って分かんないだろう。人間って不便だなあ。
あ、歯磨き粉がない。
じゃあ、うがいでいいや、なんか面倒臭くなってきた。
午前七時二分。
結構、早起きしちゃったな。
コンビニでサンドイッチを買って、公園に行くか。
めっちゃいい朝ごはんじゃん。めっちゃいい時間を過ごせそうなんだけど。
おしゃゾンビじゃん。おしゃゾンじゃん。
なんか、本を一冊持って行こう。
漫画もいいけど、小説もいいけど、エッセイもいいけど、詩集がいいな。
北原白秋の詩集がどこかにあったはずだな。
どこだっけ。
洗濯機の上かも。
あった、そうだ。ここに置いたんだ。
なんとなく、置いたんだ。
栞は、挟まってるな。じゃあ、大丈夫だ。
で、あとは財布か。
かばんの中かな。
あ、ポケットティッシュか。とりあえず持って行こう。ハンカチも必要だな。
タンクトップでいいか、楽だし。
あ、寝癖直さないと。
なんか、ぼおっとしてるな。ゾンビの影響かな。
いや、ゾンビになる前からこんな感じだったか。
テレビをつけよう。
「臨時ニュースです。ただいま、街中にはゾンビが溢れかえっており被害が拡大しております。あの渋谷が、新宿が、六本木が、血に染まっています。政府は現状の把握ができていないとして、未だ対策を打っておりません。被害は拡大するばかりであり」
外には出られなそうだな。
そう言えば、友達にまだ家にテレビを見ているのかよっていじられたなあ。
駄目なのかな、テレビを見るのって。
古いのかな。
結構、テレビとか好きなんだけど。この感覚は間違っているのかな。
他のチャンネルを見てみよう。
「ピコピコマジックパワーで、一気通貫極彩色完全ビーム、発射ぁっ」
あぁ、さすが帝都テレビ。
こんな時でも、マジックメルちゃんリーチでポンのアニメの放送を止めないとは。
心から信頼できる。
さて、家の中でどう過ごそうかな。
ビールでも飲むか。確か、結構余ってたような気がする。
あ、キャンペーンをやってる。シールを集めて応募すると、巨大ジョッキプレゼントなんだ、へぇ、欲しいなあ。こういうの応募したことないし、ちょっとやってみようかな。
「ここで、番組の途中ですが」
あぁ、帝都テレビもニュースになってしまった。
こりゃ、世界も終わりだな。
あはは。
ラビングデッドLUV エリー.ファー @eri-far-
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます