なんで転生したんだろう?
@pocket777
第1話 奇妙な体験
死というのはこの世の中で最も恐ろしものだと言う人もいるが、俺はそう思わない。
今までの退屈な生活に終わりを迎えることのできるものと思えば全然怖くない。
こんな考えを抱いていたらある日、奇妙な体験をすることになった。
「……えっ?」
俺は、突然目の前に出現した謎の光に包まれたと思ったらいつの間にか見知らぬ森の中にいた。
「ここはどこだ? それに俺はさっきまで何してたんだ?」
どうやら俺は死んだ。いや、死んでいないとこの状況に説明がいかない。
「転生した...?」
今まで憧れていた文字の世界。しかし、憧れながらも存在を否定し続けていた状況に陥っている。
「いやっ!そんなこと絶対にありえない!きっと明晰夢かなんかだ!」
俺は自分の頬をつねってみた。……痛かった。これは夢ではないようだ。
ということは……。
「異世界転移!?」
小説で読んだことがある。確か主人公が何らかの理由で別の世界へと召喚され、そこで活躍する話だったはず。
もしその通りならこれからの生活は一変するだろう。
「それじゃあ、俺はこの世界で勇者になって世界を救ったり、悪を成敗したり...」
俺の胸の中に熱いものが込み上げてくる。これぞまさにファンタジー!!
しかし、一向に人が近づいてくる気配を感じない。周りを見渡してもあるものは木だけ。
「……もしかして俺一人だけ?」
とりあえずここから移動しよう。ここがどこか分からない以上動き回るのは危険かもしれないが、ここにいても何も変わらないからな。
周りの散策も兼ねつつ森の中を一心不乱に歩いて行った。光があまり刺さないこの場所で何かを探すのはとても厳しい。
しかし、もしここで人かあるいは食料を見つけなければ転生の意味なく今度は本当に死んでしまうだろう。
そして、しばらく歩いていると前方に何かが見えてきた。
「あれは……家か?」
そこには古びた小さな小屋が建っていた。中からは明かりのようなものが見える。
「すみませーん」
ドアをノックし声をかけてみる。.........
返事が返ってこない。
「誰もいないのか?すみませーん」
ノブを握りながら声をかけるとノブが回る。不用心な人もいるもんだなと小屋の扉を開けるとそこには誰もいなかった。
「……留守かな?」
もう一度呼びかけてみようと思い、中に入ろうとすると足元に何かが落ちていることに気づいた。
「なんだこれ?紙切れみたいだけど」
拾い上げて見てみるとそれはメモのようなものだった。なんと字は日本語と瓜二つで読むことができたのである。
「今晩、夜が明ける前に”儀式”を開始する」
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