純文学なんて、書けなくて。
小坂あおい
プロローグ
太宰治が嫌いだった。
あの斜に構えた文章が、苦手だった。
それと、小学生の時、国語の授業で使った資料集に載っていた、太宰治の顔写真に落書きしているのが先生にバレて怒られたから、尚更嫌い。
それでも、読書家の父の薦めで太宰治の小説は昔から読まされ続けて来た。
斜陽、人間失格、走れメロスだかエロスだか。
正直何も面白くなかった。
琴線に触れる事なんて、一切なかった。
だけど、それでも、少なくとも彼の影響で、僕は、小説を、書き始めた。
それは、とても浅はかな理由だと思う。
それが、始まりだった。
1度、物書きになってしまえば、抜け出せなくなる。
目に見える情景が、描写表現になり、人の仕草を言葉で表してしまいそうな感覚になる。
その感覚は、夢中とか、没頭とか、そう言う類の言葉ではない。
じゃあ、その感覚にぴったりの言葉を探した時、それを上手く表現出来る言葉も、見つからない。
ただ、1番近しい言葉で、表現するとしたら
たぶん『呪い』という言葉が、最適なんだと、思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます