IF... 織田信長 ~天下統一再び!~
★華瑠羅★
第壱話
ここ日ノ本と呼ばれた時代
時は西暦1582年6月2日、京の本能寺での日本歴史上もっとも有名な『本能寺の変』が今まさに起ころうとしていた。
信長は騒々しい音で目を覚まし蘭丸を呼ぶ!
「蘭丸!外が騒がしいがどうしたのだ!」
「は!上様、大変でございます!謀反です!」
「であるか!どこの馬鹿だ?」
「は!馬印を確認したところ桔梗紋、明智光秀との事です!」
「何?!あの金柑がか?馬鹿な、あやつが謀反だと?あれだけ目をかけてやった恩を仇で返すとは!」
「もう寺の周りは明智の軍勢で取り囲まれているかと!上様、どうしましょう?」
「是非も無し!蘭丸、弓と矢を持ってまいれ!」
「は!」
信長は寝室を出て果敢に弓で応戦した…
「ええい!数が多すぎる!こんな事なら信忠を返すのではなかったな… 致し方ない!」
「どうなさるのですか?」
「最早これまで、蘭丸!ここより先に兵を1人も通すな!」
「上様… は!身命をとして言いつけを守ります!」
「そなたには、いや… 地獄で再会しようぞ、ではな!」
信長は燃え盛る一室で
(まさかこんなところで、天下統一の夢が絶たれるとはな…)
『人間五十年 下天の内をくらぶれば 夢幻の如くなり 一度生を得て 滅せぬもののあるべきか』
「悔いが無いと言えば嘘になるが… さらばじゃ!!」
と、本来はここで自害して終わるのだが…
織田信長は別の空間で目を覚ます。
「ここは、どこだ?真っ白で何もない所であるな…」
そこに、どこからともなく声が聞こえて来た。
≪そこの御仁、何かお困りですかな?≫
と、顎鬚と髪の長い老人が信長に声をかけた。
「困ってると言えば困っておるが、ここは地獄か?」
≪ここは地獄ではない。しいて言えばあの世とこの世の間かのう。≫
「であるか…」
≪おぬしには未練があるように見えるぞ?≫
「未練か… おかしな話ではあるが聞いてくれるか?」
≪何やら溜め込んでおるようじゃな、話てみよ。≫
信長は見知らぬ老人に、今までの経緯を事細かく話して聞かせた。
≪うむ。では、もう一度だけ現世に戻ってやり直してみるというのはどうじゃ?≫
老人はにこやかに信長に提案したが、信長は冗談だと思い、その話に付き合ってみる事にした。
「それは是非も無し。だが、もしそのような事が出来るなら生前の記憶を持ったまま生まれ変わってみたいものよなぁ。」
≪ほう、生前の記憶をとな。(それも面白いが… 捻りを加えてやるかの。)どうせなら、おぬしが死んだ後の100年後と100年前の世界で起きた全ての記憶を一緒に持って行くのはどうじゃな?≫
「ほう… それは面白いな!」
≪では、もう一度やりなおしてみよ!そして、思う存分生きてみよ!おっと、時代を西暦1549年まで戻しておいてやるわい!ではな織田信長!!≫
「おい!ちょっと待たれよ!おい!!」
信長の目の前が暗闇に成ったと思ったら尾張の名古屋城が見える丘に1人立っていた。
信長は我に返って
「ここは尾張か懐かしいな。そして、あの老人が言った通りワシも若返っておるではないか!」
(てっきり冗談だと思っていたのだがな…)
「この時代だと、まだ親父殿も平手のじぃも生きておるやもしれんな。ワシを蘇らせ、いったい何をさせたいのやら… まぁ何にせよ、今度こそ天下を取ってやるぞ!」
あの老人の目論見は分からないが信長の物語は再び始まる…
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