危機感が足りない!
山での1週間の軍事訓練、ご苦労だった。最後に、俺が上官として諸君らに説教をする!
いいか、諸君らにはまだまだ危機感が足りない!分かるか?危機感だ!戦場では常に死の危険がつきまとう!俺たち軍人はその訓練の一環として、いついかなる時でも気を張ってなきゃいけないんだ!
例えば…ヤマダ隊員、手を出せ。うむ、訓練で土まみれになった、いい手をしているな。
さて、ここに手榴弾がある。ピンを抜けば爆発するというのは、もちろん全員知っているだろうが…。
ではこのピンを抜いて──ほれっ、ヤマダ隊員!貴様の手に置いたぞ!さあどうする!
……だああっ、遅い遅い!投げるのならもっと早く投げろ!今渡したのが偽物だったから良かったものの、ここが戦場なら、貴様も周りにいる隊員達も全員あの世行きだ!
これこそ危機感の欠如だ!俺なら渡された瞬間最速で投げるか、そもそも受け取ろうとしない!日常の中、何時でも危険へのアンテナを張り続けていれば、誰でもそういった芸当ができるようになるのだ!
諸君!諸君らにはそういった、リスクヘッジを素早くできる頭脳を持って貰いたいのだ!君ら一人一人の行動次第で同じ隊の人間が救われるのか、それとも死に至るのかが決まるのだから!
俺からの説教は以上だ!今言った言葉を、胸によく刻み込んでおくように!では、敬礼!!──
──こう豪語し終わって歩き去ったホンダ上官は5秒後、ヤマダ隊員がイタズラで掘った落とし穴にものの見事に落ち、その様子を見ていた隊員達は一斉に吹き出した。
なおこの出来事により彼らは追加で2週間、地獄のブートキャンプでしごかれる羽目になるのだが──。
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