カクヨム賞 『宇宙でお手軽ランチタイム』の感想

宇宙でお手軽ランチタイム

作者 水涸 木犀

https://kakuyomu.jp/works/16816927861040204559


 船外活動後、ミノリに賞味期限が迫る小豆入りデニッシュパンを勧められたオウルは、彼女が持ってきた柚子味噌が気に入り、今後も少し分けてもらう話。


 本作は企画物で、『料理研究家リュウジ×角川食堂×カクヨム グルメ小説コンテスト カクヨム賞』を取った作品。審査に際し、最も重要視した点は「いかに料理がおいしそうに描かれているか」「料理を注文した後、その料理の登場する小説を読みながら、いつ自分のもとへ届くのかとワクワクしてしまう物語を選んだ」とあります。


 もはや宇宙で手軽にランチを楽しめる時代になったのかもしれない、と思わせるタイトルがついてる。どんな話か楽しみだ。


 小豆入りデニッシュパンに柚子胡椒を付けて食べるのが果たして合うのか。

 非常に気になります。


 主人公オウルの一人称で書かれた文体。自分語りで状況描写を実況中継している。

 それぞれの人物の思いを知りながら、結ばれない上古ユニもどかしさを感じる共感する物語で書かれている。

 賞味期限の迫る小豆入りデニッシュパンを食べさせるため、ミノリは、甘いものが苦手なオウルを誘導したり騙したりする。

 オウルは、本来持っている分析する力を発揮。オウルとミノリの関係性が逆転。ミノリは小豆入りデニッシュパンの消費を彼に手伝ってもらうことを放棄したかはわからないが、柚子味噌を分け合う関係性が再構築される。


 シンプルで短い話を楽しめるのは、宇宙船内の食事という、非日常での出来事だから。農作業のお昼や避難所のお昼などでも成り立つかもしれないが、宇宙という日常からかけ離れた舞台のほうが、インパクトはある。

 あまり無重力さは感じない。重力制御ができているのだろうか。その変がわからない。パサパサしたものは飛び散るので、今回登場したデニッシュパンはどうなのだろう。

 缶詰パンは「宇宙食スペースブレット宇宙のパン」かもしれない。実用化されているデニッシュパンなので、飛び散る恐れは少ないのだろう。

 缶詰、レトルト、フリーズドライ、調味料もあり、フレッシュなフルーツを運んだり、ISS内でレタスを栽培する実験なども行われているので、本作でも地上と変わりないようなものがた食べられつつあるのかもしれない。

 宇宙いるとカロリーを多く消費するため、とくにオウルは船外作業をし終えてお腹もかなり空いていると思われる。なので、多くのカロリー摂取を必要とする。

 オウルは、小豆入りデニッシュだけではカロリーは足らないと思われるので、このあと追加でなにか食べたかもしれない。

 

 ミノリが持っている柚子味噌は、個人で持ち込めるおやつの部類と思われる。そもそも、なぜミノリは柚子味噌を持ち込んでいるのか?

 宇宙に行くと血液や体液が人体の上方に移動するため、顔がむくみ鼻づまりになる傾向がある。結果、味の感じ方が若干鈍くなる。なので、より濃い味付け、スパイスが効いた味付けが美味しく感じるのだ。

 宇宙食はその点を考慮されて、濃い味付けにして作られている。

 とはいえ、宇宙での塩分が濃い食事は骨密度を低下させる作用があるため(ただでさえ宇宙は無重力なので骨密度は低下する)、塩分が少なめでスパイスを効かせた調理がなされている。

 食べたとき味が薄く感じる場合、塩、胡椒、ケチャップ、わさびなどの調味料スパイスも持ち込まれているので、追加して食べることができる。

 ミノリの柚子味噌は、この調味料だろう。

 調味料として、JAXAはマヨネーズと醤油を出している。味噌はどうなんだろう。実用化が待たれる。

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