困ってる女の子助けたら次の日、学年1可愛い佐伯先輩にコスプレ誘われた話

旭川

第1話 学年1と噂される美少女告る!?

放課後、日も沈んできた頃 河川敷で何食わぬ顔でバットで素振りをしている少年がいた…

一見青春のように見えるがバットの振りはデタラメでとても、経験者とは思えない…

それもそのはず、彼はイチタローの生き様にただただ憧れ素振りを始めたのだから…


「まぁ、今日はこれぐらいでいいか、イチタローの5分の1ぐらいは振っただろうし…」


おれの名前はケンタ。部活にも属さずにただ気まぐれで放課後ここで素振りをしている変人だ。

正直、野球は知らないが、目標のためにただ黙々と努力するイチタローはかっこいい。同じ苗字として誇らしい。 まぁ、このモチベーションだけで1ヶ月やってきた自分の凄さに驚くけどな! 俺も案外才能あったりして♪


そんなどうでもいいようなことを考えながらチャリを漕いでいると、路地裏でガタイのいいお兄さん達が一人の女の子を囲んでいるのがみえた。


「いいじゃん、俺らと遊ぼうよ。ちょっとカラオケ行くだけだよ。何にもやましいことはしないって! まぁ!ちょっと胸を触るくらいはあるかも知れないけどな!」

「はっはっはっ」


囲まれている女の子は今にも泣き出しそうだった。


ケンタは正義感は強いが冷静にこの場を判断していたため、どうか絡まれないようにと神に願いながら静かに自転車を漕いだ。


「(俺みたいな帰宅部が勝てる相手じゃねーなこれは…

お願いします!神様!絶対に絡まれませんように!)」


ある程度彼らから離れたあと、ケンタは自分のした事を大変後悔した。


「(バカかよ俺は! 変わるって決めたじゃないか! イチタローみたいに胸張って生きるって!!)」



「キャ!離してください!! 私そんなところ行きたくありません!!」


「うるせーなぁ! いいから黙ってついてこい!」


「(はぁ、また来たはいいもののお兄さんたち体格良すぎだろ…

いいな、俺! バットで思いっきり地面を叩いて音を出して、奴らを驚かせるんだ。様子を見ながら近づくとしよう!)」


しかし、ケンタの願い虚しくお兄さんたちの背後でケンタの相棒のバットを落としてしまった。


それに気づいた彼らは素早く背後を向いたのでケンタはお兄さんたちと目が合ってしまった。


「(ちっ!最悪だこうなったら警察を呼ぶしかない!)」


ここまでと思ったケンタは警察に電話しようとケータイを取る。


しかし、彼らはケンタの相棒を見るなり驚いて逃げてしまった。それもそのはず、健太が使っていたバットは、健太の血豆で血まみれになっており、いかにもなバットになっていたからだ。


「な、なんだこいつ!! 気味悪いもんもってやがる、にげろー!!」


「あっぶなかったー、お姉さん大丈夫ですか? っていないっ!」


結局逃げ去る彼女の後姿しか見ることができなかったがどっかで見た気が…

気のせいかな…



「って話があったんだよ。」


時刻は昼休み、俺が先日の話を伝えたのは、親友の高橋だ。


「それおめー、ラノベなら付き合うパターンだぞ。ついにお前にも彼女ができるな!」


「でましたオタクくんの妄想的な…

な訳あるかよ、彼女は欲しいけど!!」


〜ガラガラ〜

突然、ドアを開けたのはなんと2年の中で1番可愛いとされる佐伯先輩だ。


「鈴木さんいるかしら?」


要件を述べる先輩にクラス中がざわめく。それもそのはず、先輩が呼んでいるスズキくんとはこのクラス1冴えないとされるこの俺だからだ。


「(は? 2年1の美少女とされる佐伯先輩がこの俺に?! ないないっ!きっとどうでもいいようなことだ絶対!)」



ざわめく教室を後にして先輩と俺は屋上へ向かった。きっと昨日の助けた子は先輩で先日のお礼を伝えようとしたのだろう。わかっていても先ほどの高橋の言われたこともあってか先輩を意識してしまっている。今は、まだこんなぎこちない関係だがこれを機にもしかしたら、仲良くなって二人きりで放課後帰るような関係になって、LINE交換して、いつかデートできるくらいの関係になるのかもしれない。

という風な妄想に息を荒くする俺とは別に、先輩は落ち着いていた。


「(改めて見ると先輩、目もぱっちりしていて髪もサラサラだしほんとかわいいよなー)」


真っ白な佐伯の顔が徐々にりんごのように染まっていき、彼女はまるで何かを言う決心をしたかのように唾を飲んだ。


「鈴木くん、そこに座ってくれる?」


「はいっ!」


「(もしかしたら、昨日助けた俺に惚れたりして!!!

告白の可能性もないとは言い切れないよな…いや、そんなことはないか。でも、頭で考えるだけなら!って先輩めっちゃいいい匂いやんけ!)」


先輩の美しい横顔を尻目にそう考えると心臓が爆発しそうになるケンタであった。


すると、隣に座るケンタのマメだらけ手に佐伯は、傷ひとつない透き通った手をのせた。


「(えっ!なにこれ!なにこれ! 

これ、100%俺のこと好きじゃん! 普通、好きじゃないやつに手置かないでしょ!)」


そして、ついに佐伯が口を開いた。


「鈴木くん!いや、ケンタくん!」


「(いや、これまさか! お礼の段階すっ飛ばしてそのまま告白だったりして!追い払う姿カッコよ過ぎて好きになっちゃったとか!

いや!全然あるでこれ!!絶対これや!!)」


「は、はい! なんでしょう!!」


「(えっ!告白とかだったらなんて答えよう考えてないよ!)」


「私も…好きなの…


「(まじで!! やっぱり先輩俺のこと…まぁ、初めて見た時から可愛いと思ってたし…

うわー なんて答えよう。)」


アニメ騎士戦士(ボソッ)

ううん、大好きなの!! 騎士戦士!!」


「はっ!? 

今先輩なんて言いました? アニメなんとかって聞こえちゃって笑(苦笑い)」



「「「だからー キシセンだよ!騎士戦士!それで! それで! よかったらさ!

私と一緒にコスプレしてみない???」」」


「「「へぇ???」」」


こうしてケンタと西園寺の甘い恋愛物語がはじまるッ!

 〜とはいかないのであった〜










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