第6話 学校へ行こう!

 前回のあらすじ:そろそろ主人公の紹介しとかないとね


 宣言通りに10分ほどで晩飯を済ませ、再びピュアミーにログインしてフェルミンリヴァイアちゃんと合流した。

 私がログアウトしている間、二人は落とし物を少年に届けクエストを完了させたらしい。


「クエストに参加していたら一緒にクリアした扱いになるから、ナナオ君も報酬貰えているはずだよ」


「ほんとだ。なんていうか、寄生プレイが捗りそうなシステムだな」


「ま、子供向けだしプレイヤーがクリアしやすい造りになってるんだろうね。そういやナナオ君はこれが初めてのクエストだったよね、たぶん新しい魔法を覚えてるはずだよ」


 リヴァイアちゃんが言うには、特定のイベントを除けば、魔法はクエストクリアやモンスター討伐の際に何らかの条件を達していた場合に覚えるらしく、初めてのクエストクリア時にはどのプレイヤーも例外なく覚えるらしい。

 言われた通り、私も新しい魔法を確認してみる。



やしの光】

 HPを中回復させる。癒やし効果アリ。



 う〜ん、回復魔法かぁ…欲を言えば攻撃系かバフ系の魔法が欲しかったなあ…

 癒やし効果ってのはなんだろうか?一回試してみよう。


「癒やしの光!」


 あっ、ちょっと癒やされた!嬉しいけど使い所ねぇ!

 たぶんステッキを使い続けている限り、こういう回復魔法を優先的に覚えてしまうんだろうな。これは早急に新しい武器を作らなければならないぞ。武器は確かに学校に行かなければ作れなかったはず、そういやどっちにしろストーリー進めるために行かないといけないんだった。


「ちょっと学校行きたいんだけど、二人も着いてきてよ」


「「…………………………………」」


 下を向いて目を合わせようとしない二人。

 え、なんでそんな嫌そうな顔するの?


「ストーリー進めるのに学校行かなきゃならないんだけど、手伝ってくれるんじゃないの?」


「学校かぁ、行く必要あったか?」


「確か色々な施設がありますよっていうチュートリアルがあるだけだから、別に無理に行く必要はないね」


「いや、その色々な施設を使いたいんだけど…」


 凄い勢いで拒否してくるなこの二人…。学校ってそんなにやばい場所なの?

 何故そこまで嫌がるのか訳を聞いてみる。


「学校に何かあるのか?というか、まず学校てどういう場所なんだ?」


「他のRPGでいう街というか拠点というか…武器やアイテムを買ったりクエスト受けたりできる場所だよ。他にも疑似中学校生活を体験できたりなんかもするから、基本的に人で溢れているね」


 要するに集会所的な扱いの場所になってるのか、やることが無い時は取り合えず学校に行けばいいって感じなんだろうな。それだけ聞くと、嫌がる要素は無い普通の場所って感じだけどなぁ。

 そう思った私にリヴァイアちゃんが補足して説明してくれる。


「人で溢れていると言ったけど、言い方が悪かったね。ロリコンで溢れているんだ」


 あー、なるほど…二人が嫌がるのも納得だ。全校生徒が変態ロリコンおじさんの中学校、想像するだけで吐き気がする。行きたくねえ。

 でもよくよく考えたら私たちも漏れなくロリコンだったわ。三人で喋ってるのもなんだかんだ楽しいし、そう思うと学校にいるロリコン達とも案外上手く付き合えるんじゃないか?


「ナナオ、それは甘い考えだぞ」


 フェルミンからお叱りを受ける。


「どういうことだ?」


「学校にいる連中はロリコンの異常者であるが故ろくな学生生活を送ってこなかったんだろうが、女子中学生の恰好で学校に通うことで必死に失った青春を取り戻そうとしている、言わば闇のロリコンだ。俺達みたいな光のロリコンとはわけが違う!」


「ロリコンの時点で闇だろ。深淵の底だよ」


「あいつらは過去しか見えてねえ。俺らはしっかり前を向いてゲームを攻略している」


「…女児と出会おうと必死になってる私達の方がヤバいんじゃないかな」


 そう思うとだいぶ酷いことをしようとしているな私。ロリコン友達ができて感覚がマヒしてしまっている。

 二人が学校に行きたく無い理由は分かったけど、行かないと何も始まらないしな。


「事情は分かったけど、お願いだから着いてきてよ」


 嫌そうな顔をしたけれど、二人は渋々承諾してくれた。



 ☆


 というわけで、私たちの通う学校『私立星蘭せいらん中学校』の校門前に到着。

 遠目で見ていた時から思っていたけど、凄く大きい建物だ。10階以上あるんじゃないか?しかもガラス張りである。

 リヴァイアちゃんの言っていた通り、校内には外から見ても分かるほど大量のプレイヤーがいる。今この瞬間も登校下校するプレイヤーとすれ違っている。これが全部ロリコンかぁ…


「気を抜くなよ」


 フェルミンからの注意。不安になるなぁ。

 尻込みする気持ちを抑え、校内に入る。

 数秒歩いたところで、フェルミンがスッと手を出し私たちを制止する。


「どうしたんだ?」


「厄介なのが来る」


「来るって何が…ん?あれは人か?」


 遠くに見える三体の人影、その内の真ん中の一人が高らかに笑い声を上げる。


「フハハハハハ、久方ぶりだなフェルミン、リヴァイアちゃん。そしてもう一人は…新入りだなあ?」


 三人が一斉に跳躍し、私たちの前に降り立たった。それぞれが武器を掲げて名乗りを上げる。


「ヘカトンケイル隊一番槍『会長』!」


「ヘカトンケイル隊切り込み隊長『DDR』!」


「ヘカトンケイル隊魁『みっちゃん』!あの時の借りを返させてもらおう、フェルミン!」


「おいおい、その武器はまさか…?」


 相手の武器を見てフェルミンが驚きの声を上げる。


「ああそうだ。我々は星の配置に導かれたのだよ」


 既に変身状態の相手三人、その手に持った武器がそれぞれ黄金に光り輝く。何なんだこいつらは、敵か?

 横を見ると、フェルミンとリヴァイアちゃんの険しい表情。


「お知り合い?」


「こいつらはヘカトンケイル隊、学校の門番気取りの連中だ。前に一回ボコった」


 私の質問に苦々しく答えるフェルミン。話を聞く限り因縁があるのはフェルミンで、私には関係無さそうだな。


「お前の敵っぽいし任せるわ」


「待て待て待て待て」


 進みだそうとした私の肩をフェルミンが掴んで止める。


「どうした?手伝った方が良かったか?」


「いや、あいつらの狙いはお前だ」


「私!?私何もしてないよ」


 なんで狙われる必要が?


「あいつらの別名は凌辱部隊!学校に初登校して来る女子生徒を凌辱するのを目的としている。この学校にいるプレイヤーの半分以上はあいつらの被害者だ」


「凌辱部隊!?」


 めちゃくちゃヤバいやつらじゃん!え、てか私凌辱されるの?絶対に嫌なんだが。敵の方をよく見ると、三人とも嬉しそうに舌なめずりをしている。顔は可愛らしい女子中学生なのに邪悪さが滲み出ているな。

 相手は既に臨戦態勢だ。こちらも早く態勢を整えないと…よく見たらフェルミンもリヴァイアちゃんもすでに変身して武器を構えている。声とか掛けてくれよ!


「参る」


 会長と名乗っていた金髪ボブカットの少女がそう呟き、手に持った双剣で斬りかかってくる。こちらは変身が完了したところだ。助けを求めようと仲間の方を見るが、フェルミンはDDRと、リヴァイアちゃんはみっちゃんと既に戦闘中だ。私一人でやるしかない!

 双剣の弱点は片手持ちであるが故の一撃の軽さだ。ならば私のステッキでも受けきれるはずだ!攻撃をいなし続け時間を稼いで助けを待とう。

 会長が右剣を振りかぶって横薙いでくる、タイミングよくステッキで受けて…って消えた!?目の前の会長が突然姿を消す、瞬間移動か!?こういう場合は大抵背後に移動するもんだ…ビンゴ!予想通り真後ろに居た。まだガードが間に合う………


「パララスパーク」


 会長が一言、そう呟いた。直後、身体に電流が走る。麻痺か!?くそっ、動けない!ヤバい、陵辱される…

 後ろを見ると、ニヤけた会長の顔。わしゃわしゃと指を動かしている。


「ああ神よ、感謝します」


「やめろやめろぉやめろおおおおおおおおおおお!!!」


 私は陵辱された


 服を脱がされ、全身をまさぐられ、腿を指でそわれ、尻を撫でられ、へそ周りを押され、胸を揉みしだかれ、乳首を摘まれ、大事な部分を愛撫され、キスされ、べろちゅーされ、べろちゅーされ、べろちゅーされ…


「ぎゃあああああああああ!!!」


「フハハハハハハハハ最高の身体だな!」


「癒やしの光!癒やしの光!」


 ああ…どれだけ魔法を掛けても心の傷は癒やされないんだなぁ…………


 -10分後-


「よーし、そろそろ帰るぞお前ら」


「グスッ…………グスッ…………」


 私もうお嫁にいけないよぉ

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