第4話 久しぶりに病院に行った。

右手首の傷みが中々収まらないので、約8年ぶりに病院に行った。



以前行ったことがある病院だったが、8年前とはガラッと変わっててビビった。


診察券をなくしていたので、受付でてこずった。



イライラしてきたので、「イテーからさぁ、早くしろよ!」ってまあまあな


声量で怒鳴ったら、待合室にいた約30人くらいが一斉に黙り込んだ。




受付のおねーさんは半泣きだった・・・。




その甲斐あってか、約5分後に名前を呼ばれて処置室に行った。


ジジー医者に、右手首をグネグネされて激痛が走った。




「いってーんだよ! バカ!!」




思わず大声を出してしまった。


病院内が一瞬で静寂に包まれた・・・・・・。




その後レントゲン撮影とかしたけど、骨には特に異常はなかった。



筋を痛めているようなことを、ジジー医者に言われた。


貼り薬(湿布)を処方してやる、みたいなことを言われた。




その後、すぐに名前を呼ばれて受付へ。




診察券をなくしていたので、再発行手数料200円貰うよ


的なことを言われて、またイラっとして大音量で



「へぇー。そうなんか?」って言ったら



病院内は永遠の静寂に包まれた・・・・。



自動会計を済ませて足早に病院を出た。




ネコのように素早く薬局に潜り込む。


それと同時に、2台の覆面パトカーが猛スピードで病院前駐車場に入った。




「・・・・。厄介だな、公安だ」。




オレの情報を所轄警察署じゃなく、直接公安にタレこまれた。


どうやら病院内にスパイがいたらしい。


スーツを着たサラリーマン風の男が5人、院内に足早に入った。


見た目は普通だが、目つきが違う。


明らかにプロだ!。


ヤツらの上半身左脇が、やや膨らんでいる。


銃を携帯している証拠だ。


しかも、奴らが所持する銃は、日本では警察でも携帯できない



「コルトガバメントM1911」。



アメリカ軍が使う、人殺し専用の銃だ!。




素早く受付に、処方箋薬の書類と、社会保険証を提出して


薬局の外から死角になる椅子に、影のように移動。




ジーンズの尻ポケットから、「コルトパイソン357マグナム」


に手をかけ、安全装置に手をかける。


弾は6発。そっと病院入り口を観察する。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


まだ動きはない。



全神経を聴力に集中していた、その時!。




「カチッ」。




撃鉄を弾く音が聞こえた!!。



素早く左回転で身をかわし、椅子をブン投げる!!。


同時に発砲音と、ガラスの割れる音が盛大に響くッ!!!。




撃ったのは、薬局のおねーさんだッッ!。




・・・・・危なかった・・・・・!!。



オレがブン投げた椅子に注意を惹かれて、僅かに照準がずれたようだ。



だが立て続けに、2発3発と連続発砲した!!。



オレは、近くにあったイスやテーブルを盾にしながら


ネコのように、自動ドア入り口まで移動する!。




オレの行動を先読みしていたおねーさんは、自動ドアセンサーに発砲した!。




「しまった! やられた!!」




ドアが開かない!。ガラスを破っている暇もない!!。


このおねーさん、間違いなく殺しのプロだ!!。


射撃の精度が、あまりにも高すぎる!!!。


それに銃!。



「コルトガバメントM1911A1」・・・??!!。




「そんなバカな!、これは内閣情報調査室の・・・・!!」。




考えている暇なんてない!!。



性格に狙いを定めながら、おねーさんは影のように近づいてくる!。


障害物を盾にしながら、ネコ走りするのももう限界だ!。


おねーさんとの距離は約3メートル!!。



だめだッッ! 逃げ切れないッッッ!!。




意を決して、おねーさんにとびかかるゥゥゥッッ!。


がっ!。オレの行動を先読みしていたおねーさんは


オレをかわしながら、回し蹴りをくらわしたッッ!!。



オレはギリギリのところで、左手で素早く防御ッッ!。


だがっ!。あまりにも重い、右回し蹴りをまともに受けて


地面に叩きつけられた!。




左腕に激痛が走る!。エルボーパッドを付けていなかったら


間違いなく骨折していたぜェェェェ!!。


地面にうずくまるオレに、おねーさんは無言でオレの頭に銃口を向けた。




「バンッッ!!」。




一発の銃声が響いた!。




・・・・・・・・・・・・・。




おねーさんの胸から、血が流れている。


そして、口から大量の血を吹き出しながら、地面にブッ倒れた。




オレは、おねーさんに飛びかかるとき、おねーさんからは死角になる


右手で、「コルトパイソン357マグナム」に手をかけて


素早く取り出す準備をしていた。




おねーさんが、オレの自暴自棄なタックルをかわすことは


想定の範囲内。


尚かつカウンターで攻撃してくることも、想定の範囲内。




おねーさんは、内調の優秀な戦闘員だったが、オレを甘く見ていたようだ。




おねーさんの回し蹴りを防御しながら、コルトパイソンの安全装置を解除。


おねーさんからは見えないように、右手を隠して、わざと地面にブッ倒れる。


地面にブッ倒れた瞬間に、コルトパイソンの撃鉄を引く。


地面にわざとぶっ倒れたのは、フェイク。




撃鉄音を消すため。




おねーさんが、オレの頭に銃口を向ける前に、地面にブッ倒れたオレの


「コルトパイソン357マグナム」の銃口は




おねーさんの胸を、向いていたんだよ・・・・・・。




「357マグナム弾をまともにくらったんだ・・・。間違いなく即死だ」。


そう思って、オレは急いで薬局から脱出した。


そしてネコ走りで、影のように物陰に身を隠す。



そっと、病院前駐車場に目をやる。




「・・・・・・ッッッ!!?」。




公安の覆面パトカー2台が、消えているッ!!。




内調のおねーさんとの格闘は、約3分だ。


その間にいったいどこへ・・・・?




その時!、けたたましいサイレン音と共に、所轄警察パトカーが何台も


病院内駐車場に入ってきた!!。




「・・・・・そういうことか・・・。」




オレは一旦その場から立ち去って、病院横のアパートの屋上まで移動した。


地上から死角になる場所から、ヤツら所轄を観察しながら考えた。




「まだ、複数のスパイがいる・・・・」。




オレとおねーさんの格闘時間は、約3分。


所轄警察署から病院までは、車でどんなにスピードを出しても


約12分はかかる。




所轄の現着が早すぎるんだ・・・・・ッッ!。


それに、公安の撤収も早すぎるッ!。




誰かがタレこまなきゃあ、ここまで手際よく撤収なんてできないんだッッッ!。


そのタレこんだヤツも、間違いなくスパイだ!




そいつはオレの味方なのか、単にオレを利用しただけなのか


今は何も分からない。




分かったことは、所轄内に公安と内調のスパイがいることだ。


奴らは、「あったことを、無かったことにする」専門の部署。


表向きは警察官だが、人さらいや人殺しをする最悪な奴らだ!!。




そんなヤツらが手を組んで、オレを狙ったのは事実だ!。




「なぜ、オレを狙うんだ・・・・」。




いずれにせよ、今回の事件は、なかったことにされるだろう。


あの内調のおねーさんも、一般市民として処理されるはずだ。




「白昼に起きた、強盗殺人事件」の被害者として・・・・。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




・・・・・・・・・・・・・。




・・・・・・・・・・。






はッッ!!。




今から病院に行かないといけないのに、「MOZU(モズ)」という


刑事ものドラマに夢中になって、もう9時ぢゃあないか!。


急いで車に乗り込み病院に行った。




診察券をなくしていたので、受付でてこずってしまった。


右手首は痛かったけど、何も言わずに問診票に必要事項を記入した。


待合室にはすでに30人くらいいたから、結構な時間待たされた(約20分)。




ようやく名前を呼ばれて、処置室に行く。




ジジー医者に、右手をグネグネされて痛かったけど、我慢した。


レントゲン撮影をして、骨に異常がないことが分かったので良かった。


ジジー医者は痛み止めとして、湿布を処方してくれた。ありがとう。



その後受付に呼ばれた。



診察券をなくしていたので、再発行手数料200円を請求された。


「これは自分のせいなので、しょうがないですね」って言ったら


受付のおねーさんに、笑顔で「ありがとうございます」って言われた。



自動会計を済ませ、病院から出た。



そして、病院の真横にある薬局へ。


処方箋の書類と、社会保険証を窓口に提出して、




なぜか、一番奥の椅子に座った。




?。なぜだろう?。


無意識のうちに、建物外から死角になるところに座ってしまった。




軽い眩暈がした。デジャヴ?。




特に何もなく、約5分後に名前を呼ばれて、薬を受け取る窓口へ。


?。


受付のおねーさんを見て、軽い眩暈を感じた。




「・・・・オレは、この人に会ったことがある?・・・・」。




もちろん初対面だ。


おねーさんが、湿布について説明しているようだったが


オレは何も聞いていなかった。




オレの頭の中に、「警鐘音」がガンガン鳴り響いていたから・・・。




急いで薬を受け取り、おねーさんに背中を見せないように会計を済ませた。


その間も「警鐘音」は、さらに音を大きくしながら鳴り響く!!。



ヤバイと思いながら、急いで薬局の外に出た。




だが! そこに!!。




公安の覆面パトカーがッッッ!!!・・・・・・・・・・。








あるわけがなかった・・・・・・・・・・・。



やはり、「MOZU(モズ)」という刑事ドラマを前日から


fuluで、イッキ見してたのが原因だろう。


6時間ブッ通しで見続けて、頭痛がしていた。



そのせいで、病院駐車場の警備員さえ「公安」に見えるよ・・・。




家に帰り着いたのが12時30分くらいだった。




結構時間かかったなあ・・・・・。


そして、診療明細書を見ていた。




氏名 山脳丸さんのうまる 梨華緒りかお


初・再診料 293


投薬 73


画像診断 224


保険点数合計 590点


負担率 30%


負担金 1770円


請求金額 1770円


診察券再発行手数料 200円




処方箋


ロキソプロフェンNaテープ50mg「三笠」7cmx10cm


28枚


請求金額 490円



・・・・・・まあ、こんなもんだろって思った。




あれ?・・・。まだ用紙があったみたいだ。




「内閣情報調査室」




・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!。




何だこれ・・・・・・!!!。




作戦名とか、日時が書いてあるようだったが、肝心なところは


黒く塗りつぶされている・・・・・!。



だが、その紙にはたった一行だけ判別できる文字があった。




ターゲットナンバー「13」




「山脳丸 梨華緒」




・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!!!!。



ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!!。




頭の中で「警鐘音」が、命の危険を感じるほどの音量で鳴り響く。




「ここにいてはいけない!!」。




本能が、そう叫んでいる!!。




部屋を出ようとした、その時!!!!!。






次回へ続く。

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