第58話新婚生活
【新婚生活】
正月以降、正式に夫婦として会社に通い始め、1か月ほどたった頃、2人の生活が落ち着いてきたので橘専務のお宅に挨拶にお伺いする事になった。
叔母様と裕子さんが料理を作っている
橘専務と2人、 ってのはどうも……
何を話して良いか……
黙ったまま固まっていると
橘専務から「どうだね、新婚生活は」
「はい、今までも一緒に住んでいたのでそう変わらないと思っていたのですが、まったく違いました」
「それは?」
「毎日が幸せというか、一生一緒に生きていこうというか、そんな気持ちがどんどん強くなってます」
「うむ、それは良かった」
「はい」
(気まずい、だって、いくら叔父になるとはいえ会社の専務だよ)
そうこうしているうちに、料理が次々に運ばれてくる。
俺も手伝おうと立ち上がると
「今日は2人に任せて」裕子さんがにっこり微笑んだので、俺はそのままソファーに座って裕子さんを追っていた。運び終わって 「さあ、どうぞ」
全員がダイニングテーブルに座って食べ始める
まずはビールで乾杯。
俺はどちらかというと借りてきた猫状態
橘専務と奥様は裕子さんに色々話しかけ、裕子さんも微笑みながらそれに受け答えする。
俺はそんな3人を見ながらひたすらビールを飲んでいるんだけど、裕子さんが2人に向かって話しながらそーっと俺の手を握ってくれて……気にしてくれてる。
食事も終わって、フルーツが出て、最後にコーヒーが出され、ソファーでくつろぐ
「裕子ちゃん、お義姉さんにご挨拶に行った?」
「いえ、まだです、電話ではよく話すんですけど……」
「そうよね、どうも兄が何か言ってるみたいだから、どうせろくでもないこと言ってくるのはわかってるんだけど」
「そうなんです」
初耳だった。
「そうなんですか?」裕子さんの方に向かって思わず聞いてしまったけど、裕子さんは気まずそうに
「うん」
「克己君は気にしなくていいから、大丈夫」
橘夫人がそう言ってはくれたけど
「はい」
「裕子ちゃんの前の旦那さんと偶然会ったんでしょ?でもちゃんと裕子ちゃんを守ったのよね」
「はあ、まあ」
そうか、裕子さんはそんな事まで言ってたんだ。
でも、それは俺の評価を良くするためだと思うとなんだかうれしい。
「あの前の旦那に比べたら全然。大丈夫よ」
「はい」
「叔母様」
「あら、ごめんなさいね、いやよね 前の旦那の話なんて」
「はあ」
結局、裕子さんの父親が俺達の結婚に何か言いたい、と言う事がわかった
夜時間も時間なので橘専務の家を後にし、マンションに帰ると
「克己君、イヤな話でごめんね」
「いえ、大丈夫です、付き合うことが決まった時に聞いていたことなので、全然平気です」
「でも、やっぱりごめん、克己君に隠していたから」
「そうですね、隠し事は良くないです」
「ごめんなさい」
(こんな裕子さんもかわいい)
「いや、許しません」そう言って 裕子さんの腕をグイっと引き寄せ、そのままバスルームへ
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「こんなに愛しているのに、なんで黙ってたんですか?」
「ハアハアハア ごめんなさい」
「いえ、まだまだです」
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「克己君、許して、蕩けちゃう~」
「許しません」
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