第27話ようやく一段落

【ようやく一段落 】

今日は、不動産屋に行って物件を見る予定だったが、顔を洗いに行く時、RINEで延期のお願いをしておいた(ドタキャンですみません)。


今日1日、裕子さんと一緒にいるチャンスがあるかもしれない。


俺は1人ニヤニヤしながら朝食を食べていると


「克己君、何ニヤニヤしてるの?」


「いや~、幸せだな~、って」


「なんか、その顔、ちょっといやらしい」


「すみません」


「あら、素直ね」


「はい」


「じゃあ、朝ご飯、食べましょ」


「はい」


食べながら


「そういえば、裕子さんも今日は休みですよね」


「そうよ」


「じゃあ、これから2人で婚約指輪買いに行きましょう」


「・・・・・・」


「克己君、ちょっと悪乗りしすぎ」


「はい、すみません」


そのまま、 話に乗ってくれて、一緒に買いに行けたら などと、ありえない想像をしてしまった自分が恥ずかしかった。


結局、お昼もご馳走になって、さすがに夜も、とはいかないので、お礼を言って家に帰った。


あ~、冗談という前提でなら、あれだけ積極的に言えるようになったのに・・・・・・でも、今本気で言っても冗談にしか思ってくれないのかな・・・アプローチの方法、間違えてるかな~、と考えながら、明日は不動産屋さんに行こう、そうして眠りについた。


帰りがけに、バレンタインデーのチョコをもらった。


会社では皆に配っていたのを俺ももらったけど、わざわざ俺のために違うのを・・・やった!


 あれから1週間ほどたって、不動産屋さんから良い物件が見つかったから見に来てほしいとショートメールが来たので、電話で明後日に伺いますと伝え、当日不動産屋さんのところに。


その物件は23区内、N区、N駅から徒歩8分、外観がとてもおしゃれな8階建てマンションで築4年とのこと。


不動産屋さん曰くしたからは見えないけど、9階があるとか。


もともとここら辺の地主さんが相続対策で建てて、その際息子さんの奥さんが外観にもかなりこだわったみたいで、ここら辺には見かけないおしゃれな外観、


その地主さん夫婦と息子さん家族が9階に住んでいたけど、引っ越し早々地主さんの奥さんがなくなり、その1年度、後を追うように地主さんもなくなったそうだ。


それからそれらの遺産を相続をした息子さん家族はその遺産で23区内の都会のタワーマンションに引っ越したらしく、相続税を支払うため、このマンションを売りに出したらしい。


賃貸用物件では9階の居住部分が中途半端な2世帯になってるため、そのまま貸すことができず、9階はそのままでは使えないのでそのための改修費用が結構かかるらしく、また、相続税の支払いにかかわるとかで、不動産屋さんも現金一括と聞いて、それが効いたみたいでかなり格安に。


そのオーナーが住んでいたという9階に上ってみると、屋上使い放題って感じ庭がある平屋で玄関が2つ、中で扉1枚で繫がっていた。


片方が狭く、確かに中途半端な2世帯住宅。


でも、外観はおしゃれだし、金額も格安で予算内だったので、自分が9階に住めばいいんだって思って速攻でここに決めた。


これで不動産屋さんとマンション巡りの旅が終わった。


1か月後、9階の小さい方に引っ越しすることに、

俺1人だと広い方に住んでも使い切れないし、かえって落ち着かない。


広い方は、裕子さんと結婚して一緒に住むんだ!


とか思ってるけど、この事は裕子さんにはまだ言ってない。


ここだと会社までドアツードアで30分、その気になればタクシーで帰れる。


そんな事がわかったら、裕子さんの部屋に泊まれなくなる。


なんて思って、裕子さんにはお付き合いできたら言おう。


毎月の家賃収入を考えると、働く必要がないけれど、会社を辞めたら裕子さんに会えなくなる。


おまけにこの社畜生活にも慣れ? だからこの時は会社を辞めるなんて考えてなかった。


夏のあの事件(?)以降1か月に2-3回くらいだけど裕子さんの部屋に泊めてもらって、フロ上がりのビールを飲みながら冗談を言い合ってなごんでいる。


だけど、以前より積極的になってきていると思う。


上司と部下ならパワハラに近いくらいの言葉の応酬。


裕子さんも以前より、もっと突っ込んだ話をするようになってきた。


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