第28話勇気を出せ
【勇気を出せ】
先月、バレンタインデーの時に疲れ果てていた俺を見て、裕子さんのマンションに泊めてもらった時も相変わらずの冗談の応酬があって、そっちの件も一段落し、ホワイトデーの2日前だけど明日は休み。
しっかりプレゼントを買ったけど、でも、指輪はまだ早いし、どうも高級なブランド品にはあまり興味がないようなので、すっごく悩んで・・・家飲み用に、某5大シャトーのめっちゃ高い赤のフルボディとシャンパーニュを購入。
俺は、意を決して、成り行きになるかもしれないけれど、ちゃんと意思を伝えよう、できることなら告白しようと決め、
「裕子さん、明日休みですよね」
「そうよ、あっ、克己君今晩泊まっていく?」
「はい、明日休みなんで、やっぱりこういう日は恋人同士はお泊りですから」
「そうね、恋人同士は一緒にお泊りよね」
「はい」
いつものように冗談で返され、でも泊まれるからOK。
聞くぞ! 裕子さんの過去を、そして俺は告白する!
今日も仕事が終わって時計を見ると11時をとっくに過ぎている。
裕子さんも仕事が終わりそうだ。
俺は裕子さんの方に歩いて行って
「仕事終わりそうですか?」
「うん、あと5分くらいで、かたづくと思うわ」
「じゃあ、俺もかたづけて帰る用意します」
「うん」
パソコンを落として、書類を机と書類棚に戻し、上着を着て、鞄を持って、裕子さんの隣の席に座る。
裕子さんもちょうど終わったみたいでパソコンをシャットダウンしたところだった。
「こういう時はお疲れ様のチュかなんかした方がいいですよね」
「そうね、恋人同士が 誰もいないオフィスに2人っきりだったら、当然よね」
「じゃあ」そう言って顔を近づけても、全然平気でいる裕子さん。
俺の方がビビッて顔を戻してしまった。
「あれ? チュするんじゃないの?」
「そう思ったんですけど、やっぱり裕子さんの部屋でちゃんとした恋人チュがしたなって思ったんで」
「そう? じゃあ部屋に帰ってから続きをしましょうか」
「ハイ」
う~ん、この程度のことは全然動揺しない、
裕子さんの方が1枚上手。
いつものようにラブホ街を2人で歩いて、24期時間スーパーで色々買って、裕子さんのマンションに、先にシャワーを借りてスウェット姿で裕子さんがシャワーから上がってくるのを待つ。
・・・ほんと何時見ても綺麗、そしてエロっぽい。
「あれ?また 見とれてる?」
「はい、俺の恋人はなんて綺麗なんだろう、って」
「ありがと」軽く流されて
缶ビールを渡し、ぐびぐびと飲んでプハー
「風呂上りのビールは最高ね」
「はい、恋人と2人で風呂上りに飲むビールは最高です」
「よっこいしょ」全然聞いていないのか無視するかのように、そう言っておれの隣に結構ぴったりくっついて腰かけた。
こんな関係が約1年、俺はちゃんと向き合いたい。
俺は裕子さんの顔を見ないで前を見たまま
「裕子さん、真剣な話していいですか?」
「何?」
「裕子さんの過去の話です」
「どうしたの?」
「俺、裕子さんにいっぱいお世話になって、思うんですけどどうしてこんなすばらしい人が×2なんだろうってずーっと思ってたんです。何かあるのかな?って、何があったか聞きたいです」
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