朗読版・最強猫勇者ゴマの、異世界大冒険!〜もふもふにゃんこ戦隊と共に、世界を救う旅に出る〜
戸田 猫丸
第一部〜未知なる地底都市へ〜
1.闇に溶ける謎の大穴
◯キャラクター(最大8人)
※多、少はセリフの量です。2役以上で割り振る場合、目安にしてください。
ナレーション(N)……ゴマの声。多
ゴマ……♂、ちょっとガラガラ声。多
ルナ……♂、高い声の男の子。多
メル……♀、気の強いお姉さん。多
じゅじゅ……♀、ゆっくり話し、声はやや低め。少
ユキ……♀、元気いっぱいな女の子。少
ポコ……♂、声高め。気の弱い男の子。少
ムーン……♀、ゆっくり話す。お母さんぽく。少
アイミ姉ちゃん……高校三年生の猫好きな女の子。少
◯ポイント
特にありません\( ॑꒳ ॑ \三/ ॑꒳ ॑)/自由にのびのびと楽しんでください〜!
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ゴマ「ふあああー……」
N「ボクはいつも通り、ガレージにある段ボールの中で目を覚ましたんだ。1番の早起きだった。庭にはうっすら雪が積もり、北風がビュウウと吹き込んでくる。
ボクはまだ段ボールの中で寝っこけている、弟分のルナを起こした」
ゴマ「おい、起きろルナ。狩りに行くぞ」
ルナ「ふわあー……、えー、ご飯さっき食べたとこでしょ……?」
N「ボクと同じ柄の白黒ネコのルナは、いつものように寝ぼけてやがったので、ボクは1発ネコパンチをかましてやった」
ゴマ「この野郎、いい加減目を覚ましやがれ!」
ルナ「痛っ! 乱暴しないでよ……、兄ちゃん」
ゴマ「うるせえ、いつまでも寝ぼけてやがるからだ。さっさと支度しろ」
ルナ「はいはい、わかったよもー。兄ちゃん、今日どこ行くのさ」
ゴマ「今日はすぐ近くの公園だ。まだネズミがウロチョロしてるはずだ」
ルナ「もう明るいから、いないと思うよ」
ゴマ「お前がいつまでも寝てるせいだろうが! ……あ、アイミ姉ちゃんだ。ルナ、なでてもらうぞ」
N「アイミ姉ちゃん。ボクらの住処のガレージのある家に住んでる、ニンゲンの女の子だ。ボクらがチビの時から、ずっと世話をしてくれてる」
ゴマ「にぃああぁ……」
アイミ姉ちゃん「よしよし……、ゴマ、ルナ、おはよ。ふふ、可愛いなあ」
ルナ「みゃあー」
アイミ姉ちゃん「おいでー。よしよし」
N「ルナもよくなでてもらうんだが、甘えるのが下手なんだ。緊張してるのか照れてるのか、いつもその場で固まっちまう。さて、ひと通り撫でてもらったところで、ボクらは狩りに出発だ」
ゴマ「さ、ルナ行くぞ」
ルナ「あー、待ってよー」
N「ひんやりした風が、体にしみた。雪が少し解けて濡れたアスファルトの道を調子良く歩いていると、ボクらの姉貴分、メルさんが目の前に立ち塞がった」
メル「こーらー、ゴマ。今日は集会だからアイミ姉ちゃんとこにいなさいって言ったでしょー」
ゴマ「あれ、メルさん。何でこんなとこに。もう起きてたのかよ」
N「メルさん。さっきも言ったとおり、ボクらの姉貴的存在の三毛ネコだ。ウチのボスネコのムーンさんがいつも留守にしてるせいで、メルさんがほとんどボクらの親代わりになってる。なぜかボクばっかり怒られるんだよな」
ゴマ「チッ、見つかっちまったか! あー、ついてねえ」
メル「全く……、先回りしてて良かったよ。ほら、ルナも一緒に帰るよ」
ルナ「うん!」
N「住処のガレージに戻ると、他の奴らはみんな起きてたんだが、もう1匹の姉貴分、じゅじゅさんはまだ段ボールの中で大欠伸をしていた」
ゴマ「じゅじゅさん。やっとお目覚めかよ」
じゅじゅ「ふあーあ、ゴマおはよう。そろそろゴハンだよ」
N「じゅじゅさん。ブクブクに太った三毛ネコだ。メルさんとは違ってのんびり屋のマイペースで、ボクらがイタズラしたりしても怒ったりしない。だが、いつも寝てるか食ってるかばかりなんだ」
ゴマ「じゅじゅさん、昨日の夜中も勝手にメシ食ってただろ」
じゅじゅ「腹が減っては戦は出来ぬって言うからねえー」
ゴマ「いや、そういうことを言ってるんじゃねえよ……」
N「……じゅじゅさんはいつも、こんな調子だ。さて、メルさんに止められたせいで獲物はさっぱり
アイミ姉ちゃん「はあい、たくさん食べてね」
ゴマ「んぐんぐ……ふん、まあまあの味だな」
ルナ「もぐもぐ……ふう、お腹いっぱいだあー!」
メル「ゴマー、もっとお行儀良く食べなさい」
N「良くも悪くもねえ味のカリカリをむさぼり食い、口を拭うと、すぐ隣で毛繕いしてる弟分の黒ネコ、ポコにボクは声をかけた」
ゴマ「なーポコよぉ、いい加減お前も外遊びに行こうぜー」
ポコ「ひいっ、ゴマ、そんな怖い顔しないでよう……」
N「ポコ。ルナと同時期に生まれた、全身真っ黒のチビネコだ。コイツ、ほんっとに怖がりの意気地なしでさ。ネコのくせして動くものを怖がって、この時はまだ自分で獲物を狩った事すらなかったんだ」
ゴマ「まったく、ネズミごときにいつまでビビってんだ。そんなんじゃ狩りなんか一生出来ないぞ」
ポコ「う……うるさいっ!」
ゴマ「お? なんだ、やんのか?」
N「ボクはポコに軽くネコパンチを喰らわせようとすると、ポコはササーッと逃げて行きやがった。ほんと、情けねえ奴だ。ボクは、目を細めながら前脚を伸ばしている、妹分のユキを誘う事にした」
ゴマ「おいユキ、公園行くぞ」
ユキ「おー、行っちゃう? ルナとポコも誘おうよ」
ゴマ「ポコはダメだ。いつも通り段ボールに引き籠もってやがるぜ。ったく情けねえ」
ユキ「ああいう性格だからしょうがないよ。ポコが自分から行きたいって言うまでそっとしときましょ」
N「ユキ。ニンゲンが言うにはサビ柄模様らしい。妹分って事にしてるが、実はボクと同時期に生まれたんだ。体を動かすのが得意で、いつもボクとどっちが先に獲物を捕らえられるか競争してる」
N「晴れた日には、メルさんの許しをもらってから、ボク、ルナ、ユキの3匹で一緒に狩りをしたり、近所のニンゲンのクソガキをからかったり、ニンゲンの婆ちゃんに撫でてもらいに行ったりしてるんだ。じゃあいよいよ——ボクが大冒険に出かける話だ。その日の夜の、ネコの集会の時の出来事だったんだ」
メル「ゴマ、ユキ、ポコ、ルナ、ほらじゅじゅも。今から、集会行くわよ。はぐれないでね」
全「はぁーい!」
N「メルさんを先頭に、ボクらは近くの神社へと向かった。日が暮れた頃には、他所のネコどもも集まってくる。満月の夜には、いつもそこでネコの集会が開かれるんだ。だが今は、ただの世間話の場になっちまってる」
ムーン「……メル、予感がします」
N「神社に着き一息入れていると、ボクらの親分——ムーンさんの声がした。姿を見るのは何日振りだったろうか。いつもめったに住処に帰ってこねえし、集会にだって来る事はねえんだが、この時は珍しく姿を見せてたんだ」
メル「どしたの、母さん?」
ムーン「月の導き……ネコ社会の変革……理想郷への導き……。メル。子供たちに伝えて下さい。今までにない何かが起きます」
メル「え、何かって……何が起きるの? 今の生活が続けられなくなったりするの? そんな、大変!」
N「ボクらの親分、ムーンさん。メルさんとじゅじゅさんの、実の母親だ。ムーンさんは、月の力を受けて運命のエネルギーの流れを察知する、不思議な力を持ってるらしいんだ。ちなみにボクの実の親が誰だかは、知らねえ。小せえ時の記憶も無えからな。そういう事でムーンさんを、勝手に親分って事にしてる」
ルナ「隣のボスネコのシロさん、やっぱりマタタビいっぱい持ってきてるね。兄ちゃん、そろそろ帰ろうよ」
N「ムーンさんとメルさんとの会話に聞き耳を立ててたら、退屈したルナが話しかけてきた」
ルナ「やっぱり来た意味なかったよね、僕ら」
ゴマ「そうだな。ま、いつもどーりだ」
N「結局、またボスネコ同士でマタタビ会を始めていた。だがムーンさんだけは、1匹でずっと月を眺めながらじっとしていたんだ——。この場では何にもする事が無えボクらは、また住処のガレージへ帰ろうとした。が、その時、ボクは今までに見たことねえ光景を目にしたんだ」
ゴマ「おい、ルナ」
ルナ「どしたの兄ちゃん」
ゴマ「見ろよ、あの祠の後ろ」
N「神社の奥にある祠のすぐ後ろの地面に、ポッカリと穴が空いていたんだ。前にはあんな穴、なかったはずだ。ボクは近くで見てみたくなり、ルナを無理矢理祠の近くへ連れて行った」
ルナ「ちょっと、引っ張らないでよ、兄ちゃん!」
ゴマ「うるせえ、早くついて来い」
N「祠の後ろ側の地面を見ると、中は真っ暗闇になっている大穴が口を開けていた。よし、ちょっと覗いてみるか——って事で、ボクは体を乗り出し、穴に顔を突っ込んでみた。ところが——」
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