第2話新しい朝
窓を開けると、朝焼けが消えるところだった。
オレンジから薄紫に変わった色が、静かに空にとけて行った。
吹く風は冷たく、頬を凍りつかせたが、しらみはじめた地平線が美しかった。
まだ、まどろみのなかにいるのか、小鳥の声は聞こえない。
ただ目の前の草むらから、ギギと雉の鳴き声が響いていた。
私は深く息を吸って、ほうっと長く吐き出した。
やわらかい息が、手のひらをそっと、あたためる。微かなぬくみが、不安な心をなぐさめてくれた。
今日からの、新しい門出にふさわしい朝だ。
壁のハンガーにかけた制服に、はじめて手を通した日。
(窓を開けると…… 02)
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