エイプリルフールだから嘘告したんだけど、皆ヤンデレ化するなんてね。嘘みたい(現実)
猫丸
プロローグ
4限目終了のチャイムが鳴る。
俺は弁当を片手に立ち上がり、急いで教室を――
「海斗、ご飯食べよう」
俺の隣に黒髪ロングヘアの美少女が立っていた。
俺の幼馴染の
美鈴の手にはしっかりとお弁当が握られていた。
……ふざけるなよ。
まだ昼休みに入って1分すら経っていないんだぞ?!
それなのに俺が足を動かすよりも早く、俺の隣に立つなんて……
人間じゃない。
マジで人間じゃない。
「う、うん。そうだね」
俺は席にそっと腰を下ろす。
「それで、海斗どこか行こうとしてたよね?」
ゾワッ
背筋に流れる悪寒。
美鈴の表情を見ると穏やかな笑みを浮かべていた。瞳のハイライト消して。
逃げてました、なんて答えられるわけがない。
ここは、美鈴が喜ぶ回答を。
「俺も一刻も早く美鈴に会いたくてさ。俺の方から会いに行こうと思ったんだ」
「うれしい!ありがとう海斗!」
美鈴が俺に抱きついてくる。
「ちっ、外でやれよ」
「こんなところでイチャつくなっての」
「死ね」
ハイ残念。そこで俺の悪口言ったやつ、聞こえましたよ?
後で殺します。
「……顔は覚えた」
美鈴がね。
「せ・ん・ぱ・い♡」
「うわっ」
耳元で艶やかに囁かれたため、びっくりして声を出してしまう。
この声は、
振り返ると予想通り金髪ボブカットの少女がいた。
「……雌豚さんもいたんですね」
「……ぶりっ子クソ女」
俺を挟んで喧嘩しないでくれよ。
「うわぁ、やっぱかわいいよな沙織ちゃん」
クラスの男子が至るところで沙織の話をする。
横目で沙織を見ながら。
「汚い目で私を見ないでください」
教室が静かになった。
殺意の籠もった瞳で。
……怖い。
何が怖いかって、こんな怖い後輩が、
「せんぱーい、今日も私が食べさせてあげますからねー♡」
俺にだけ優しいことなんだ。
人間としての尊厳はねぇけどな。何が食べさせてあげるだ。俺は赤ちゃんか?
「ありがとう」
断らないけど。
断ったら何をされるか……
「海斗?どういうことかな?どうして私以外の女と話すの?どうして私だけを見ないの?浮気かな?そうだよね?やっぱりこんなところに通うから行けないんだよ?もう辞めよ?こんな学校。海斗のためにならないよ。大丈夫。海斗は私の部屋にいるだけでいいんだから。お金も私が稼ぐから。私のことも自由にしていいよ?だって私と海斗の仲だもん。だからね、私だけを見て。私だけを愛して。他の女に触らないで。話さないで。見ないで。それでね――」
怖い怖い怖い怖い怖い。
何唱えてるの?呪詛?
わからないけど、わからないから怖い。
でもなんとかしないと。あの美鈴はまずい。
「せんぱーい♡あ~ん♡」
「ちょ、ちょっとま、んぐっ」
喋ろうとして開いた口の隙間に沙織が無理やり卵焼きをねじこむ。
「美味しいですか?」
まずい。めっちゃ美鈴がこっち見てる。
でも、答えないと。
「……お、美味しいよ」
「じゃあもっとあげます♡」
「海斗?」
あ、終わった。
「クソッ、こんなところでイチャつくなよ」
「美少女二人も侍らせやがって」
「代わりてぇ」
お前たちに目はついていないのか?
代わりてぇって言ったな?代わってやるよ。代われるならな。
ああ、どうしてこんなことになったんだろ。
俺が全部悪いんだけど。
でも、あの時はこんなことになるとか思っていなかったんだよ。
まさか嘘告したらオッケイされるなんて。
その上、2人がヤンデレになるなんて。
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