#女子高生、他愛も無い。
小林真紘
第1話 告白の秘密
「男子から、告白されたっ!」
「……へぇ、そうなんだ」
なんて、適当な相槌を打って――っと。
「……
帰宅の脚も止めないで。
「えぇ、そうかなぁ?」
ふふっ。私の声、あざとい。
だとしたら、多分それ。
あまりに奇遇だったから、逆に反応薄くなったヤツ。
だって私、ついさっき。
掃除終わりの放課後に、2組の男子に裏庭で――告白された、ばっかりだからっ。
よし、この話。
佑菜の話題が終わったら、最後に話して驚かせてやろっ!
「あー暑い、暑いね、佑菜。今日で4月も20日だし、もうすっかり熱い
「え、どうしたの急に。
「
「正解……! よかったぁ〜! あ、
「いやバカにし過ぎ」
佑菜、大きく開いた口で。「あははは」って、いつもみたく――
ヒュオッ!
っ、風が……ぁ。
くりっとした魅力的な
佑菜の魅力を、風が手引きして。ほんの一瞬だけ、跳ねた。
瞬間、今、この風景。
なんて事ない商店街の、どうって事ない背景が。
藤沢佑菜を中心にした、一種のパノラマ写真みたいに。
――まぁ、視えたよね。
同じ
なのに佑菜って、アイドルみたい。
私も長い黒髪から、茶髪のボブにしよっかなぁ。
「で、あたしの告白話なんだけど!」
「あ、うん」
そうだった。
佑菜、溜め息
「今回も――断りましたぁ」
「あー、そうなんだ」
うん。佑菜って、スゴい。
入学してから学校で、もう3人から告白なんて。
こんなに普通、ぽこじゃかされない。私は今日がお初ですけれど?
「で、今回ダメな理由は? 1人ぐらいは付き合ってみても、損はしないと思うけど?」
なんて、有識者みたいだ。
私、恋愛初心者なのに。
でも佑菜、「んー」って神妙に――
「……意味不明だから」
えーっと、
「どういう意味……」
「そのまんまの意味だよ、有佐っ。だってホントに顔も名前も、知らない赤の他人から! 1人で体育倉庫に来いとか、“あーボコボコにされるんだぁ”って、滅茶苦茶ビクビクして行ったらさぁ――」
私は裏庭呼ばれた時、ドキドキ甘酸っぱかったんだケド。
「急に“付き合って下さい!”なんて、もう安心を通過して、意味不明だったんだよね。お互い、見ず知らずの学生。何組かも知らなかったんだよっ? それにほら、見てよこれ」
って、突然自分の財布から。
佑菜、万札を3枚――え?
「何その大金……」
「お年玉。
佑菜って、
「――っ、ふふふっ!」
「え、有佐? 何の笑い?」
「いや、ううん、何でもない。けど佑菜、告白は意味不明じゃないって。だって佑菜はアイドルだから」
それに、胸の発育も良いし。うん。
――恋愛って、予約が効かない。
本当はシーソーなんかじゃない、早い者勝ちの椅子捕りゲーム。
4人目、5人目、あるんじゃない?
「えぇ、ますます意味不明だけど……。有佐、やっぱりおかしくない?」
「おかしくないってば。みんなが佑菜に一目惚れ、ただそれだけの事だって」
って、お世辞みたいな真実を――
「いやいやいやぁ。有佐みたいな美人ならともかく、あたしに一目惚れなんて無いって!」
は?
「ぇ、私が美人……?」
「うん。あれ、言わなかったっけ? 特にツリ目な感じとか〜! あたし、めっちゃ好きだけど」
ぅえ、そ、そんな事っ……!?
「ぁ、あーもー! 佑菜と話すと調子狂うっ!」
「え、あたし何かしたっ……!?」
「しましたー」
っと、話してる内に駅前だ。
帰りの電車、同じ方向だったら良いのに。
「それじゃあ佑菜、またあし――あ、そうだ。佑菜に告白した男子。3人目って、どんな人?」
からの、私の
佑菜の反応、想像付かないっ!
「どんな人って――2組の。バスケ部所属の
は?
カブった。
じゃあ、私って。
藤沢佑菜の、妥協案んんッ!?
「――ふは、フハハハハッ……!?」
「うわ、有佐ブッ壊れた」
「大丈夫、すぐ治る。ところで佑菜、西平君の弱味とか知らない?」
「え。……部室で飲酒してやがる」
「そっか、ありがと。証拠押さえて、バスケ部顧問にリークしとくね」
「有佐……西平君の裏アカ、教えてもらったけど使う?」
「使う」
「じゃあその内、怒りの理由教えてねっ!」て。
佑菜、他愛も無い約束して。
踏切の先に、消えてった。
――あれから3日。
消えた佑菜、戻らない。
裏アカに投稿されていた、西平君の飲酒写真。
私の
けれど、私の大切な。クラスのアイドル、藤沢佑菜。
私の為に、堂々と――うっかり巻き込まれて消えた。
春の裏アカ大精算。
西平君が教室で撮った、1枚の写真背景に。
携帯ゲーム機
……あぁ、もうっ!
佑菜って、そういう
早く停学から、戻って来ぉいっ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます