第12話 そろそろ難しいお話

『出る。。?』

『ああ、ここは世界の中の世界。ここから出ないことには何も分からないし、煌。お前も何も思い出せないと思う』

『うーん。そうなのかもしれないけど、出るって言ってもどーやって出るの?』

『『外の人間しか出せない』』

『!?!!?』

『落ち着け、今は争いの時では無い。』

『そうよ〜、あたしなんて今でも結構死んじゃいそうなのよ?あなた達のせいでね』

『おめェらから襲ってきたんだろうがよ。。!』

『仕方がなかった。としか言えんな』

『はぁ?何をどーしたら仕方なく俺らを殺すことになるんだよ』

『今、貴様らの母国、ボルク半島は我々の母国イデアルと戦争をしている』

『戦争?母国?』

『先程そこの少年が言った通り、ここは世界の中の世界。そして貴様らは普通の10分の1以下のサイズになり、その世界に入れこまれた。記憶を改竄されてな。』

『盗み聞きうまいねぇ。てかなんであんたらは知ってるの??』

『我々は貴様らが兵器になる前に殺せと、イデアルの王から命令を受けこの世界に入ってきた。そして貴様らのように、チップは埋め込まれていない。故に記憶は繋がっている。』

『なるほどねぇ。。で、それと僕たちを急に殺しに来たこととなんの関係が?』

『聞いていなかったか?貴様らは。兵器だ。我々イデアルの大きな脅威となる。故に殺さねばならなかった』

『兵器になる。ねぇ。。』

『よく分かんねぇけどよ、俺たちは俺たちだ。知らねぇ国のために戦わねぇよ』

『今は、な。そこの少年を見よ』

『あら、前に炎出しまくってた男の子、なんだか凛々しくなってない?』

いいや、凛々しくなった。という言葉では表せない。焔は怒り狂っていた。しかしそれと同時に冷静であった。記憶が繋がったからこその、冷静さであった。

『あんたらの言いたいことは分かってるよ。この世界で、僕たちがなんらかのきっかけによって兵器となる前に殺さないとダメなんだよね。僕達は兵器となった時、誰も止められない。そんな力を手に入れるから』

『左様。そして我々は貴様らを殺すために、チップの代わりに神に等しい力を授かった。』

『まぁ、強くなるけどその分すぐ死んじゃうのよねぇ』

『俺たちの今の力は、チップによって支えられてる。記憶の代償として、力を授かった』

『そ。でもあんたみたいな記憶もあって力もあるやつが出てくるなんて予想外。厄介すぎるのよ。でもね、あなた達も私達も、兵器なるきっかけ、を知らないの。イデアルの王もそれが分からないから早く殺せって事なんだろうけど。そこのイケメンくん、記憶戻ったんなら分かるんじゃない?』

『分からないね。全く。僕は幼い時煌と一緒に科学者たちにチップを埋め込まれた。そしてこの世界に入れられたんだ。その時はまだ、戦争なんて起こっていなかった。でも確かに、僕たちをなにかに利用しようとする声は聞こえた。科学者たちの。』

『ふーん?埒が明かないわねぇ。』

なんだか、敵が目の前にいるのにゆるい雰囲気だ。みながそう思っていた時。

『やはり、、、甘いな』

地面から数えられない量の棘が飛び出てきた。それと同時にどす黒い色をした雨が降ってきた。

『あなた達、馬鹿じゃないのぉ?あたしの回復待ってくれえありがとねぇ』

『あーあ、ハメられちゃったんだぁ』

『そうらしいなぁ、。!腹立つぜほんとに!!』

『飛んでも逃げきれないね。これは壊すしか無さそうだ』

煌と宵が構えて、光と闇のオーラを解き放った。が、消えた。何も無かった。彼らの手には。

『あれ!出ない!?』

『もちろんよ、雨、降ってるでしょ??』

『まさか。。!!』

『あんた達の力なんてぜーんぶ無駄よ。あたしの前じゃね』

『やっばいかもねぇこれは、、!!!』

『煌、宵、下がって。』

『焔!ダメだよ!君の炎も出やしない!』

『大丈夫だよ』

そう言って、焔は手を合わせた。

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そこは、地獄だった、灼熱の。

息をするのも命懸けの、地獄。火山がいくつも立ち並び、溶岩がグツグツと音を立てている。

『うっ。!何ここ!!』

『苦しすぎる。。おい!焔あぁ!お前、意識空間か!これ!』

会話が出来なくなるほどの暑さだった。

『うん。そうだよ。すぐ終わらせるから待っててね』

『ちょ、ちょっと何よあんた!あたしの水、全部蒸発しちゃって意味ないじゃない!ちょっと!助けてよパパ!』

ユイの父は、確かにバラのトゲのような物を無数に飛ばしていた。しかしそれがいつまで経っても焔達に届かない。違和感を感じ後ろを振り返ると、そこには、誰もいなかった。

『。。え、、?』

『この意識空間に君の父親は入れてないよ。』

焔は押さえ込んでいた怒りが爆発していた。1人ずつ、確実に殺すつもりだった。

『そんな、、、いやよ!いや!やめて!!』

『もう君は、父親の顔を見ることは出来ないかもね。ごめんね』

焔が手を伸ばすと辺りの火山からとてつもない量の溶岩が流れ込んできた。そしてユイだけを包み込み。シュゥゥ、と音を立ててその姿を亡き者にしてしまった。

『ほむ、ら、息、、しぬ。まじ。。で』

『ああ、ごめんね。』

焔が指を鳴らすと、またさっきまでの場所に戻っていた。1人減ったが。

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