拙作を増やす日々
埋もれていく言葉の数々
第一話じゃないよ、こんちくしょうめ
そうやって当たり散らしてもどうにもならない事は分かっているのです。書き進める事が、書き終わる唯一の道であるのに、そうではなくて罵倒を行うなら、始まるものだってありはしないでしょう。僕はそれが分かっているから、こうして文章を連ねて、何かを解決しようと試みているのです。今日もまた失敗しています。というのも、これでは物語を書き進める事は叶わないのです。しかしそれができるのなら、こんな文章を書こうとも思いません。そうして僕は諦め通しの人間です。
そうして全て投げ出してしまう事もできる。それすらできないでいるから、突き詰める事も、捨て去る事もできずに、パソコンのモニターか、あるいはスマートフォンの画面か、視界を占有しきれない欲望を見て悶々とするばかりである。どうにもそういう生き方に流れてしまう。嫌なものだが、それが自分だ。
良い事は一つある。これが他者ではないという事だ。後は無い。後には苦悩とも言い切れない稚拙な思考が続くばかりだ。幼いのに老いた感覚を持ち、燻っているのに進んでいると感じ、同じ風景を見て成長を感じようとする矛盾を抱えている。しかし道を外れる事も無いから、日々を台無しにもしてやらないのだ。日々を退屈にさせているのはいつも自分だ。それを他者や環境のせいにできるのは、努力した者だけだ。僕はそういう人間ではないから、発散できない怒りが蓄積していくばかりだ。
立派な人ではないが、人の上に立つ事もないから、下を見て安堵し、上を見て溜め息を吐くばかりである。嫌な人間だとつくづく思う。しかし自分だ。だから自分だ。他の誰でもない者だ。僕はこれが嫌いだ。
そんな僕であっても、物語を書く者になろうと思っている。思っているばかりではない。書いているばかりでもない。どうにも上手くいかないが、失敗しているとするにも限度がある。文法を大きく誤っているでもない。誤字脱字が目立つでもない。ただただつまらない。そういう気持ちと向き合って、続けていくしかない。そうやって弱いのか、強いのか、突っ張っていないと立っていられないだけなのか、いまいちよくわからないでいる。それだけの日々だ。誰にでも訪れる、何てことない不自由だ。僕はそこに生きている。ただそこに存在しているのを、そうやって自立しているかの様に表現するのは不適切だろう。だが、そう伝えるしかないのだ。
そうやって面白くもない汚さを見せつけているから、作家に向いていないのだろうと思う。面白ければ、汚くとも良い。血生臭くとも、苦しみ喘いでいても、不幸のどん底に全速力で走っていても、面白ければいいんだろう。僕のはただつまらない。そういう不正義を抱えているのだろうと思う。しかし、それは作品のせいではないのだ。舞台設定や登場人物のせいではないのだ。僕のせいだ。僕でなければ誰なのだ。そうやって問うてみると、誰であっても成立し、僕は確たるものを持てずに生きていると分かる。ここにいるしかないのに、ここにすらいない気がする。僕はそれが悲しくて、どうにかここに僕をいさせようとしているだけなのだ。それがつまらないのならば、それはやはり不正義なのだ。僕は正義を成さねばならない。
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