小さめの池にも生物はたくさんいる
さて、今日も暑い。
なので今日も俺たち家族は、子どもたちと一緒に水遊びをしている。
今日は小川ではなく小さな池なのが違うところだ。
「お前さん達、池は急に深くなったりもするからあんまり奥に行くなよ。
おばけに足を引っぱられて水にに引きずり込まれちまうからな」
双子たちはブルッと震えて抱き合いながらコクコクうなずいた。
「ぜったい、いかなーい」
「ぜったい、いかなーい」
池というのは突然深くなったりするので案外危険なのだ。
しかし池には川とは違う生物が住み着いているのが面白いところだ。
「とーしゃ、これなにー?」
「とーしゃ、これなにー?」
双子が小さな亀を見つけて指を指した。
「おお、そいつは亀だな」
俺は水の中の子亀を捕まえて見せた。
つかまえられた亀は左右を見渡した後、首や手足を引っ込めて隠した。
双子は不思議そうにしている。
「かめしゃんいないー」
「かめしゃんいないー」
俺は笑って言いながら亀を水に戻した。
「そのうち出てくるさ」
俺の言ったとおり亀はやがて手足や首を甲羅の中からだして、水の中をノタノタと歩いていった。
「かめしゃんでてきたー」
「かめしゃんでてきたー」
亀が首や手足をだしたのを双子は喜んでいる。
まあ、亀って面白い生物だよな。
大型の爬虫類が大量に絶滅した時にトカゲは小さくて穴に潜っていたので、蛇は木の上にいたので、ワニと亀は水の中にいたのでそれぞれ生き延びて来られたのだが、ワニは住める場所がかなり限られたのに対して、亀はかなり広い地域に住んでるのは、ワニが攻撃的な生物なのに対し亀は防御的な生物だからだろう。
「とーしゃ、これなにー?」
「とーしゃ、これなにー?」
双子が今度はカエルを見つけて指を指した。
「ああ、そいつはカエルだな」
水の中をすいすい泳いでいる小さい緑色のカエルを見てまたしても、双子はわきゃわきゃ喜んでる。
こういう時代だから小さな女の子でも亀とか蛙とかに苦手意識は特に無い。
ある意味貝のほうがむき身だとグロいやつも多いしな。
「おもろー」
「おもろー」
カエルは池の水から地面に揚がってぴょんぴょんはねていく。
そんな風にして池に住む動物と存分に双子は戯れて遊んだ。
俺が双子と遊んでる間にイアンパヌと上の娘や息子は大きなスッポンや鮒を網で捕まえてる。
この時代からスッポンは食べ物として珍重されてるんだ。
煮ると旨いダシも出るしな。
スッポンが噛みつく力は強く、すっぽんの体に触った場合は自己防衛の為食いつこうとするしスッポンは雷が鳴っても離さないという譬えがあるくらいだが、実は噛まれた場合無理に動かさずにいれば10秒程度で離れるし、早めに水に戻せばそのまま泳いで逃げるぜ。
ちなみ俺達は蛇やヤモリなどのトカゲと言った爬虫類、大きな蛙やスッポン、サンショウウオと言った両生類も食べる。
まあ、食べると言ってもそういった動物を必ずしも意図的に捕まえて食べるわけではなくて、家の中に侵入した蛇とかを退治したり、こういった小さな池で遊ぶついでにみたいな感じだけどな。
この時代はでかい魚が多いからそれに比べれば小さい獲物を無理して捕まえて食べる必要はないし。
日がな一日遊んだ後、家に帰って捕まえたスッポンを早速さばく。
スッポンは爪、甲羅、胆嚢、膀胱の四つ以外は全て食べられる。
しかし、スッポンは傷みやすいので生きたまま魚籠に入れて持って帰る。
スッポンは腹を上に向ければ起きようとして首を出すのでその時に左手で首を掴んで握り、めいっぱい引っ張りだして根元から手早く切り落とす。
そしてひっくり返して甲羅とその周囲の柔らかい部分の境目にナイフを入れて甲羅をはがしとる。
甲羅を剥したら胆嚢と膀胱を切り取る。
「傷つけないように慎重にっと」
そして腸を取り出ししごいて中に詰まってるものを取り出してからさらに洗って綺麗にする。
手足の爪は根からナイフで切り落とす。
スッポンの肉は四つの手足と、首の部分にあるので、皮を剥いて肉を骨から剥がし取る。
後は土器に甲羅と骨と内臓と肉を入れて三枚におろした鮒と一緒に煮込む。
「ほれ、お前さん達、熱いからよく冷まして食べるんだぞ」
煮えた身を小さな椀にとって少し冷ましてやってから双子に渡す。
「あーい」
「あーい」
双子が更にフーフー吹いてから石匙で鮒の身をすくって口にする。
「うまー」
「うまー」
ぱあっと笑顔になる双子。
「おお、それは良かったな」
そう言いつつ俺もよく煮えた鮒を食う。
「ん、たしかにうまいな」
イアンパヌや上の娘息子もうまそうに食ってる。
タダでうまいスッポンを食えるんだからある意味いい時代だ。
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