慣れない仕事のせいか、その日は寝つきが悪かった
目の前、診察台に寝転がっているのはまだ十代の女の子だ。一人で上京して、すぐにくすりにハマってしまったらしい。そして、今夜の俺の仕事はこの女の子の処理だった。
「あ、ぅあ」
焦点の合わない目、意味のある言葉を吐けない口。一般人が見ても「キメてる」とわかるような有様だった。
「……ったく、これが専門のやつもいるだろうに、なんで俺のとこに来たかねえ」
愚痴をこぼしながらも、手は動かし続けている。今彼女には、とある薬を点滴でいれていた。そろそろ意識がなくなる頃だろうかと、視線をそちらへ移せば女の子の瞼が閉じているのが分かった。
「……おやすみ、そしてさよなら」
この子はこのまま、ここで命を終える。それが、俺の今日の仕事だった。
(「goodbye」を姫宮風に訳すと「もう会えない」になりました。
#goodbyeを訳してみた より)
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