今日バトる?バトらない?~VRMMOで最強になると誓ったあの日に出会った最強の男が同級生(女)だったことを俺はまだ知らない~

くらんく

プロローグ

1-1 ヤバい奴?

 春は出会いの季節である。

 桜の木に囲まれた柴北学院にもまた、その季節が訪れていた。

 春とはいえ、ここ北日本はまだ空気が冷たい。

 桜はまだ蕾で、日陰には雪も少しだけ残っている。

 だが、そんな事を意に介さない熱い男がそこにはいた。


「ここが俺の学校か……」


 制服のブレザーと鞄を肩口に担ぎ、鋭い眼光で校舎を見つめる男。

 その名は千堂京真せんどうきょうま

 背は高く、筋肉質。

 身の詰まった二の腕が、膜られたワイシャツから顔を覗かせる。

 春風によって一本に結ばれた黒の長髪は大きく揺れていた。

 

 周囲の新入生の中には、彼の姿を見て恋心を抱く者もいた。

 彼の言葉を聞くまでは。


「俺はここで最強になる!最強の男になるぜ!!」


 周囲の新入生は思った。

 この男はヤバい奴だ、と。


 そしてここにいる女子生徒、後鳥羽透ごとばとおるも思った。

 コイツとだけは関わらないようにしよう、と。


「じゃあ次の人、自己紹介して」

「俺の名前は千堂京真だ!」


 同じクラスになった。

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