5

 私自身の性格とかそういう問題になるとは思うが、ネガティブな思考を持っている。何かあるとすぐに“死ねばいいんだ”となる。誰も私がいることで得だとは思わないし、むしろ損なのだと思っている。

 こういう風になったのは幼い頃からの私の育ち方にあると思う。私は双子で下に弟を持つ三兄弟なのだが、自分だけ極端に親から雷を落とされていたと思う。同じようなことを周りがしてもそんなこと言われないのに私だけなぜとなってしまう。自分だけ理不尽に怒られているのではないかと思ってきて自分なりにどういうことなのか解釈するようになった。出した結論は“自分は捨て子で両親のサンドバックとして良いように使われているのだ”というものだった。なので親が怒っているのはストレスが溜まっているのだと解釈できるようになった。

 ただそれも積み重なってくると本当に自分は必要なのかと疑問が湧いてくる。代わりはいくらだっているのだから自分が死んだって誰も不幸にはならない。自分自身は生きていることが辛いと思うのだから今すぐにでも死んだって良いのではないか、そうやっていつも思った。

 そして遂には親は私が死ぬことを強く願っていると思うようになった。なので怒られるたびに死んで欲しいのであれば言うって欲しい、相互に思っているのだから誰も損をしない。

 小学生の頃、義務教育である中学校を卒業したら家を出て行けと言われた。親の確実にしないといけない範囲から離れた一番早いタイミングで追い出そうとしているのである。本当に私は必要のない存在で死んだってどうとも思わない(喜ぶ場合もここに含むものとする)のだと確信した。

 私は一つも間違ったことを言っていないと思う。親からは“私の死”が求められている。周囲の人に迷惑をかけずに私が死ねれば世界中の誰もが喜ぶ世界が作れるはずだ。そういうみんなが喜ぶ世界を作るためにも早く死ななくてはならないようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る