第20話 07時45分

 久梨亜の家からなら最悪07時50分に出れば、まあゆっくり歩いても学校には余裕をもって到着する予定で俺は動いていたが――この後予定が1つ増えた。

 俺の家に寄ることになったからだ。何でだよ。


「久梨亜、俺が行ってくるから。先に学校向いて歩いてけ」

「ゴウちゃんの家行くー」

 

 わがままなガキ発動。


「来るなー」

「行くー!」


 ちなみにそんなやり取りのち。結局俺は久梨亜とともに移動することになった。揉めていると進まないのでね。なら揉めながら進んだ方がまだマシだからだ。


「あっ。とりあえず行ってきます。親父の事は――また確認しておきます」

「行ってらっしゃい。気を付けてねー」


 俺は久梨亜の家を出る際に久梨亜母に挨拶をして――即ダッシュ。すると後ろで久梨亜も「いってきまーす」と言いながら俺を追いかけてくる、って――こういう時の久梨亜はマジで速い。普通に俺に付いてきたのだった。というか追いつかれた。すぐに追いつかれたのだった。先ほどまでのだらだら娘。何故か家を出ると――万能少女に早変わり……なんでだよ。家でもそれしろよ。ってか、俺を抜くのでは?というスピードで追いかけて来るな。スカートめくれ上がりそうなのはいいのか?って――やっぱり今日も全くスカートは乱れてないというね。久梨亜走り方を心得ているというのか――マジわからんやつだ。外で俺追いかけられることは多々あるが――マジで乱れが無いんだよな。家では乱れまくりなのに……謎多き幼馴染。


 まあそんなことを思っているとすぐに――はい。俺ただいまである。自分の家にまた戻って来たのだった。前に進むではなく。後ろに戻るを新学期からしている俺達だった。

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