第7話 06時43分
久梨亜が起きてくれたところで俺は時間を確認するが――。
「ヤバい予定通り進んでいない」
既に俺が予定している時間を過ぎている。このままのペースでは、新学期そうそう遅刻が現実となる。新学期初日から2人で遅刻とか嫌だからな。そんなことで目立ちたくないである。じゃなくてもこのガキは目立つんだから……。
俺はぼーっと笑顔でベッドに腰掛けてこちらを見ている――って、こいつ座りながら寝ているかもしれない。そのため俺は再度久梨亜を引っ張る。そして頬を軽く叩く。
ぺちぺち。
「痛い!起きてる!何で叩くの!意地悪!」
叩きつつ久梨亜を立たせると久梨亜の頬が膨らんでいた。決して俺が叩きまくっていて腫れたではない。自分で膨らませている。
「次の行動をしないからだ。ほら早く着替える。または洗面所行くか。今日はどっちからだ?」
俺は強制的に久梨亜を立たせ次の行動を促す。
「うーん。着替える?」
何で聞いてくるんだよ。だが――久梨亜はそう言うと俺の前で背伸びをする。ちょっとおへそが見えているのは――いつもの事なのでもう見慣れている俺は何も言わない。
「じゃ5分で着替えろ。出来れば4分以内な」
「短いよー。1時間はかかるからー」
「……誰かが起きないから時間が短くなっているんだが?っか。面白がってるな?その顔。よし、起こすために引っ張るか」
俺は久梨亜の両頬に手を伸ばす。昔からの事で、毎回頬を叩いている俺。幼馴染の頬を持つくらい余裕である。
「ヤダヤダ痛いの嫌だよー」
「子どもか!」
「子どもー」
「……」
呆れた何も言えん。このガキどうしたらいいんだよ……と俺が思っていると、久梨亜が俺の顔を心配そうに覗き込んできた。
「……ゴウちゃん?怒った?」
「怒りの感情はどこかに忘れてきたらしい。呆れてる」
「なんだー。じゃあもう一回おや――」
久梨亜は安心したのかそう言いながら布団にダイ……。
「おやすみなさい。とか言ったら二度と来てやんないからな」
「ごめんなさい!」
ブ。を強制終了して俺の前に戻って来た。
「——無駄に謝るのが早いな」
このだらだら娘。俺がもう来ないと言うとすぐに謝るんだよな。ちなみに、ならはじめから「起きないならもう来ない」と言えばいいと思った人も居るかと思うが……はじめに言ってもね。今みたいに一応起きてないと効果なしだったんだよ。うん。寝惚けていると効果なしというね。それは過去に経験済みだ。無駄なことだった。本人が理解してないのに俺が言っただけでは――まあ意味なしというやつだな。俺がちょっと突き放した態度を取っても――その後で普通に学校とかでいつも通り接してきて――気が付いたら翌日結局同じことを俺は繰り返すという。うん。もしかしたら俺が久梨亜に甘すぎるのかもしれないが――まあそういうことだ。
「ってか、ゴウちゃん」
「なんだ」
「着替えたいから早く部屋出てほしいんだけど――見られるのは恥ずかしい」
「……なんかいろいろ言いたいが――まあいい。早く着替えろよ」
「はーい」
久梨亜が返事をしたところで俺は廊下へと移動したのだった。
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