第1話 06時10分

 あと5分と思いつつ俺はいつも通りの時間にベッドから起きる。背伸びをしたあとまだ頭が回っていないぼんやりとした感じのまま、ここ何年かの日課。各部屋のカーテンを開ける。

 ちなみに窓は開けない。休日だと開けることもあるが。今日は平日。俺は学校があるため。ここで開けると閉め忘れる可能性があるからな。そうそう俺は学生。高校生である。

 今家には――ちょっと待ってくれよ。もしかすると居るかもしれないが……いや、親はね。親父が居るんだが。自由奔放で、基本家には居なくて突然帰って来るんだが。うん。うん。居ない。まだ帰って来てないな。一応明日帰って来るとは聞いているが――あの親父早く終わったからとかで普通に部屋で寝ていることがあるからな。夜な夜な帰って来て無駄に荷物をリビングに散らけてな。でも今のところ俺が昨日寝た時のまま。綺麗なままだ。だから親父は留守である。

 家の各部屋のカーテンを開けたその後の俺は眠気覚ましにそのまま顔を洗いに洗面所へと移動する。これもいつもの流れ。休日でもこの流れは同じかと思う。いや、そこまできっちり毎日同じ流れをしなくて良いだろうと言われるかもしれないが。何年んと同じことをしていると。いつもと違うことをするとなんか違和感というか。あとあとずれが生じるのでね。いつも通りの朝を俺は過ごす。

 顔を洗って目が覚めた後は自分の部屋へと戻る。ここまではいつも通りである。

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