第16話 奏、気合を入れる!
――奏視点――
「橋本君」
「ん?」
「改めて、大好きだよ」
「ごほっ!!??」
橋本君がむせた。
ふふ、可愛いなぁ。
何で私は皆の前で改めて告白をしているか?
それはクラスメイト皆に「橋本君以外興味ない」とアピールする為。
他にも一つ理由があって、他の女の子が橋本君に寄ってこない為。
プロゲーマーって、何故かわからないけど実情を知らない人からはお金持ちって思われる職業なんだよね。
ぶっちゃけ賞金とか得ないと稼げないし、スポンサー料だってチームだった場合は分割になってしまう。
それを知らずに寄ってくる異性は結構多いんだ。
だから私の想いを皆に知らしめて、寄ってくる女の子に牽制しているって訳。
……嘘です、ごめんなさい。
橋本君と他の女の子が仲良くなって欲しくないだけです。
「もちろん、今夢を追っているから私にかまけてる暇がないのはわかってる。でもね、"NEO"さんに必要なのは私しかないって絶対に思わせるから、覚悟してね?」
正直恥ずかしいよ。
でもね、ここまでしてでも私は"NEO"さんにとっての"トリニティ"になりたいんだ。
だから、ある意味私の意思表明みたいなものだね。
あはは、橋本君、まるで水面に上がった鯉みたいに口をパクパクさせて赤面してる!
別にからかっている訳じゃないけど、それだけ私の事を意識してくれているって事だから、かなり嬉しいな。
「さ、桜庭。あ、あ、あのさ、場所選んで、言ってくれない?」
すっごい茹でだこみたいに顔が赤くなってる!
どうしよう、すっごく可愛くて抱きしめたくなるんだけど……。
「生配信で言ったでしょ? もっと積極的になるって!」
「た、確かに言ってたけど!! 場所、場所を選んで!!」
「絶望を乗り越えた私は、場所は選びません!」
「選んで!! 僕が持たないから!!」
「ええ~、どうしようかな?」
もうクラスメイトは蚊帳の外だ、今は私と橋本君の世界になっている。
でも、「教室でやるな、外でやれ!」というヤジが飛んできたので、そろそろやめようと思う。
私は橋本君に「じゃあ、また夜ね」って伝えて自分の席に向かった。
これ位積極的にならないと、きっと橋本君は私を好きになってくれない。
頑張らなきゃ、私!
のんびりしていると、きっとライバルが増えていくと思う。
実際、髪を切って少し明るくなった橋本君は、とても魅力が増したように感じる。
だからのんびりなんて絶対していられない!
私は心の中で気合を入れ直した。
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