猫みたいな博士と助手の話
「そう言えば、今日って『猫の日』だそうですよ。」
僕と博士しかいない研究室では、僕のちょっとした声が響く。
「ほう、『猫の日』?」
「はい、なんかTwi〇terのトレンドで『猫の日』ていうのが上がっていて、沢山の猫動画とかが上がっているんですよ。ほらこれとか可愛くないですか?」
「うん、確かに可愛い。」
「なんで猫ってこんなに可愛んでしょうね?」
「うーん、流石にこれは科学じゃ分からないな。だが、ダヴィンチが猫の事を『最高傑作』と称したのも頷ける。」
「ホントですね。僕もその言葉には納得です。」
そんな感じで僕と博士はスマホの猫動画をじっと見る。
「……なんかこう見たら博士もなんか猫っぽいですよね?」
「ほう、それは私が猫のようにすごく賢いという事を言っているのかな?」
「戯言はほっといて。だって博士、マイペースで自由奔放、そして人見知りじゃないですか。……あげてみるとホント猫ですね。」
「……別に戯言じゃないんだけどな。うむ、言われてみたら確かにそうだな。」
「でしょう?それに博士はホント自由な人だから、気づいたらフラッと僕の前から消えてしまいそうですし……。……なんか、言っててちょっと寂しくなってきたな。」
「はぁ、なんて勝手な想像をしているんだ。君には私がそんな薄情なやつに見えているのかい?」
「まぁ、いや、そういう訳じゃないですけど……」
僕が少し俯きながら言うと、博士は僕の白衣の袖をキュッと掴む。
「こんな優秀な助手である君を置いてどこかに行くわけないだろう。」
「博士……」
ふふ……、なんか嬉しいな。
だけど、このままは何か悔しい。
そう考えた僕は博士の両頬をむにーとつまみながら、一言。
「というか博士は僕が面倒を見ないと生きていけなそうですね。」
「むむむ、言うようになったじゃないか君は。」
「ふふふ、はい、という訳で休憩はお終いです。続き、やりますよ。」
「えー、もう疲れたよ。」
「四の五の言わない。はい、博士そこのビーカー取ってください。」
「はーい。」
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