八話
「――う……?」
俺はベッド上で目を覚ました直後、一瞬この綺麗な部屋はなんだと思ったが、そうだ、ここは自分のスキル【ダストボックス】の中だった。
昨夜は『クリエイト』で光る壁掛け時計も作ったため、ちょうど早朝の5時を過ぎたところなのがわかった。
もう少し寝ようかと思ったが、そろそろ起きて何か魔法でも作るとしよう。そうだな、眠気覚ましの効果がある魔法なんてどうだろう。その名も『アウェイク』だ。使用したら即座に目が覚めたので便利すぎる。
そのあと、昨日の残りの食料を少し食べようかと思ったが、思い直して物を大きくできる『ラージ』という魔法を作り、それで食料を巨大化させて食べることに。これなら節約にもなるしな。
腹が膨らんだところですぐに『スモール』で元に戻し、さらに腐らないように『フローズン』の魔法をかけて凍結させたところで、【魔法作成】のレベルが3まで上がった。
【ダストボックス】を出た俺は、旧校舎から歩いて教室へと向かおうとして立ち止まった。
そうだ、この際だから一瞬で移動できる効果の魔法を作っておくか。ということで、一度行ったことのある場所ならどこでも飛べる『ワープ』の魔法を作り、自分の教室の前に飛ぶことにした。
「――き、如月優斗っ!」
「あ……」
目の前に誰かいると思ったら、担任の反田憲明だった。
「君はこんな大事なときに、一体どこにいたというのかね!?」
「きゅ、旧校舎ですけど……」
というか、それはこっちの台詞なんだがな。こいつこそ今までどこに隠れてたんだか。
「学校が大変なときだというのに、どうせ臆病者のお前はコソコソと逃げ回っていたのだろう! まったく、お前みたいな性悪の生徒はいじめられて当然だな! お前には人間性というものがあるのか!?」
このクソ教師、調子に乗っていつもの説教まで始めやがった。
ってことは、それだけ学校内も落ち着いてきたってことなんだろうか。まあスキルに加えて食料まで配布されたわけだしな……っと、そうだ、こいつのステータスを見てなかったから【慧眼】を使うか。
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名前 反田 憲明
HP 3016/3016
MP 17/17
攻撃力 11
防御力 7
命中力 20
魔法力 17
所持スキル
【HP+3000】
__________________________
「…………」
ははっ、【HP+3000】か。まあこれがあれば余程のことがない限り死ぬことはなさそうだし、不良グループには何も言えない腰抜けの教師がいかにも選びそうなスキルだな。
「おい、聞いているのか!? 如月優斗、今日という今日は私が死ぬほど教育してやるから覚悟するんだ!」
「教育してやるって、さっきから何バカなことを言ってるんですか。人間性の欠片もない反田先生に言われたくないですよ」
「なっ……お、お前というやつは――」
俺はそこで、相手を黙らせる効果の魔法『サイレント』を作って使用した。
「――――ッ!?」
すると反田は声が出ないことに酷く驚いたのか、目を見開きながら口を押さえたかと思うと、しばらくしていずこへと走り出した。
こりゃ傑作だ。以前、虎野たちが教室で派手に暴れたときもそうだったが、あのクソ教師は何か不都合があるとすぐに教室から逃げ出すようなやつだからな。
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