第24話 ソラーロ上陸作戦➁

 海の上を、四隻の小型船が進んでいた。


 海上自衛隊で【エアクッション艇一号型】と称されるそれらはあまりに異質で、小型なのにもかかわらず、不思議な迫力と不気味さがあった。


 船内で、自衛官たちが話し合っている。


「おい、本当にこれから戦争、するんだよな?」


「あ、ああ………」


「俺、手が震えてるよ。マジでヤバいってこれ」


 彼らは、上陸してインベルド王国軍と戦うことになるであろう、陸上自衛隊の隊員たちである。

 選び抜かれた精鋭であるはずの彼らも、初めての命のやり取りを前にして緊張しているのだ。大半の顔色が悪く、その中の一部には、過呼吸になってしまっている者もいる。


 そんな中で、彼らのうちで最年長の隊員が口を開く。


「お前ら、何を固くなってるんだ?訓練通りやればいい。それだけの話さ」


「で、でもミスをしたら死んじゃうんですよ!?」

「そうですよ!」

「戦わなきゃいけないのは分かってますけど………」


「お前ら、普段の訓練でミスはしないだろ?ミスをしなけりゃ良い。大丈夫さ。訓練と違って敵は剣や弓しか使わない。近寄られなきゃ一方的にやれる」


 彼の話は当たり前のことなのだが、それでも彼らを落ち着かせるには充分であった。


「そっか。そうですよね。相手は銃を持ってないんだ」


「おいおい、こっちに来る前にお偉いさんがわざわざ説明してくれたろ?お前寝てたのかよ?」


「いや、そういうわけじゃなくて………」


「ははは!おいおいー」


 そんな風に皆の緊張がとけ、気楽に話しているとき。船に乗っている海上自衛隊の隊員が近寄ってきて話し出した。


「そろそろ上陸だそうです。いつでもすぐ動けるように、用意をしておいてください」


「ええ、分かりました。聞いたかお前ら、そろそろいくぞ!」


「「「「おお!」」」」


 勇ましいその姿は、まさに【精鋭】であった。

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