第25話 ソラーロ上陸作戦③
港から少し離れた海岸に、十数名の男がいた。
「あーあ、疲れた。にしてもさっきは危なかったな」
「まったくだ。いきなり目の前の船がぶっ壊れたときは死んだかと思ったぜ」
ワイワイ……… ガヤガヤ………
彼らはインベルド王国の港に居た兵士たちである。海上自衛隊の砲撃から、運よく逃れてきたのだ。
「でも、俺たちは生きてる。良かったよホントに」
「ああ、にしても海がきれいだな。何もないこの景色が良いんだな」
「ジジイみたいなこと言うんじゃねえ。まったく、海なんて見たって………」
本来なら、何もないはずの海に四つの何かが浮かんでいた。そして、それらはだんだんと近づいてくる。
「ありゃ、いったいな」
ババババババババ!
謎の音が響き、それと同時に周りが鮮やかな赤色に染まっていく。
「ひ、ひいッ!」
咄嗟に逃げようとしてー 気づいた。自分の胸も真っ赤に染まっていることに。
身体が言うことを聞かず、そのまま後ろの岩に倒れ込む。
自分はここで死ぬんだ、と思った。途端にこれまでの人生が思い出されてくる。貧しいなりに自分を育ててくれた親、よく畑の横で遊んだ友人たち、兵士となってから出来た可愛い恋人………
(みんな、ごめんよ)
四つの何かはすでに海岸に到着しており、そこから巨大な何かや緑色の人間が降りてくる。
(あいつらに、俺たちはやられたのか)
だんだんと薄れていく意識の中で最後に考えたのは、そんなことだった。
――――――
「よし、都市ソラーロはここから南東へ1kmほど進んだ先にあるそうだ。各員ぬかるなよ!」
「「「了解!」」」
AAV7兵員装甲輸送車6両と、300名近くの自衛官がソラーロへと近づいていた。
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