第9話 クラート王国との会談③
「まず、我が国がクラート王国へ求めることは食糧の輸出です。具体的には、これらのものをこの資料に記された量ほどを継続的にお願いしたい。」
「しょ、食糧ですか?」
(これほど技術のある国が何故わざわざ食糧の輸入をしようと?よく分かりませんが………いや、そもそもそれ以前にこれほど下手に出る理由は一体何なのでしょうか。やろうと思えばこちらを蹂躙できるはずです。)
長考にしずむカーラを見て焦る須賀。
「と、とりあえず資料をご覧いただきたいのですが………」
(流石にこの量は無理だろうが………少しでも現在の食糧事情はなんとかせねば!)
「あ、はい。拝見させていただきます。ふむふむ。この量は………」
(ど、どうだ?どうなんだ?)
須賀を含めた日本側に緊張が走る。
「うーん。この程度なら輸送さえなんとか出来れば可能だとは思います。」
「え?」
「生産量から、国内での消費量や備蓄の分を差し引いても平気ですね。ただ、いくつか聞いたことがないものがあります。」
カーラの発言に対してここぞとばかりに須賀が畳みかける。
「なら、そういった種類のものは種子を本国から持ってきましょう!輸送に関しても我が国で何とかできます。貴国の交通網もこちらで整備します。」
「そうですか。では、交渉成立と言うことで。」
「もう成立ですか?まだこちらからの対価が決まっていませんが………」
不思議がる須賀。カーラの返答は驚きのものだった。
「ええ。交通網の整備をしていただくのが対価と言うことで。」
それは対価になっているのかと須賀が考えていると。
「では、今日の会議はこれで終わりとさせていただきましょう。では、また明日。」
「は、はあ。」
あっという間にカーラは部屋から出て行ってしまった。他の王国の交渉団も追随する。まるで交渉を早く終わらせたいと言わんばかりの様子である。
そしてすぐ戻ってきてこう言った。
「あ、あのぅ、私たちはどこに泊まればいいのでしょうか。////」
やや顔が赤みがかっていたことも追記しておく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます