いつの間にか俺に友達ができてたんだが

高校に入って初めて電車通学だけど、もうある程度慣れてきたなー。

そういつも通り電車に揺られながら漫画を見てホームを降り、歩いて登校していたある日、後ろから声をかけられた。

「おっすおっすみなっち♪」

「あ、綾瀬さん、おはようございます」

「え?」

「ん?」

何か変なことでも言ったか?いや、全くないよな?一言しか話してないぞ、俺。

「それ、距離感あるじゃん!」

「いやどゆこt—」

「いや『おはようございます』って、めっちゃ能天気に話しかけて他人扱いされたみたいになってるよ私!!」

なるほど、確かにその考えはなかったな。いやでも、綾瀬さんと俺普通に他人だろ、いや待てよ?連絡先を持つ同士は他人なのか??わからん、考えれば考えるほどわからん。

「とにかく!今度から『おはようございます』みたいな畏まった言い方じゃなくて普通に『おはよう』でいいから。Do you understnd?」

「言いたかっただけだなそれ。無駄に流暢だし。でも友達でもないのにそんな軽いノリでいいの?」

「…え?」

「へ?…どうかした?」

やっべー、絶対やらかしてるわ俺、素っ頓狂な声を出してる時点でこの答えは想定してなかったってことだよな?じゃあ何がおかしかったんだ?いくらあの一件があってもそんなすぐに距離近づかないよな??これがコミュニケーションを常日頃取らない陰キャの性なのか…

「私ら友達じゃないの?私湊君のこと『みなっちー』て呼んで連絡先も交換してるのに??」

「その情報だけ聞くと明らかに友達ってなるけど、俺たち一回しかまともに話してないよね?流石にその段階までいくの早くない??」

「友達になるのに段階とかないっしょ。私が友達だと思ったら友達なの!だから、『みなっち』は私の友達なの!!」

「圧迫感すごいな(特に胸の部分が…って今はそこじゃねぇわ!!)…こほん、まあそう言うことなら俺たちは…友達?」

「『友達?』じゃなくて『友達!』って言ってよね。まあこれですれ違いも無くなったことだし一緒に学校行こっか」

「あ…うん」

そんなこんなで一緒に誰かと一緒に登校するという、小学校の集団登校以来初のイベントが起きたわけだが、何故か綾瀬さんは鼻歌を歌って超ご機嫌だったのはここだけの話。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る