ひるのエイプリルフール




 騒ぐ人間らに嫌気がさして意識を飛ばす。来たのか、野苺。うるせえし。呆れる梅に二本の酒入り竹筒を掲げると隣の地面を叩いたのでいそいそと向かう。桜の傍に咲く野苺だ。風便で桜嫌いだと知った梅に咄嗟に嘘をついてもう何年になるか。このまま平穏が続けばいい。ひっそり微笑む梅を見て酒を仰いだ。






(2022.4.1)


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