第24話 全て排除する
—1—
「裏切者って誰だよ?」
「剛は、昨日の特別ルール2の対象者だったか?」
「うん。対象者だったよ。それがどうしたんだよ?」
「俺も対象者だった。それと昨日捕まって亮に殺された雅人も対象者だった。昨日のゲーム終了間際、泥棒の対象者1人と警察の対象者1人が接触してたんだよ。それであと1人の対象者は」
俺は洋一に電話をかけてあることを確認する。
「洋一も里菜も対象者じゃなかったらしい。このことを信じるとすると裏切者は」
「俊介」
ブーブーブー、ブーブーブー。
【只今から特別ルールを更に追加します。特別ルール4:スマホのホーム画面に全員の現在位置を表示する。表示方法は特別ルール2と同様】
ブーブーブー、ブーブーブー。
【本間ひより、ゲーム続行不可能の為、脱落。警察チーム残り5人】
現在位置特定の特別ルールで殺人鬼も動き出したようだ。
「はやと、警察の中に泥棒が1人いるよ」
「そいつが裏切者だ」
マップには3つの丸い点と四角い点1つが西地区にあった。
ここからそんなに遠くない。
「行こう」
「本気か? 危険だぞ」
「それでも行かなきゃならない気がするんだ」
俺、こころ、剛の3人で四角い点の元に向かう。四角い点は動かない。
別の位置にある丸い点2つは、洋一と里菜を追いかけているのがマップを見て分かった。
俺たちはすぐに目的地に着いた。
「俊介!」
「おう、はやと」
俊介と誠、朱音、友梨がいた。
「なんで警察と一緒にいるんだよ。合流するんじゃなかったのかよ」
「ちょっと色々あってな」
「昨日俊介は、対象者じゃないって言ってたけどあれは嘘だったんだな」
「あぁ」
「どうして!」
「くそっ、特別ルールのせいで全部計算が狂った」
「じゃあやっぱり俊介、俺たちを裏切ったのか?」
剛が俊介に聞く。
「そうだ。すまない」
「謝るくらいならなんで?」
「はやと、はやとはこころのことを何があっても守りたいって思ってるだろ?」
「そうだけど」
「俺はそれが翼だったんだ。翼とは幼馴染で幼稚園の時からの付き合いだ。小さい頃も今もよく遊んだ。このいかれたゲームが始まっていつ自分が死ぬか分からない状態で確実に生き残れる方法を考えたとき、辿り着いたのが」
「敵の全滅」
こころが呟く。
「そうだ。だけど敵を全滅させるのはそう簡単なことじゃない。だから俺は自分のチームを全滅させることを選んだんだ。確実に生き残らせたい人物を救うために。昨日、ゲーム中に翼に会って作戦を伝えた。翼とは何回か電話でやり取りをしてたんだ」
「その作戦ってゆうのがさっきのやつか」
「あぁ、泥棒チームでリーダー的ポジションにいる俺がみんなの現在位置を把握しそれを警察側に横流しにする」
「それで泥棒は全員捕まって、ルール上最後まで捕まってた泥棒は脱落だから全滅ってことか」
この作戦だったら俊介がやりたいこともできて、警察側も全員生き残れる。両者にメリットがある。いや、メリットしかない。
「だけど作戦は上手くいかなかった。だけどな、ここまでしたからには途中で引き返せないんだ。誠、友梨、朱音! 頼む」
友梨と朱音が俺たちを捕まえようと走り出す。
「作戦は失敗しちゃ意味がない」
誠が両方のポケットに手を突っ込み友梨と朱音の後ろを走る。ポケットから手を出し友梨と朱音の背中を叩いた。
すると、友梨と朱音が壊れた人形のように地面に倒れた。2人共背中を抑えている。背中にナイフが刺さっていた。
誠は、ナイフを抜き何回も刺しては抜いてを繰り返した。友梨と朱音は抵抗するが徐々に動きが鈍くなっていく。
ブーブーブー、ブーブーブー。
【平友梨、黛朱音、ゲーム続行不可能の為、脱落。警察チーム残り3人】
「誠、お前」
「はやとくん、こころちゃん、もうちょっとで全部終わるからね」
「何を言って……」
カシャッ。
誠が俊介にカメラを向けていた。
ブーブーブー、ブーブーブー。
【本間ひより、八木明日香、上杉誠が特別ルールを達成。よって峰岸俊介が脱落。泥棒チーム残り5人】
パンッ。パパンッ。
俊介の体を弾丸が貫く。
「誠なんで……」
俊介は誠に向かって手を伸ばしたが、口から血を吐き倒れた。
「僕たちにとって危険な存在は全て排除する」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます