私に惚れたとかいう後輩のヤンデレムーブがにわかっぽいのでお手本を見せてあげる
にゃー
ネタバレ:ハッピーエンドヤンデレ百合好き
【七月××日・食堂】
「せんぱーいっ!」
昼時の学食はうんざりするほど人口過密で、喧騒なんて言葉では足りないくらいに、雑多な音達が飛び交っている。
「せんぱいっ、せんぱいっ!」
そんな人混みの最中でも、その声が耳にスッと入り込んでくるのは何故なのか。なんて、考えるだけ無駄な事なのかもしれない。
「まだ食べてない……ですよねっ?」
器用に人の波を縫って私のいるテーブルに辿り着いた彼女は、目の前にある、まだ割り箸も割られていないきつねうどんを見て、安堵の息を吐いた。
「今まさに食べ始める所、だったのだけれど」
食前のお冷を一口含んだ辺りで、よく聞き知った呼び声が聞こえてきたものだから、確かにまだ、湯気の立つ昼食に口を付けられてはいないけれども。
逆に言えば、今の私は獲物にありつく直前でお預けを食らった獣のようなもの。
腹が減っているんだ邪魔するなという意図を込めて、許可もなく眼前に座った後輩を見やれば、何をどう読み取ったのか、彼女はこれ以上ないほどに得意げな顔で、鞄から箱状の何かを取り出した。
「はい、こっちが先輩のお昼ご飯。この大量生産された味気ないうどんは没収です」
学食のおばさんには到底聞かせられないような事をのたまいながら、箱状のそれ――どう見ても弁当箱――を私のきつねうどんと勝手に交換してしまう後輩。
こっちは金払ってうどんを買ったのよと言いかけ、口を開いた時にはもう、ピッタリその分の代金まで弁当箱の上に乗せられていた。そこまでされてしまえば、形ばかりの抗議の言葉も引っ込んでしまうというもの。
むしろ構図的には、後輩にタダで弁当を作ってもらった形になるわけなのだから。全く意図していなかったとは言え衣食住の一角を恵んで頂いた結果として、開いた口は自然と、感謝を示すそれに変わってしまっていた。
我ながら、少しばかり正直過ぎる体だとは思う。
「……ありがとう」
「いえいえ。わたしが食べて欲しくて作ってきただけですから」
何とも健気な発言だけど、幸か不幸か、その裏にある真意を読み取れるだけのやり取りを、私たちは既に幾度か交わしてきている。
「……で?これもヤンデレアピールの一環って事……で、良いのかしら?」
「勿論!ヤンデレと言えば弁当、弁当と言えばヤンデレでしょう?」
全く聞いたことのないそのフレーズから、彼女の中のヤンデレ像がいかに浅いものであるかが窺えた。
「あなたも懲りないわね、
「これも先輩を落とす為ですっ」
入学早々、怪しげなサークルに無理矢理入会させられかけていた一年次生――
それで一目惚れしただとかちょろい事を言う彼女が、どこから聞きつけたのか私がヤンデレ好きだと知ったのが、確か先月辺り。
それ以降何かにつけて、多分ネットかどこかで中途半端に見聞きした知識でヤンデレアピールなんてし始めたのが、ここ最近のことだ。
好きな人の好みのタイプになろうという、恋する乙女の努力には涙を禁じ得ないけど……それはそれとして、その道には一家言あるヤンデレ好き拗らせオタクの私からしたら、今までヤンデレのヤの字も知らなかった光の行動は、何ともまあ浅いというか、こう言っては何だけれども、にわかっぽいというか。
「気持ちは嬉しいけれどもね……」
感激に苦言のフレーバーを添えた、面倒臭い性格丸出しの言葉を吐きながら、シンプルな長方形の銀箱に手をかける。女子大生の弁当にしては些か可愛げに欠ける外観だけど、私自身、心身共に可愛げのない女なものだから、言っては何だけど良く似合っているのではなかろうか。
「心を込めて作ったんで、ぜひ、ぜひぜひっ、残さず食べて下さいね」
無愛想を地で行く私に対して、光の、明るい茶髪のロブヘアに違わぬ可愛らしい容姿は、目の前にうどん入りの器があろうと全く衰える事はない。むしろ一杯数百円程度のそれが何だか、女子受けしそうな流行りのランチにすら見えてくる。
もしかして、きつねうどんは可愛い食べ物だったのか……なんて、頭の片隅であほな事を考えつつも、気が付けば私の手は勝手に弁当箱の蓋を開けていた。
期待に輝く光のアーモンドアイには、私の体を操る魔力でも宿っているのかもしれない。
「じゃーん!どうですかっ?」
ご丁寧に効果音まで添えられたそのメニューは、シンプルなハンバーグ弁当。
白米や付け合わせのサラダを従えた一枚のハンバーグが、赤いデミグラスソースで着飾って、わたしを食べてと雄弁に語っていた。
「……ハンバーグは、うん、好きよ」
「やっぱりっ。先輩って大人ぶってるけど実は子供っぽいですし、こういうの好きかなぁって」
よくご存知で。
私の内なる男子小学生を見抜き攻めて来たその手作り弁当は、見た目には正しく、どストレートな正攻法。けれども先のやり取り通り、光はこの弁当に彼女なりのヤンデレらしさを詰め込んでいるわけで。
ヤンデレの手作り料理と言えばのテンプレをいくつか思い浮かべつつ、手を合わせて箸を割る。
「じゃあ、頂きます」
「召し上がれっ」
綺麗に形作られたハンバーグに箸を差し込み、一口サイズに切り分けようとして。
箸の先に引っかかって伸びる細長い何かが、断面から姿を現した。
いや、まあ。
何かっていうか、どう見ても髪の毛なんだけども。
「…………」
誤って混入した程度では絶対にない本数の毛髪を私が認識している事を、間違いなく認識しながら、光の表情は召し上がれと言ったその時から変わらない、満面でありながら可憐な笑みのまま。
「…………」
あちらが何も言わないのであれば、こちらもまだ何も言うまい。
糸を引くなんてレベルではない抵抗を見せる髪の毛諸共、ハンバーグを一欠片摘み上げて、口に入れる。
「…………」
牛肉の食感とか、ジューシーさとかを全て台無しにする髪の毛のその存在感たるや。歯と歯の間に挟まり、どうにか噛み切ろうにも髪質が良過ぎてそれすらままならない。
「……コシのある髪の毛ね」
「わぁ、ありがとうございますっ」
手入れに相当気を使っていることが窺えるそれらは、飲み込んでも喉の奥に引っ付いて、絶妙な後味の悪さを演出してくれる。
そうそう味といえば、ハンバーグ自体は普通の肉の味なのだけれど、デミグラスソースが恐ろしく鉄臭い。嫌に濁った赤黒さといい、相当量の血液が混入されていると見てまず間違い無いだろう。まあ、過度に塩辛くはない点から、幸いにも彼女の健康状態が良好である事は窺えた。
「……血液もサラサラで、大変よろしい」
「そんなに褒められると、何だか照れちゃいますね……」
普通に作っていれば恐らく、普通以上に美味しかったであろうこのデミグラスハンバーグ。雑に大量投入された髪の毛と血液が味と食感の全てを著しく駄目にしている。
確かにどちらも、ヤンデレ弁当で良くある混入物ではあるけど……
「……正直に言って、もの凄く食べにくいわね」
「……そうですか?でも、ヤンデレと言えば料理に髪の毛混入っ、血液だばーっ、みたいなところありません?」
「否定はしないけど、ちょっと安直過ぎると思うわよ」
「むぅ……」
(頼んでもいないのに)作って貰った手前、あんまりぐちぐち言うのも気が引けるけれども。流石にこれは、食べ物として頂くにはあまり嬉しくない一品というか。もう少し、工夫出来る点はあるというか。
「……しょうがない」
不満げな光の膨れっ面を見ていると、ヤンデレ有識者として余計なお節介を焼いてしまいたくなるというか。
「明日もう一度ここに来てください。本物のヤンデレ弁当というものをお見せしますよ」
「え、それって、先輩がお弁当作って来てくれるって事ですか!?」
「ええ、まあ」
「やったぁっ!楽しみにしてますね!」
一瞬にして眩しい笑顔を取り戻したその顔に、真っ当にしていれば真っ当に可愛いのになんて、寝惚けたことを思わずにはいられない私だった。
……後、これは余談だけれど、結局弁当は全部残さず食べた。
しばらく髪の毛が何本か喉に引っかかってたけれど、それが光の存在を否応無しにアピールしている気がして、なかなか悪い気はしなかった。
本人には言わなかった。
◆ ◆ ◆
【七月××日・食堂】
そして翌日。
「はい、例のブツ」
「えへ、へへっ……!これがっ、先輩の手作り弁当っ……!」
嬉しそうね。
嬉しそう過ぎて若干怪しい笑みを浮かべちゃってるけど。
変な風に歪んでても欠片も損なわれない光の顔の良さを再認識しつつ、昨日と同じ時間、同じ場所で、今度はこちらから弁当を渡す。
何なら弁当箱まで、彼女が持ってきたものをそのまま流用してるものだから、本当に、何かこう、昨日のワンシーンのリメイクみたいになっていた。
「献立は昨日貰ったやつと一緒だから」
「先輩のハンバーグっ♪先輩のハンバーグっ♪先輩の手垢っ♪」
弾んだ声で手垢とかあんまり言わないで欲しいのだけれども。
「じゃ、じゃあ、開けますよっ?開けちゃいますよっ?」
「どうぞ」
そんなに勿体ぶられても、出てくるのは普通のハンバーグ弁当でしかないのよ。
少なくとも見かけの上では。
「じゃーんっ……おぉ……」
「その『おぉ……』は何の『おぉ……』なの?」
「いえ、思っていたより普通なビジュアルしてるなぁと」
「……ちなみに、どんなものを想像していたのかしら?」
「もう、溢れんばかりに髪の毛が入ってて、鮮血で赤く染まってるようなやつを」
それはもうグロ画像なのでは。
「……開けた弁当箱の中身がそんなのだったら、食欲消え失せない?」
「……まあ、正直。でも本物のヤンデレ弁当っていうくらいだから、そのくらい凄いやつなのかなぁと思ってました」
視覚的な派手さは、そこまで重要じゃないと思うんだけれども。
「ってことは、中身が凄いってことですね?」
「凄い、かどうかは分からないけれど。まあ、私なりにヤンデレの粋を尽くしてみたつもりよ」
自分で口にしておいて、『ヤンデレの粋』という言葉に意味不明さを感じつつ。
わくわくした表情を隠そうともせず箸を手に持つ光に、注目してしまう。
「では……いただきますっ……!」
妙に気合の入った言葉と共に、ハンバーグを箸で割り、ひと切れ掴み上げる。
勿論、断面から髪の毛がこんにちはしているわけもないし、デミグラスソースから血生臭さが漂ってりなんかもしない。
「……?」
そのことに少し不思議そうにしながらも……いや、それが普通のはずなのだけど、とにかく、その可愛らしい口の中に肉片を放り込んだ、光の反応は。
「……普通に美味しい、ですね」
至極普通なものだった。
「でしょう?美味しくなるように作ったもの」
「それは勿論、凄い嬉しいんですけど……これのどの辺がヤンデレ弁当なんですかね?」
「どの辺だと思う?」
「うーん……」
「何か、変わった事とか感じない?」
「えっと……強いて言うなら、ほんのり紫蘇っぽい風味があって、さっぱり食べやすいような……」
ふむ。流石、なんだかんだ言って良く味わっている。
そうかそうか、食べやすい、か。
「あっ、もしかしてこの黒い粒々、刻んだ紫蘇の葉とかですか?」
「それ、私の髪の毛」
真っ当な予想の正反対を行く私の言葉に、光の表情は一瞬で驚愕のそれへと変わった。
「!?」
「髪の毛を紫蘇ドレッシングにしばらく漬け込んで、それを粉末状になるまで刻んで刻んで刻みまくったもの」
「え、は、えぇ!?」
「ほら、髪の毛ってシャンプーの香りとか付きやすいじゃない?だからこういう風に、香り付けに使えるのよね」
ミキサーなんか使ったら絡まって故障してしまうから、手ずから包丁で粉微塵にした。まな板は昨日一日で、使い古した歴戦個体になった。
「な、なるほどぉ……」
感心したような声音に、こちらも少しばかり得意げにならずにはいられない。
「確かに、髪の毛は消化されないだとか胃の中に残るだとかって噂だし、好きな人の体内に取り込ませたいって気持ちは良く分かるけど……」
そのまま混ぜたんじゃ食感は台無しになるし喉に絡みつくしで、一般人受けするものじゃないっていうのは、昨日の同時刻に良く分かったことだから。
「せめて刻んで、香り付けもして食べやすく……ってことですか」
「そういうこと。見た目のインパクトは、まあ、無くなっちゃうけど」
弁当としての完成度は間違いなく上がっているだろう。
少なくとも、昨日の彼女の分かりやす過ぎるヤンデレ弁当よりは。
「……って言う事はもしかして、この程よく酸味の効いたデミグラスソースも……」
同じく昨日のアレとの差を思い浮かべたであろう光の、察しの良い発言。
好感触に気を良くしていた私は、またしても得意げに頷いた。
「ええ、勿論。私の血液配合済み」
そもそもこれは、彼女のハンバーグ弁当のリメイクのようなものなのだから。その辺りも踏襲しているのは、当然のことだと言えよう。
「そう、なんだ……」
呟きながらもう一切れ、赤黒いソースをたっぷりと乗せたハンバーグを口にする光。さっき以上に良く噛み締めて味わっているのが、もきゅもきゅした口の動きから伝わってくる。
「単純にソースに血を混ぜるんじゃなくて、血の味が浮かないようにソースを作ってあるの。血液もソースの材料にしてるって言えば、分かりやすいかしら?」
こくこくと頷きながらも食べる手を止めない辺り、どうやらお気に召してくれたみたい。
「……ん。さっきの、普通に美味しいって言葉、訂正します」
飲み込んで、訂正して、そうやって出てきた言葉が、悪いものであるはずもない。
「物凄く、ものすごーく美味しいです」
深い笑みを浮かべながら、これまた良く良く噛み締めるようにして言ってくれる。
「ありがとう。どうせならやっぱり、こうやって、美味しく食べてもらえた方が嬉しいじゃない?」
料理も、髪の毛も、血液だって。
「そうですね。参考になります……」
言外に含んだ諸々を読み取って返しながらも、光は嬉しそうにお腹の辺りを撫でさすっていた。
◆ ◆ ◆
【九月××日・空き教室】
「――ねぇねぇねぇねぇおかげさん」
「……何?」
私たち以外誰もいない空き教室。
対面に座っている同じゼミの知人――吉田が、ぐてっと机にもたれ掛かりながら声をかけてきた。
……因みに、『おかげさん』というのはお陰様とかそういう意味ではなく、私の名前である
「このままだとあーし、哲論の単位落しそうなんだけど」
「そう、良かったわね」
「ねーっ……いや、どこが?」
「必修落したらもう一年この学年で遊べるじゃない」
「確かに。おかげさん天才じゃーん」
「ええ、あほの吉田とは違ってね」
「だーれがあほじゃいっ」
びしっと振り下ろされた突っ込みも、残念ながら机を挟んで対岸にいる私には届かない。
「必修落すような女を、あほと呼ばずして何と呼べばいいのかしら?」
「ま、まだ落すって決まったわけじゃないし……」
「そう。じゃ、せいぜい頑張りなさいな」
「ちょいちょいちょい、そこはあーしらに友情に免じてさ、ちょちょいっと助けてくれるところじゃん?」
「面倒臭いわ」
「ひでぇ……」
そもそも、こんな中身のないやり取りにかまけて課題をこなす手が止まっているから、落第の危機に瀕しているんじゃないかしら。
「んあー留年は嫌だぁ……」
「嫌ならまずは、目の前の課題に集中したら?」
ぶーたれる吉田の相手を片手間にしつつ、件の哲論の課題をカタカタこなしていると、教室の扉が開く音がした。
「――せんぱい……?」
続いて耳に入ってきたのは、もうすっかり聞き馴染んだ声。
けれども、その雰囲気というか声音というか、とにかく何かしらいつもと違うものを感じて、入口の方へと顔を向けると。
「……誰ですか、その女の人……?」
そこには、あからさまに目のハイライトを消して佇む光の姿があった。
私に声を掛けながらも、その昏い目は完全に吉田を捉えており、ふらふらと覚束ない足取りで向かう先も、私ではなく吉田の方。
「いや、誰って……吉田さんちの
困惑混じりに吉田が返すけれど、はたして光には聞こえているのかいないのか。
「……何で、先輩と一緒にいるんですか……?」
「友達だからだけど……?っていうか、ひめのんにおかげさんのこと色々教えてあげたの、あーしじゃん」
「…………」
「…………」
「…………せ、先輩の隣にいて良いのは、わたしだけなのに……」
あ、これバッチリ聞こえてるわね。
因みにひめのんというのは、光の苗字をもじって付けられたセンスに欠ける渾名の事だったりする。
「……そもそも、吉田は私の隣じゃなくて向かいに座っているわけなのだけど」
「…………」
「…………」
「…………ゆ、許せない、わたし以外の女が……先輩と……!!」
私のしょうもない揚げ足取りにもめげず、一人で頑張ってヒートアップした光は、その勢いのままにトートバッグから何かを取り出した。
「……!?え、ちょっ、マジっ!?」
先端を鋭く光らせるそれは、どうやら小さなナイフのように見える。
途端に表情を引き攣らせた吉田が、青い顔で身を引く。
「……先輩とわたしの間に入ってくる人は、排除しなきゃ、ですよね……?」
「ま、待って待って、ひめのん落ち着こ?ね?いっかい、一回落ち着こうよ……!ね?ね?」
震える手を突き出そうとして、でも光の握った刃先を怖がってか、その挙動すら言葉と同じく覚束ない。
完全にビビってしまっている吉田。ゆっくりと距離を詰める光。
「……はぁ……」
そして、ため息をつきながら立ち上がる私。
そのまま足早に光と吉田の間に割って入る。
「……先輩、邪魔しないで下さい。わたしはその女を排除しなくちゃ――」
「あー、はいはい」
「ちょ、あぁっ!」
ようやく視線をこちらへと向けた光の手から、ひょいとナイフを奪い取る。
当然ながら、刃の方を思いっきり握っても私の手は一ミリだって切れやしない。
「全く、こんな子供騙しの玩具なんか買ってきて」
そのままくるりと持ち直し刃先を指で押してみれば、案の定、刃の部分がしゃこしゃこ言いながら柄の中に出たり入ったりしていった。
「ちょっと先輩、気付くの早過ぎですっ!せっかく良い感じの修羅場になってたのに……!」
ぷんすか怒っている光だけど、残念ながら顔が良過ぎるせいで、怒ってもただただ可愛いだけだったりする。
「こんなのに引っかかるのは、あほの吉田くらいよ?」
「…………だ、誰があほじゃい!!いや、あーしは全然?ぜんっぜん気付いてましたけど?乗ってあげてただけですけど??はぁーっ、おかげさんノリ悪いわぁー!はぁーっ!!」
目一杯の呆れが伝わるように向けた視線の先には、椅子にへたり込んだまま強がって見せるあほの吉田。
一瞬前まで漂っていた少しくらいはシリアスな空気も、あっという間に霧散してしまった。
「……ま、まぁいいです。とにかく今のは、『先輩に近づく悪い虫を排除しようとする可愛い後輩』の図ですっ!どうですか、ヤンデレっぽかったですよねっ?」
気を取り直してといった感じで、光がそう問いかけてくる。
狙ってかどうかは分からないけれど、身長差的に自然と上目遣いになるその仕草に、思わず100点と言ってあげたくなってしまうけれども。
しかし私はヤンデレ有識者。
独断と偏見に満ちた採点基準は果てしなく辛口なのだ。
「うーん……34点」
「えぇっ!?なんでっ!?」
吃驚のお手本みたいな表情を見せる光の、またどこからから仕入れてきたであろう雑なヤンデレ像を、打ち壊していく。
「これは私の好みによるところも多分にあるんだけど……貴女、取り合えず刃物持ちだしておけば良いとか思ってない?」
「え、違うんですか!?」
『ヤンデレに刃物』なんて言葉があるように、確かにハイライトの消えた女の子がナイフを持って佇むさまは、絵になるとは思うけれど。
「そういうのって、乱発するものじゃなくって、もっとこう……使いどころが大事だと思うのよね。ほら、例えばツンデレだって、たまにデレるからこそ破壊力が大きいのであって……所構わずデレ散らかしてたら、それはもうただのでれでれじゃない?」
ちょっとキレただけでナイフを振り回すような女の子は、最早ヤンデレでも何でもないただの危険人物だ。
因みに私は、でれでれも好きだったりする。
「……た、確かに。ここぞっていうタイミングが重要ってことですね」
「そういうこと。と、それからもう一つ――」
頷いて納得を示す光に、もう一助。
いや、むしろ私的には、こっちの方が重要なんだけども。
「――そもそも、何で貴女、私以外の人に目を向けているのかしら?」
「……えぅ?」
可愛いとぼけ顔。でもだめ。許さないわ。
「ねぇ光。貴女、私の事が好きなのよね?」
「は、はい……それはもう……」
赤らめながらもしっかりと頷く、その小さな頬に手を当てる。
「だったら。ずっと私の事だけ見ているべきじゃないの?」
逃げられないように、目を逸らせないように、右手で顔を上向かせて、固定する。
「私が誰かと仲良さげにしてて、嫉妬したんだったら。その醜い感情も全部、私だけに向けるべきじゃないの?」
「……それは、その……」
「なのにどうして、あんなにずっと、吉田の事だけ見てたの?私、寂しかったわ」
教室の戸を開けてから私がナイフを取り上げるまで、光の頭の中は、吉田のことが一番のウェイトを占めていた。
『誰ですかその女』も、『何で先輩と一緒にいるんですか』も、私を見て、私の目を覗き込みながら、私にだけ言って欲しかった。
「……ご、ごめんなさい……」
言外にそんな意図を込めて見つめれば、光の小さく開いた唇の隙間から、うわ言のような吐息が漏れ出る。
でもだめ。
そんなに可愛く謝ったって、そう簡単には許してあげない。
「何で私以外の人に、あんなに濁った瞳を向けていたのかしら?」
今はむしろ、潤んですらいるその両目を見下ろしながら、左手のナイフをしっかり握って。
「何で私以外の人に、刃物を向けていたのかしら?」
尖っていて丸みを帯びた刃先を、洋服越しに光の脇腹に当てる。
「っ、ぁ、ぁ、ぁっ……」
くりくりと目一杯優しく、でも先端をしっかり感じられるように押し付ければ、まるで押し出されるようにして、桜色の唇から甘い吐息が漏れ出してきた。
「駄目よ光。それじゃ嫌なの。分かる?」
でも、そんな甘言に絆されるような私じゃない。
今後の為にも、ここははっきり言い切っておかなければ。
「……ぁ、は、っ……はい、ぃ……」
光の瞳の中にちらりと映り込んだ私の瞳は、真っ黒い輝きを孕んでいた……ような気もする。どうでもいいことだけれど。
「ねぇ。ねぇ光?いつか、ここぞという時、どうしても我慢出来なくて、刺したくなってしまった時は――」
しゃこ、と。
「――私を刺しなさいよ。ね?」
押し付け過ぎた玩具のナイフが、光のお腹に突き刺さった。
「……は、はひぃ…………勉強になります……、……」
「ん。よろしい」
頷く光にナイフを返してから、元の席に戻って課題を再開する。
何か大事なもののようにナイフを胸元に抱えた光は、惚けたままとてとてと私の隣の席まで来て、惚けたままとすっと座り込んで、そこからしばらくの間、やっぱりずっと惚けたままだった。
「……おかげさん、マジぱねぇ……」
あ、吉田の存在を完全に忘れていたわ。
◆ ◆ ◆
【十月××日・自宅】
今日も今日とていつも通りに講義を受け終えて。
「ただいま……なんてね」
一人暮らしのアパートに帰り、独り言のように挨拶をしながらカギを刺して、ゆっくり静かに戸を開ける。
「…………」
足を止めて視線を落とせば、玄関には見覚えのない……いや、見覚え自体は良くあるのだけれど……本来であれば私の家にはないはずのローファーが一足、ちょこんと鎮座していた。
大人しくも可愛げのあるデザインを誇るかのように行儀良く並べられたそれが、一体誰のものなのかなんて、私には良く良く分かっている。
「…………」
幾通りかのパターンを想定しながら、そっと靴を脱ぎ、足音を殺して室内へ。
元より広くもないワンルーム、通路とも呼べない短いフローリングを進めば、そこには良く良く見知った後輩の女の子、光の姿があった。
「……、これ……でも……っ……なんで…………」
デスクにおいてあったパソコンの画面を食い入るように見つめながら、何やらぶつぶつと、小さく呟いている様子。
私に内緒で勝手に作った合鍵で、私が講義を受けている間に侵入してきたその手腕は、中々悪くはないものだけれど。
プライバシーの塊のような私用PCの中を勝手に覗き見た豪胆さも、評価に値するけれども。
でも。
カギはかけなおしてもローファーは隠さない杜撰さ。
私が帰ってきたことに気が付いていない不注意さ。
そして何よりも、想定外の事態に茫然自失となってしまっている打たれ弱さ。
この辺りはまぁ、ヤンデレとしてはまだまだ、要改善といったところだろうか。
「……光?」
「――っ!!!」
後ろに立って、声をかけて、それでようやく、光は私の存在に気が付いたようだ。
「ただいま」
「……ぁ、ぁの、先輩……これは……その……」
勢いよく振り向いた彼女は、私の声なんてまるで聞こえなかったかのように、しどろもどろに何事かを呟いている。
「光、ただいま」
「……ぁぅ、えっと……おかえり、なさい……?」
「うん、ありがとう」
繰り返しの言葉にようやく挨拶を返してくれて、思わずにやけながら礼を言ってしまった。
私の表情を見て一瞬顔を綻ばせかけた光だったけれど、すぐに状況を思い出し、またもや挙動不審気味に私とパソコンの間で視線を行き来させてしまう。
「……、せん、ぱい……あの……」
ここまで来てしまえばもう、本当にずっと、私だけを見ていて欲しいのだけれど……まあ、説明しないわけにもいかないだろう。
「どうかしら。驚いた?」
無断で覗き見た、私のPCのその中。
「驚くに、決まってるじゃないですか……」
そこには、光の姿を映した沢山の写真や動画のデータが入っている。
そのどれ一つとして、光の目がカメラを捉えているものはない。
横からや後ろから、例え前からであったとしても、真正面からはズレているような、そんな画角のものばかり。
「……だって、だって……これってっ……!」
快活な光がどもってしまうほどに驚いている、その理由は、私が彼女を盗撮していたから――では、なくて。
「――ええ、そうよ。そこに映っているのは……大学に入学する前の貴女」
そこに映る自分の姿が――彼女にとっては――私と出会う前のものだったからだろう。
高校のセーラー服を着た、或いは、今よりも少しだけ幼さの残る私服に身を包んだ、光の姿。それが大量に、いくつものいくつものデータとして、私のパソコンの中には入っていた。
『姫乃 光』と題された、そしてその中でもまた無数に分類されたファイル群の作成年日は、彼女が大学生になる、ゆうに半年以上も前を示している。
「……何で、どういう……」
全く理解出来ないと言わんばかりに狼狽える光。
何を思ってか、まだ私から逃げようとはせずにいてくれる彼女に、ゆっくりと、初めから話していく。
「ねえ光。私達が初めて会った時の事、覚えてる?」
「……はい、それは勿論……わたしが変なサークルに勧誘されてたところを、偶然通りかかった先輩が助けてくれて――」
「いいえ、違うわ」
そうじゃないの、光。
そこはね、私にとってはスタート地点じゃない。
「私達が初めて出会ったのはね、光。貴女が高校三年生の頃、オープンキャンパスで大学に来た時なのよ」
「……え……?」
止まない困惑。
思い出そうと頭を捻る光に、解を提示していく。
「貴女、初めて大学構内を見学した時、道に迷ってしまったでしょ?」
高校と比べて圧倒的に広いキャンパス内で、光は友人達とはぐれ一人迷子になってしまっていた。
「その時に偶然――これは本当に偶然よ?――通りかかった私が、道を教えてあげたのが、始まり」
それはほんの一分足らずの。
光は学内見取図を見ながらで、碌に目も合わなかったごく僅かな時間だった。
けれど。
「悔しいことにあの一瞬で、私は貴女に一目惚れしてしまったの」
「――!!」
きっと今の今まで忘れていたであろう記憶を引っ張り出して、光は驚きに目を見開いた。
「……でも、でもね、光。ほんの数十秒程度のやり取りで惚れた腫れただなんて、早計だとは思わない?」
一目ぼれしたなんて言い出した光を、すぐには受け入れられなかったように。
私は自分自身の急な恋心さえも、疑ってかかっていた。
「だから私は、本当に貴女を好きになってしまったのか、確かめようと思ったの」
その為に、光を影から観察することに決めた。
あの日オープンキャンパスで受け入れていた高校がどこかなんて、ちょっと調べればすぐに分かる。
次の日には、高校の出入り口近くで張り込みを始めて。
顔は完全に、脳の表にも裏にも焼き付いていたから、初日ですぐに見つけることが出来た。
「あとは家まで尾行して。一週間もすれば生活リズムも掴めたし、一か月後には留守に乗じて貴女の部屋にカメラを仕掛けたわ」
言いながらPCを操作し、『姫乃 光』の中の『私室』と題されたフォルダを開く。
そこには名前の通り、光が自分の部屋で寛いでいる様子を写した写真や動画が、溢れそうなくらいに入っている。
一番新しい動画の撮影時間は、今日の朝。
「……これ、今も……」
「ええ、勿論。光の事は、いつだって見守っていたいもの」
とてもとても悔しいことに。
私はもう既に、それこそ、光目線での初対面の時にはとっくに、彼女のことを本気で好きになってしまっていた。
「ずっと見ていたものだから、貴女の良い所や可愛らしい所を知り過ぎてしまったのか……それともこれも、ある種の単純接触効果なのかしら?」
最初に好意を抱いてしまえば、後は毎日顔を合わせるだけで、どんどん相手への好感度が上がっていってしまう。もしかしたら私は、光に対して、そんなありきたりな心理状態に陥ってしまったのかもしれない。
えらく一方的で間接的な単純接触だったけれど、ね。
「兎に角そうやって、高校三年生の光が大学生になるまで、なってからもずっと、私は貴女をストーキングし続けていたの」
法律には詳しくないけれど、恐らく、ストーカー規制法関連の大半は踏み抜いていることだろう。
「……それから。貴女はさっき、私との出会いを『怪しいサークルに勧誘されていた所を偶然……』だなんて言っていたけれど」
やっと話が追いついた、彼女にとっての初対面も、私の視点から見れば大きな食い違いが一つある。
ここまで来たらもう、察してはいるみたいだけれど。
「……違うん、ですね……?」
「ええ」
同じ大学に通うことになったのだから、当然、私は暇があれば光の後を付け回していた。高校時代の友人達とは学部も離れ、またしても一人で、とてとてと構内を歩いて回る可愛らしい影を。
「だから、あの時……」
「そう。タイミング良く割って入る事が出来たの」
本当は、ずっとずっと、気付かれないように見守っているだけのつもりだったのに。手の届く場所で、あんな困った顔を見てしまえば、ついつい飛び出して行ってしまうというもの。
あの日は、光にとってはスタート地点で、私にとってはミッドポイントだった。
「後はもう、全部予想も付くでしょう?」
「……はい。それからも、わたしが先輩にアプローチしてたあいだも、ずっと」
「ええ。ずっと、ずーっと見てたわ、光の事」
ああ、可愛かったなぁ。
一目惚れをしてくれて、ベッドの上で枕を抱えてバタバタしていたあの日も。
もう一度会おうと、本当はすぐ近くにいた私を探して、構内を歩き回っていたあの日も。
目を眩しく輝かせながら「好きです!」って言ってくれたあの日も。
吉田に聞き込みをして、私の好みを探ろうとしていたあの日も。
『ヤンデレ』なんていうけったいな概念を知って、首を傾げながら勉強し始めたあの日も。
「――さて」
お弁当、美味しかったなぁ。
おもちゃのナイフを手に佇む姿も、案外、様になっていたりしたなぁ。
さっき、玄関に光の靴が置いてあった時には、勿論分かってはいたけれど、それでも嬉しくて、ドキドキが止まらなかったなぁ。
「これで、パソコンの中身も、貴女への隠し事も、全部説明したわ」
真実を知ったからか、先ほどまでよりも随分と落ち着いて見える光に、両手を揃えて差し出す。
正確には、両手の親指を、かしらね。
「はい。持ってきているんでしょ?結束バンド」
「……まあ、そりゃ、お見通しですよね」
「勿論。見ていたもの」
まるで遠足前夜の小学生みたいに、いつものトートバッグに色々なものを詰め込んでいた光。その中には、私を拘束するための結束バンドも入っていた。
本物の手錠なんて、一介の学生の身ではそう簡単に手に入りはしないけれど、結束バンドならその辺のホームセンターにだって売っている。これで両手の親指を一纏めに縛れば、まず解くことは出来ない。
「良いチョイスだとは思うけれど、もしも私が抵抗したら、どうやって拘束するつもりだったの?」
「……その辺は、考えてませんでした。先輩なら嬉々として縛られてくれるかなって」
やっぱり、詰めが甘いわね。
まあ、その読み自体は当たっていたのだけれど。
「じゃあお望み通り、嬉々として縛られてあげるわ。後は煮るなり焼くなり警察に突き出すなり、好きにしなさい」
私が光を法外に付け回していた証拠は、目の前のPCに嫌というほど入っている。
通報して私自身とセットで引き渡せば、即逮捕だろう。
光は、あくまでもヤンデレを演じていたに過ぎない。
仮に、本当に病むほど私が好きだったのだとしても、自分以上のストーカー行為を見せつけられて、果たして彼女は怖がらずにいられるだろうか。
だから私は、静かに沙汰を待つ。
彼女が私を恐れ拒絶するというのなら、粛々とそれに従うまで。
「……先輩の目に映るわたしは、先輩のことが好きそうでしたか?」
「そうね。貴女、どれだけ私の事が好きだったのかしらってくらいには」
野暮だから言わないけれど、私を想って自分を慰める姿なんかも、数えきれないくらい見てきた。
流石に可哀そうだったから、その辺りのデータは削除しておいたけれど。
「多分、先輩は……わたしのことを物凄くよく知ってると思いますけど、それでも、わたしが先輩を拒絶するって、そう思ってますか?」
「さて、どうかしらね。私はあくまで、外から見ていただけだもの。人の心の内側なんて、何か一つの切っ掛けで簡単に変わってしまうかもしれないわ」
私が、あっさりと光に一目惚れしてしまったように。
光も、同じくそうであったように。
私の本性を知ってしまえば、ついさっきまで私の事が大好きだった光も、心変わりしてしまうかもしれない。
ストーキングされていた、だなんて、それくらいに恐ろしい事のはずだから。
「……正直。パソコンを立ち上げて、わたしの名前が書かれたフォルダを開いたときには、怖いって思っちゃいました」
「……ええ」
それは極めて正常な、真っ当な反応だろう。
だというのに光は、首を捻りながら言葉を続けた。
「でも、先輩が帰ってきて、お話を聞いて……ううん、違う。先輩の顔を見て、声を聴いていたら」
そうしながらもバッグから結束バンドを取り出し、迷うことなく私の両手の親指を縛り上げる。
「恐怖心は無くなっちゃって、むしろ、嬉しくなってきました。わたしたち、両想いだったってことですもんね」
お腹の前で手を拘束され、抵抗する力を大きく削がれた――そもそも、抵抗する気なんてさらさらないのだけれど――私を、真正面から見据えながら。
「もしかしたら、先輩を好きになったばかりの頃にこれを見ちゃったら、怖くて警察に突き出しちゃってたかもしれません」
僅かに残っていたらしい、もしかしたらのしこりを吐き出して。
「でも、もうダメです。遅いんです」
何の憂いもなく、光は肩の力を抜く。
「今更こんなもの見せられても、わたし、嬉しくなっちゃうだけみたいです」
自然体で微笑むその顔は、あんまりにも可愛らし過ぎた。
「ねぇ、先輩」
「何かしら?」
上目遣いにこちらを見詰めるその瞳は、大き過ぎて重た過ぎる私への恋心が、ひかりまで吸い込んでいるようにも見えた。
「縛られても良いってことは……わたしが、先輩のことを、好きにしちゃっても良いってことですよね?」
その考え方には、ほんの少しの飛躍があるような気もするけれど。
でも、まあ、私の気持ち的には、大体その通りだったりする。
「……そうね。煮るなり焼くなり、光の好きなようにして?」
「はい……♪」
前で親指を縛られた私を、光が優しく押し倒す。
ベッドに倒れ、反動で跳ねかけた私の身体を、覆いかぶさるようにして抑え込んで。
「先輩、大好きですっ」
「私も好きよ、光」
間近に迫った光の顔と、それから、その瞳に映り込んだ私の顔も、幸せいっぱいにゆがんでいた。
私に惚れたとかいう後輩のヤンデレムーブがにわかっぽいのでお手本を見せてあげる にゃー @nyannnyannnyann
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