第12話 発明の教室
『発明の教室』があるのは本校舎から少し離れた別棟の中だった。
なんでもこの教室では爆発が起きたりするのが日常茶飯事らしい。
そこで騒音対策という名目で本校舎から離れた場所に置かれたのだ。
「やあいらっしゃい。私が室長のリメインだ。なんでも聞いてくれたまえ」
室長のリメインさんは、丸い眼鏡に白衣と見るからに研究者っぽい見た目だった。
見れば他の人たちもみんな白衣を身につけている。これが正装なのかな?
「発明の教室はその名の通り、何かを発明したい者が集まっている。魔力が絡んでいない、普通の機械を発明する者もいるが、魔道具を開発する者がやはり多い。開発と
そう説明しながらリメインさんは教室が持っている設備を色々と見せてくれた。
他の教室と比べてここは設備が充実しているように感じた。魔道具は現代人にとって欠かせないものだ。重要度が高い分予算とかも多いのかな?
「魔道具と聞くと戦うための武器を想像するものも多いが、その多くは生活に一般生活に役立つ物だ。今では一般的に普及した『魔石灯』を代表に、今は生活のありとあらゆる所で魔道具は活躍している。我々はより新しい物を、または今ある物を洗練した物を世に出すため日夜研究に勤しんでいるのだよ」
「はあ……すごいですね」
ペラペラと早口で話すリメインさんに圧倒されてしまう。
「そして……おっと、話が逸れたね。最後にこれを紹介しよう」
そう言ってリメインさんは僕たちの正面に鎮座する大きな機械を見る。
高さは僕の身長の倍くらいはあるかな? こんな大きな機械、初めて見た。見るからに高そうだ。
「これが我が教室の至宝『高速魔力演算装置』、通称『マザー』だ」
「マザー……」
この大きさ、確かに
三人ほどの生徒がそれを触って何か作業をしている。残念ながら素人の僕には何をやっているか見当もつかない。
「あれは何をやっているのですか?」
「魔道具開発においてもっとも時間と手間がかかるのは魔力回路の構築と術式計算式の演算だ。『マザー』はその構築と演算を手助けしてくれる。そのおかげで複雑な魔道具の開発時間がグッと短縮されるのだよ」
それがどれだけ凄いのかは、僕には分からない。
でもここまで力説するということは、凄い機械なんだろうな。
魔道具は興味あるけど……自分で作りたいかと言われると分からない。
見たり使ったりするのは興味あるけどね。
そんなことを考えていると、僕はある人物を見つける。
「……あれ? ゴードンさん?」
「君は……あの時の」
僕が見つけたのは二年生のゴードンさんだった。
前に学園に空いた大穴を見に行った時に出会った先輩だ。確かあの時、大穴の側にあった柱を細かく観察していて凄いなと思ったんだ。
「ゴードンさんは『発明の教室』に所属していたんですね」
「そうだね。一応所属しているよ」
「一応?」
「ああ、私は優秀じゃあないからね。それよりほら、あまり私と仲良くしない方がいい。ここに所属する気なら特にね」
どういうことですか? そう尋ねようとした僕だけど、空気が変わっていることに気づき口をつぐむ。
なんだろう……すごい嫌な空気だ。
特に何かされているわけじゃないけど、強い『拒否』の意思を感じる。
「いったいなにが……」
「――――前に会った時、言ったろう。私は『
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