第7話 パンケーキ食べたい
今日は休日。私と日菜は二人一緒に私の部屋にいる。
『それでは、次のコーナー! 今日来たのは、SNSでも話題沸騰中のスイーツ店!』
「ほえ~・・・・・・スイーツかぁ」
日菜は私の部屋のテレビを見ている。
『どうですか!? このプルプルでとろとろなパンケーキは! あぁあああ! 美味い! 美味すぎる!』
どうでもいいけど、このキャスター語彙力大丈夫か?
「パンケーキねぇ・・・・・・食べたいなぁ」
「パンケーキなら普通にコンビニとかで売ってるだろ。今からエナドリ買いに行くつもりだったからついでに買ってくるか?」
それにパンケーキだったら家でも作れるし、今度パンケーキの材料買ってきてやろうかな。
・・・・・・いや、こいつは絶対悪魔の食い物にするな。
「違う! 私は専門店でパンケーキを食べたいの!」
「パンケーキなんてどこも一緒だろ」
「うぅ・・・・・・あ! そうだ、いいところがあるよ!」
うん、こいつ私が何を言っても絶対に行くつもりなんだな。
「ということでやってきたのは学校のスイーツ店!」
「本当に何でもあるんだな・・・・・・もはや尊敬するわ」
パンケーキ食べたいなら、単純に購買に行けよ。今なら開いてるだろ。
「パンケーキ食べたい、パンケーキ食べたい!」
「随分古いネタですこと」
「ということで、いざスイーツ店に突撃~~!」
日菜はスイーツ店に向かって駆け出す。だが、
「待て!」
「どうした実ちゃん! 敵襲か! 戦闘配置につけ!」
「違う、誰も襲ってこないから。(お前の強さでは)いいか? スイーツ店って言うのはな・・・・・・・」
「スイーツ店って言うのは・・・・・・?」
日菜が唾を飲み込み、ごくりとのどを鳴らす。
「・・・・・・リア充しか立ち入ることを許されない聖域なんだよ」
「・・・・・・え?」
「スイーツ店はな、複数人の女子たちが、キャッキャウフフしながらスマホを見たりしながら食べる店なんだよ・・・・・・」
「スマホ見ながら食べるのは、お店の人に失礼なんじゃ・・・・・・」
「否! スマホは、リア充を証明するための「リア充証明書」とも言える!」
※ 実個人の感想です。
「実ちゃんはリア充にどんな偏見を抱いてるの!? それに、スイーツ店は誰に対しても平等だよ! さ、早く行こ!」
「待て! まだ心の準備がああああ!」
日菜に袖をつかまれ引っ張られ・・・・・・というより単純に引きずられ、店へと向かうのであった。
「いらっしゃいませ~、本日は何名様でのご来店でしょうか?」
「二名で」
「では席をご案内いたしますね」
(姉妹でのご来店かな? 身長とか声からして。姉妹にしては髪の色が違いすぎる気もするけど・・・・・・)
というわけで来てしまったわけだが。なかなかおしゃれな店内だな。
席に着き、水が出された。
「ごゆっくりどうぞ~」
「実ちゃんは何にする?」
「私は・・・・・・コーヒーで。ブラック」
「オーケー・・・・・・って! スイーツ店に来たんだから、スイーツも食べようよ!」
「私が甘いもの苦手なの知ってるだろ(第一話 DETAFILE参照)」
エナジードリンクとか、エナジーバーとかの例外もあるがな。
「じゃあ甘くないものを注文すればいいじゃん」
「確かにな。お前は何にするんだ?」
「私はね・・・・・・これにしようかな」
「じゃあ注文で。チャイム押すぞ」
ピンポーン
「ご注文、お決まりでしょうか?」
「はい。私は、『濃厚チーズケーキ』と、『メープルパンケーキ』で」
「・・・・・・コーヒー、ブラック。あとコーヒーゼリー、ミルク抜きで」
「か、かしこまりました・・・・・・」
(何かこの子怖い・・・・・・)
「本日は、ご来店いただきありがとうございます。今回、初めての入店ということなので、アイス追加、軽食無料、ドリンクバー無料になっておりますが、どうしますか?」
「食べるか?」
「私は大丈夫だよ」
「じゃあそれも追加で」
「かしこまりました。それでは今しばらくお待ちください」
「だってさ。じゃあ早速ドリンク取りに行こうか」
「そうだな」
・・・・・・カフェにドリンクバー・・・・・・? いや、考えるのはよそう。
「私はカル○スソーダにしました! 実ちゃんは?」
「炭酸水」
「おいしいの・・・・・・? 何かと割るなら分かるけど・・・・・・」
「ゲーム中に飲むと頭がスカッとするんだよな」
早速一口、口に含む。
あーっ! 美味い! 帰りに買って帰ろうかな。箱買いで。
「ふーん。一口ちょうだい」
「別に・・・・・・って!」
止めたが、既に時遅し。
「うーっ・・・・・・なんか苦い水を飲んでいる感じ・・・・・・」
日菜は私の口をつけた炭酸水を何の抵抗もなく平然と口に含んだ。
「か・・・・・・間接キ――」
「ん? どうしたの?」
なんだろう・・・・・・こいつの顔を見るといかに自分の心が汚れているかが分かるんだよな・・・・・・
「いや、なんでもない」
「そう? ならいいけど。それにしても早く来ないかな~」
「足をバタバタさせるな。ほこりが舞う」
「だって早く来てほしいんだもん。実ちゃん、厨房に行って「まだですか?」って聞いてきてよ」
「店からしたらいい営業妨害になるなろうな」
そういうことをしていいのは(良くはないが)ラーメン屋とか、居酒屋だけだ。
「勉強でもしてたらどうだ? 来週、期末試験だろ」
「いえ、勉強道具は一切持ってきておりません。なぜなら、勉強と遊びはしっかりとけじめをつけてやるべきだと思うからです」
「そういうセリフはきちんと勉強が出来てから言え! お前前回の試験の結果分かっとんのか!? 今すぐここの店員さんたち全員にばらしてもええんやぞ!? あぁ!?」
「実ちゃん。キャラ変わってる」
「キャラなんぞどうでもええんや!」
「実ちゃん、私と同じ出身東北だよね?(実は秋田)なんで関西弁?」
「何で私の地元知ってんのかは聞かないでおいてやる。あと別に東北出身の人が関西弁使ってもいいだろ」
「その通りでございます」
そんな感じでずっと会話をしていると、
「お待たせしました~」
「お、来たな」
「濃厚チーズケーキ、メープルパンケーキでございます、あとコーヒーゼリー、コーヒーブラックでございます」
私たちの席に次々と材料が置かれていく。
「角砂糖も一緒においておきますね。そして、アイスでございます」
「おぉ・・・・・・こんな寒いのにアイス・・・・・・」
「ごゆっくりどうぞ」
店員が厨房に戻っていくのをなぜか見届けてしまう。なぜだろう・・・・・・何か見てしまうんだよな・・・・・・
「それじゃ、冷めないうちに食うか。いただき――」
「実ちゃんストップ!」
「うおっ! 何だよいきなり・・・・・・」
「こういうのが届いたら、まずは写真を撮るの!」
「お前最初、「スマホを見ながら食べるのは店側に失礼」って言ってたよな?」
「これは例外です。で、まずは写真を撮る。いい?」
「お、おう・・・・・・」
何で写真なんて撮るんだよ・・・・・・冷めるだろ。
なんだかんだ言いつつ撮ったけどさ。
「おー、おいしそうに撮れた!」
「・・・・・・」
・・・・・・私だけ全部真っ黒なんだが。
「実ちゃんおいしい! すごくおいしい!」
「うん、文章だけのやつでそれ言うと私が食べられているように感じるからな?」
そしてもう食っとんのかい。
「では私も。うん、美味い」
コーヒーゼリーは家でたまに作ったけど・・・・・・(随分昔のことだが)家で私が作るより断然美味い。いやそれは当たり前か。素人と玄人を一緒にしたらだめだな。
日菜は美味しそうに食ってるしよ。どうやったらあんなに美味そうに食えるんだ? やっぱりああいうのって生まれつきの才能なのか?
「で、今回こんなに食べたんだからちゃんと期末試験の勉強は出来るんだよな?」
「え? そ、それは・・・・・・」
「出来るんだろうな?」
「は、はい・・・・・・」
その後、日菜は私の部屋で私がつきっきりで期末試験の勉強をしましたどさ。
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