ストレンジャー
冬
第1話
もう春になったのだろうか、こんなに寒いのであればきっとまだ冬なのだろう。
今まで散々なことがあったばかりか、創太郎は特に表情を曇らせることはなかった。
テーブルの上には二人分のティーカップが置かれており、
フレンチプレスに入れられた茶葉の中には、ゴキブリの卵が混ざっている。
「キャンプでは食料に虫が入るのはよくあることだからな」
そう言いながら彼は十分に蒸らしたフィルターをゆっくり押し下げていった。
それをぼんやり眺めながら、心の奥底から浮き上がってくる歪な感情を、茶葉を押し込むように元あった場所まで下げていった。
ここではないどこかへ、どんなに寒い場所でも良い、どんなに暗い場所でも良い、どんなに...
父さんのいない、ここではないどこかへ
ストレンジャー 冬 @88884444
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ストレンジャーの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます