とうもろこしの小噺
其の壱 とうもろこしの世界史
前のじゃがいもの時もこんな小噺を書きましたが、とうもろこしもまた、世界を動かした作物であると言えるのではないかと思います。じゃがいもは土地によっては主食の地位を得ておりますが、とうもろこしはなんと言っても米や麦と並ぶ「世界三大穀物」の一つでございます。
とうもろこしの故郷は、じゃがいもと同じ中南米。メキシコ高地が原産地とされております。農作物としての起源は、何と紀元前二千年以前にまで遡ることができるのだとか。そこから各地に広がり、大航海時代にヨーロッパへと広まっていった、という流れはすっかりお馴染みのものでございましょう。
我が国に入ってきたのは、安土桃山時代は天正年間のことと言われております。ポルトガル人の手によって長崎にもたされ、やがて雑穀の一種として我が国に定着してゆきました。これはヨーロッパ世界でも同じようでして、日本と同時期に従来育てられていた粟に代わって普及していったそうでございます。とりわけ稲作に向かない土地では、大変重宝された作物になったとか。
もっとも、当時日本で普及していた種は、今とは違い粒の固い種でございました。専ら砕いて粉にして使ったり、粥などのかさ増し用の穀物と位置づけられていたとか。今のような甘く柔らかなものは、品種改良を経て明治以後に一般的になったものでございます。
原産地はじゃがいも同様中南米ですが、やはり種としての優位性からか、今では世界各地で広く根づいた食材となっております。同じく中南米原産のトマトなども広く普及しておりますから、中南米産まれの作物はそういう宿命を負っているのかもしれませんね。
更に現代においては、とうもろこしは食材としての利用価値が年々高まっているのだとか。
このお話の続きは、この後の小噺でさせて頂くことにいたしましょう。
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