第43話 財務整理
デストラーデをはじめ、海賊の賞金首。デストラーデの所持していた財宝などを換金していく。
さらには【白い牙】団長の身柄引き渡し、その他人質の解放と引き換えに礼金を得たおかげで、財務状況は一気に好転した。
「デストラーデの賞金で5億、【白い牙】団長の身柄引き渡しで20億。その他諸々で5億手に入った」
「残る借金は、ええと……」
エクリが指を折って計算する。
「35億……!」
「へへ、90億の借金が、もう35億か……。あとひと踏ん張りだな」
終わりが見えてきたこともあり、二人の顔が明るくなる。
元々、借金返済のために無理して危険を犯していただけに、この結果は素直に嬉しいものだった。
顔を綻ばせる二人に、俺はさらなる事実を告げた。
「それなんだが、借金の心配はいらなくなったぞ」
「は!?」
「なんで!?」
驚愕する二人を尻目に合図を出すと、シシーが巨大なウィンドウに契約書の一部を表示させた。
『カノープス、グレートランサー他、大手の造船所数社からライセンス契約の話が来ました』
「ライセンス……?」
エクリが小首をかしげる。
「早い話、みかじめ料を払う代わりにうちのAIを使わせてくれって話だ」
「それって……!」
「これからは何もしなくても金が入ってくる仕組みができたってことだ」
「マジかよ……!」
驚く二人を尻目に、シシーがウィンドウにグラフを表示させた。
『一隻あたり、最低500万ゼニー、あるいは売値の5%が保証されています。カノープス他、大手造船所の売上から逆算したところ、毎月およそ1億ゼニーの収益が見込めることでしょう』
「何もしなくても、毎月1億……!」
「ヤバすぎんだろ……!」
不労所得が月に1億。これだけあれば、職員の給料やアナザーヘブンの維持費、諸々の経費を払ったとしても、まだお釣りが来る。
「でも、なんで急に……」
「俺たちはデストラーデを狩ったんだ。……ってことは、当然いろいろなやつに注目されるだろ」
ある程度話が広がっているのか、俺やライが冒険者ギルドにやってくると他の冒険者から注目を集めるようになった。
いろいろな場所で武勇伝をせがまれ、どのように戦ったのか。どうやって勝ったのか話すことが多くなった。
始めは意識していなかったが、今回の戦いはそれだけ注目が集まっていたらしい。
「他にも、うちのスポンサーになりたいとか言い出すやつらも現れた」
「アウトラインに両足突っ込んだ男に投資するなんざ、変わった連中だな……」
ライが失礼なことをつぶやく。
「名前が売れたおかげで、これからはジャンジャン金の流れが入ってくるからな。……使う金も増えれば、入ってくる金も増える」
利益が投資を生み、投資が利益を生む。
まさに好循環だった。
「速攻で借金返したら、さらに事業拡大だ」
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