第18話 建築計画
ライの協力もあって、宇宙要塞所持に必要な名義は解決した。
一番の障害を乗り越えたことで、自然と皆の士気も上がっている。
「それじゃあ、あとは工事を始めるだけね」
上機嫌で笑みを浮かべるエクリ。
というか、そもそもコイツは宇宙要塞を作ることに反対じゃなかったのか。
『現在、カイルの所持する資金は2000万ゼニーです。宇宙要塞の着工には、少なくとも200億ゼニーの資金が必要となるでしょう』
「またお金かぁ……。デブリの回収も順調だったし、お金も結構貯まったと思ったのに……」
シシーの説明に、エクリはガックリと肩を落とした。
「別に、一気に全部作る必要はないだろ」
その場にウィンドウを出現させると、宇宙要塞の見取り図と設計計画を表示させた。
「まずは手始めにAブロックから開発して、余裕ができ次第Bブロック、Cブロックと開発していく。段階に応じて開発を進めていくんだ」
始めから広いスペースを開発しては、初期費用と維持費がかさんでしまう。
そのため、利益が増えるにつれ拡張していくことで、初期費用を可能な限り削減するのだ。
「海賊から奪った宇宙船が8隻ある。今は遊ばせている状態だが、コイツをそのままそっくり宇宙要塞に移し替えれば、新しく購入する資材もぐっと減るだろ」
発電機やシールド発生装置など、宇宙要塞に必要な機器は少なくない。
だが海賊船から流用できれば、その分のコストも削減できる。
俺の計画を聞いて、エクリが目を輝かせた。
「うん……これなら作れるかも……!」
『……見積りを修正しました。宇宙要塞建設には、少なくとも40億ゼニーが必要となることでしょう』
「40億……」
またしても、エクリがガックリする。
「シシー、初月から今までの売り上げはどれくらいだ?」
『およそ3500万ゼニーです』
そこから諸経費や諸々かかった費用を差し引きすると、純粋な利益は2500万となる。
「これだけ安定して稼げているんだ。……それなら、俺たちに投資したいってやつもいるだろ」
エクリやシシーが感心した様子で頷いた。
「ペテン師、出番だぞ」
興味なさそうに話を聞いていたライを捕まえる。
「なんでオレが……。宇宙要塞の名義貸しだけじゃなかったのかよ」
「だからだろ。これから投資してもらおうってのに、名義主がいないでどうする」
名目上、ライは宇宙要塞の持ち主ということになっている。
役に立つかどうかはさておき、名義主が居て困ることはないだろう。
また、何らかの契約をする際にはライの署名が必要となるかもしれない。
「チクショウ……話が違うじゃねぇかよ……!」
俺に引きずられ、ライはコロニーに連行されるのだった。
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