異世界魔王が俺の息子に転生した件について
こめかみと
プロローグ
神歴123年。暗黒界、魔王城にて。
「……お前たち何をやっているか分かっているのか!?」
魔王である俺、ノスフェラトゥ・オレアンダーは魔王城の玉座の間で味方であるはずの四天王達と勇者エバンスに追い詰められていた。
「魔王様アンタはやり過ぎたんだよ!」
「そうだ! 戦に負けても全部俺たち部下のせいにしやがって! もとはといえば無茶苦茶な指示出すお前のせいだろうが!」
「俺なんて働きすぎて子供に顔も覚えてもらえないんだぞ!」
「後ろでふんぞり返ってるだけで楽そうだなオイ!」
四天王達が怒涛の如く文句を言ってくる。
「最恐と恐れられた魔王軍の実態がこれほどバラバラだったとは滑稽ですね」
勇者エバンスが俺たちの見事な裏切り劇に失笑する。
こいつら人間たちが四天王たちをそそのかしたのだろう。
「……言いたいことはそれだけか?」
俺はといえば既に片腕片足を無くし、魔力もほとんど残っていない。まさしく満身創痍だ。かつて地上を支配した最恐の魔王の姿はそこには無い。
確かに人使いは荒かったかもしれないが目の前の勇者が誕生してからというもの人間たちの反攻が過激化したのだ。地上の9割を支配していた我が魔王軍は瞬く間に領地を奪われ、今では3割程にまで支配を縮小させられてしまった。
そんな状況では特に力を持った四天王達には働いてもらうほかなく休みもなく戦わせ続けてきた。その我慢の限界が今来たのだろう。おかげで俺はズタボロだ。
「俺を倒して人間たちと和平でも結ぶのか? バカな、魔族と人間が和平など成立するわけが無かろう」
「今から死ぬ魔王様には関係の無いことです」
四天王の一人アドラーが極大魔法の術式を展開する。
「今から死ぬか、確かにな。だがこれで終わると思うな。俺は生まれ変わって必ず貴様らに分からせてやるぞ!」
「? まさか!?」
「遅いわ!」
最後の魔力をふり絞り倒れた身体の下で構築していた転生魔法を発動する。
身体が光の粒子で包み込まれ段々と身体が分解されていく感覚がある。
「っ! 逃がすか!」
アドラーが極大魔法を発動させるが既に遅い。破壊するのは玉座だけだ。
眩い光に包まれた身体は既に実態が亡くなり光の粒子になって天に消え始めていた。
『貴様ら覚えていろよ、俺は必ず復讐してやるぞ』
今生で最後の言葉を残して意識がブラックアウトした。
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