一等星
シヨゥ
第1話
「真っ暗な人生だからこそ輝くんだ」
彼女は顔を輝かせてそう言う。
「曇天の夜空のような漆黒に、人生というキャンバスを染め上げたんでしょ? だったらそこに輝く一等星を描くチャンスじゃない」
彼女は楽しげにくるくる回る。
「真っ白でシミひとつないキャンバスでは目立たない一等星が目立つキャンバスを君は持っているんだよ。そんなキャンバス誰もが持っているもんじゃない。それを使わないのはもったいないよ」
「そういうもんかな」
顔を寄せてそう言われ気圧される。
「そういうものだよ。さあ筆をとろうよ」
楽しそうな彼女の未来のある話。それは落ち込んでいた気持ちに染み渡るようで、
「それもいいかな」
そんなことを言ってしまう。何も具体的ではないのは分かっていても明るい未来に憧れてしまう。
「やっちゃえやっちゃえ」
まずは一等星を探すことから始めなければならないだろう。そのハードルがものすごく高いような気がするのだった。
一等星 シヨゥ @Shiyoxu
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