序-20 『奇人の箱庭』

――スンスン――うっく、えぐっ――スンスン――ひっく、ぐすっ――スンスン……




 複数の人間が鼻を啜り嘔吐く音で廊下は包まれていた。



 あれから弥堂は事態を収拾しようと嗚咽を漏らす希咲を宥めようとしたのだが、声をかけた瞬間に烈火の如き怒りを再燃させて、またギャン泣きをするループに入ってしまい、仕方なく諦めて彼女を泣きやませる役目は時間という敏腕ヘルパーに任せることにした。


 法廷院たちも同じような状態ではあったが、男のギャン泣きなど見苦しすぎて触れたくもないので、弥堂はその間の時間を利用して現在交戦中の『弱者の剣ナイーヴ・ナーシング』の構成員の一人である、白井 雅という女子生徒に聴取を行っていた。


『むきだしてくれたら、知っていることを話す』


 先程、そう取引を持ち掛けてきた白井自身の言葉通り、彼女はわりと従順に質疑に応えてきた。



「すると、なんだ。お前らの活動を指示・支援している者などいないと言うのか? 隠すとためにならんぞ」


「えぇ、そうよ。何度も言っているでしょう。私達が勝手に集まって勝手にやっているだけ」


「そんなわけがあるか。お前らに資金や報酬を支払っている者が裏にいるだろう? 吐け」


「それこそ、そんなわけがないでしょう。こんな馬鹿なことやらせてお金払う馬鹿がどこにいるのよ。誰も得しないわ」


 強めの口調で先程から詰問を繰り返しているが、白井の返答は変わらない。弥堂の望んでいるような真相は得られなかった。そのことに弥堂は大きく失望をした。


「ならば、何故こんな無駄なことをしている? 多勢に無勢で一人の生徒を責め立てることに何の意味がある?」


「意味? そんなものないわよ……でも、そうね。強いて言えばストレス解消かしら」


「なんだと?」


「いかにもリアルが充実していて普段から楽しく過ごしていそうな奴が呑気に一人歩きしてるところを襲撃して、その無自覚で幸せそうな顔を絶望と恐怖に染め上げた上で理由もなく謝罪をさせてやるのよ。最初は私も意味がわからなかったけど、やってみたら存外すっきりするのよ」


「…………」


 弥堂は言葉を返さず目を細めて白井 雅を視た。

 何の変哲もない、ありふれた普通の人間の女で、どこにでもいくらでもいる女子高校生にしか視えない。


「やだ……そんな値踏みするような視線で本人の目の前から堂々と眺めるなんて……責任とってもらうわよ」


「チッ、ゴミが」


「んっ……なんてひどいの。人間に対して向ける眼じゃないわ。でも嫌いじゃないわよ」


 弥堂はそれっきり白井に興味を失くし目線を切った。


「ねぇ、そんなことよりも聞いてちょうだいよ、弥堂クン」


「あぁ、キミの言う通りだ」


 弥堂は素早くオートモードに切り替えた。


 この白井という女は隙さえあらば聞いてもいないのにやたらと自分のことを語ってくる。どれだけ自分が可哀想なのか、自分は被害者なのだという語り口でアピールしてくるこの手のタイプは、どれだけ愚痴に付き合ってやったところで結論などは絶対に出ないことを、弥堂はこれまでの人生で培った偏見に塗れた己の価値観により決めつけてかかっていたので、以降は彼女の話はシャットアウトし返答は定型文で対応することにした。



(さて――どうするか)


 顎に手を当てて思考する。


 白井の証言は弥堂としては目論みには副わないものだった。このような活動家のような真似をしているのは、金でも貰っているからなのだとばかり考えていた。


 弥堂の展望としては、この連中を制圧して暴力で脅し、存在と活動を見逃してやる代わりに、彼らに提供されている資金をこちらに横流しするように要求するつもりであったが、学園の生徒会から予算を配分されている委員会や部活動などの公式な団体でもなく、裏側の世界から金を得ている非合法な団体でもないのであれば、『弱者の剣ナイーヴ・ナーシング』と名乗るこの連中に一切の価値を見出せない。


 このただ迷惑なだけの集団を解散させたという成果を風紀委員会にて報告をすれば多少の実績の足しにすることくらいは出来るだろうが、考えていた以上にこの連中の活動内容が低俗で卑小すぎて、やったとしても大した見返りにはならなそうだ。


(一応裏はとるが、その前に――)


 チラリと。目線だけを動かし希咲 七海を見る。


 

 彼女はまだ床に尻をつけて座り込み泣いているようだが、先程までに比べれば幾分落ち着いてきたようであった。


 まずはこいつからどうにかするかと、『スンスン、ぐすっ、ズズッ』と両手を目元に当てて鼻を啜る希咲へと、溜息を一つ吐いてから歩み寄った。



「おい、希咲」


 弥堂は彼女の前に立ち声をかけるが、彼女は答えずにスンスンやっていた。


「はぁ」と、もう一つ溜め息を吐くと制服の上着からポケットティッシュを取り出し、無言で彼女の顏の前に差し出してやる。希咲はそれを無言でガっと乱暴に奪い取ると、弥堂とは反対側に身体ごとクルッと回って「びーー」と鼻をかんだ。


 しかし、そのまままたスンスンやり始めて立ち上がる様子を見せないので、弥堂は面倒そうな顔をしつつ彼女の正面側へ回り込んでから、希咲の顔の前に左手を差し出す。



 希咲は数秒その差し出された手を不機嫌そうにじーっと見つめてから自身の左手を緩慢な動作で振り上げる。


 手を叩き落とすくらいで気が晴れるのなら別にいいかと、弥堂は黙ってその様子をみていたが、希咲は手を振り上げたままでまたも数秒ほどじーっと弥堂の手を見てから、その手をゆっくりと降ろし弥堂の掌に自身の左腕の手首を乗せて自分は弥堂の手首を掴んだ。


 弥堂は拍子抜けはしたもののそのまま彼女の腕を引き上げてやる。こちらに体重を預け過ぎることもなく、希咲は引っ張り上げられる力を僅かばかり利用して自分で立ち上がった。


 バランスを乱す様子が微塵もなかったのですぐに彼女の手を解放してやると、手の離れ際にこちらの左手をぺちんと叩き落としてきた。特にそれを咎める気もなかったのだが、彼女はこちらの顔を少し赤くなった目で威嚇するようにじとっと睨んでくると、ややあって身体の向きごと変えてぷいっと顔を逸らした。


 よく見るとこちらからは陰になるような位置で後ろ手でスカートの中に指を差し入れていた。隠し武器でも取り出す気かと一瞬弥堂は警戒したが、どうやら床に直接着けていた尻や下着についた埃を見えないようにさりげなく指で払っているだけのようであったので、危険はなしと彼女から目線を切った。



 結局何で泣いていたのか、機嫌は直ったのか、彼女の気持ちはさっぱり弥堂にはわからなかったが、『まぁ、こいつはもうこれでいいか』と切り替えることにした。



 希咲の方も希咲の方で、内心で必死にメンタルを切り替えようとしていた。


(うぅ……情けない、恥ずかしい……こんなとこでこんな奴らの前で泣くとか……)


 思えば『弱者の剣』とかいうこの連中に絡まれてから調子を狂わされっぱなしであった。ここ数年でそれなりに精神的にも強くなり多少大人になったつもりであったが、今までの苦難とはあまりにも種類の異なり過ぎる出来事が、突発的に連続して起こったものだから完全に翻弄されてしまった。こんな風によく知らない人たちの前でみっともなく泣くのは何年ぶりであろう。


 そもそもその前に、白井の身の上話を訊いて一緒になってびーびー泣いていたのだが、彼女的にそれはノーカンのようであった。



 兎も角、想定外の出来事に弱いのは自分の欠点だと改めて自覚し反省するとしても、問題はこのむっつり顏のクソ野郎だ。


 チラッと相手に悟られないように弥堂へ目線だけ向ける。


 このクラスメイト兼イカレ風紀委員兼親友の好きな人という微妙に近くも遠くもない関係性の昆虫男には、盛大に文句を言ってやりたいところではあるが、それをしてしまえば先程の事実を認めてしまうことになる。


(だいじょうぶ……セーフ。セーフよ、七海。だってもう舐められたとこ乾いてたしそれに拭いたもん。だから論理的にも科学的にもセーフよ)


 勿論その前だって自分は何も見てはいないので絶対にセーフなのだ。だって見てないから。


(こんなことで意識して騒いでるとかバレたらナメられるわ。大体中学生じゃあるまいし、別に関節キスくらいで……いえそれは違うわよ七海っ。拭いたし乾いてたから、かかっかかか関節キッキキキキッ――でもないからっ! てか、関節キスだとしてもちょっとあれは生々しくない⁉)


『関節ベロチュー』という新たな概念との邂逅を果たしてしまったうら若き乙女はキッと再燃した怒りをこめて弥堂へ向ける眦を上げる。いつもと変わらず何事もないかのような無表情をしていて余計に腹が立つ。歯ぎしりでもしそうなくらいに睨みつけていると、こちらの剣呑な空気に気付いた弥堂も目を向けてきてバチッと目があった。


「ノーカンだからっ‼」


「なにがだよ」


 ブワっと腕を振り上げてからビシッと指を彼の眼前に突き出してノーカウントである旨を伝えるが、希咲に何が起こっているのかわかっていない弥堂にはそもそも最初からノーカン(なかったこと)なので柳に風だ。


 その余裕ぶっているように希咲からは見える弥堂の態度が何故だか無性に気に入らない。


(なんなのよ。なんであたしだけこんなに大騒ぎしなきゃなんないわけ。あたしやっぱこいつ嫌いだわ)



「ふん、そうやってこれ見よがしに泣いてみせたり怒ってるフリをしてみせたりして男の気を惹くのね。節操のないメスだこと」


「あんだとぉ。あんたにだけは言われたくないわよっ」


「なによ。紅月クンという人がいながら同じクラスの男子にまで色目を使うなんて私にはとてもマネできないわね。少しでも女として恥じ入る気持ちがあるのなら紅月クンと別れなさいよ」


「はぁ? だから別れるも何も付き合ってねぇって言って――ちょっと待った。あんた今、紅月くんって言った? んのやろぉ、本性出しやがったな。結局聖人まさとがらみか、あんたも!」


「あなたみたいな淫乱は彼にはふさわしくないのよ! 紅月クンを惑わせる性悪めっ‼」


「淫乱も性悪もあんたの方でしょーがっ! こんにゃろーひっぱたいてやる!」



 少しは落ち着いたと思ったら、またすぐにいがみ合って騒ぎ出す女どもが『にゃーにゃー』掴み合っている姿に、弥堂は侮蔑の視線をぶつけて放置し、床に座り込んで男同士で身を寄せ合って励まし合っている気持ち悪い法廷院以下3名の方へと歩く。



「なんだい? 言っておくけど今日はもう無理だよ。オーバーキルもいいとこだよ。正直早く帰ってシャワーを浴びたいね」

「まったくですよ、代表。僕なんかはすでに泣き止んでいることに自分で自分を褒めてあげたい気分です」

「死体蹴りとかやめてくださいよ? 弥堂君。今日はもうお開きにしましょう」


 辛い現実に打ちのめされた彼らはすっかり意気消沈をし、どこか投げやりになっていて、弥堂が近づいてきたことに気付くと口々に勝手なことを言ってきた。


「じゃあ、そういうことだから狂犬クン、また今度一緒に遊んであげるから今日のところは――おやぁ……?」


 自分たちの方へと近づいてくる弥堂に対して、本日は解散をする旨を伝えるが、弥堂はそのまま彼ら3人の脇を通り抜けると壁際で立ち止まった。

 弥堂は呆けた彼らの視線を気にすることなく、直立したまま壁に右の拳を押し当てて一拍を置くと――


――ズダンっと床を踏み抜くような音ともに押し当てた拳をコンクリートの壁にめり込ませた。



 パラパラと拳が抉った部分からコンクリの破片が落ちていく光景を間近で見ながら法廷院たちは絶句し、少し離れた場所で揉み合っていた希咲と白井は、弥堂が床を踏み鳴らした際の大きな音に驚き、お互い抱き合ったままで硬直した。



「おい、喜べクズども。お前らの大好きな『公平』とやらをやってやる」


「――へ?」


 言われたことが理解できず呆けたまま法廷院は聞き返す。


「俺が強いのは不公平なんだろう? 安心しろ、俺がお前らを強くしてやろう。手始めにお前らにも『コレ』が出来るようにしてやる」


「……えーと、それはちょっと無理なんじゃあ……」


 コンクリから拳を引き抜いて自分たちの前で手首をプラプラ揺らして見せてくる弥堂に、西野が恐る恐る返答した。


「無理、か。そうだな。俺も最初に『コレ』を見せられた時はそう思った。だが、こうして今出来るようになっている。安心しろ」


「ひぃぃ」


 とても人に安心を促すような眼つきではなかったので本田は怯えた。


「少しコツが要るんだ。爪先から捩じりながら足裏で床を踏み抜いて生まれた力を、各関節を回しながら体内でうまく流して拳まで持ってくるんだが……何を言っているかわからないだろう? 体内で力を流すということがどういうことなのか――これは体感出来ないとまるで理解が出来ない。俺もそうだった。だが、な。俺にそれを理解させる為に俺の師が教えてくれた画期的なコツがあるんだ。それがなんだかわかるか?」


 表情は変わらないがどこか凄絶な雰囲気を放ち問いかける弥堂に、3人は言葉が出ず黙ってプルプルと震えながら首を横に振った。


「なに、難しいことじゃない。力を徹すということがわかるまで『コレ』をひたすら自分の身体にぶちこまれ続けるんだ。師は云った。『死にたくなければ死ぬ前に出来るようになるのです』ってな。それがコツだ。俺が師にやってもらったことを、今度は俺がお前らにやってやる。公平で平等だ。どうだ? 嬉しいだろ?」


 弥堂が当委員会は非常に公平性を重んじる団体であることを彼らに伝えると、彼らは涙ながらに許しを乞うた。「無理だ」「死んでしまう」などと口々に叫んだ。


「なんだ貴様ら。さっきと言っていることが違うじゃないか。公平がいいんだろ? 平等に同じ数だけ拳を打ち込んでやる」


「キミの言ってることは無茶苦茶だよ! 誰もが同じように出来るわけないだろぉ⁉」


「そうだな、俺も最初はそう思っていた。だが、俺は出来た。俺一人ではサンプル数が足りない。だからお前らを使って実験をしようと思う。修練の過程でお前らが死ねばお前らの勝ちだ。お前らの言い分が正しかったことになるからな。その時は俺は反省をしてもう二度と弱い者に修練を無理強いしないと約束しよう。つまり以後弱者が無理強いされずに救われるわけだ。それはお前らの活動方針に沿うものだろう? 」


「くっ――なんて暴論っ! 自分がやる分には楽しいけど他人にやられるとこうも腹が立つとは」


 滅茶苦茶な論理を展開する弥堂に対して法廷院は悔しそうに呻いた。


「反論がないということは承諾したということだな? では始めるぞ」


「ままままま待って! 待ちたまえよ、狂犬クン! それは無理だよ! だってそうだろぉ⁉」


「それは拒否をするということか?」


「当たり前だろぉ⁉」


 慌てふためく法廷院の両脇にいる西野と本田も全力で拒絶の意思を示した。


「そうか。せっかくこの俺が譲歩してお前らのやり方に合わせてやったというのに拒否をするのか。ということは、俺のやり方でやっていいということになるな? まぁ、俺もお前らのようなグズに出来るとは思っていないから別に構わんがな。どうだ? 俺は優しいだろう? 」


 そう言って弥堂は手近な場所にいた西野に無表情のまま口の端だけ持ち上げて笑ってみせ、同意をするように圧力をかけた。


 西野はその弥堂に向って卑屈な笑みを浮かべ「あはは……」と曖昧な声をあげた。


「笑ってんじゃねえよクズ」


 スッと表情を落とした弥堂が、パァンと乾いた音を立てて西野の頬を平手で張った。


 西野は「あぁっ――」と情けない悲鳴をあげながら床に倒れ込むと叩かれた頬を抑えた。そこに彼の仲間の二人が心配そうに駆け寄る。


「では、優しい俺が不公平にやってやろう。そうだな……お前らの中で一人だけ見逃してやる」


「えっ?」


「さっきあそこの女から一通り情報は得た。それが正確なものであるかどうか確かめるためにお前らにも同じ質問をする。だが、それは一人で十分だ。面倒だからな。だから一番最初に俺が満足をするような情報を提供した者一人だけを助けてやる」


「なっ、なんてひどい! 一人だけなんてそんなの不公平じゃないか!」


 左手の親指を立てて自身の後方にいる白井を指し示しながら通告する弥堂に法廷院たち3名は口々に抗議した。


「そうだな、結果は不公平かもしれん。だが機会は平等だ。誰でも得られる資格はある。ただし、早い者勝ちだがな」


 そう無茶な諭し方をする弥堂に彼らは声を大にして人権の大切さを訴えたが、


「わからないか? つまり俺はこう言っているんだ――助かりたければ仲間を売れ、とな」


「なっ――」


 その言葉に彼ら3人は絶句した。



「ひ……ひどすぎる……」


 その様子を後方で見ていた希咲は呆れるとともに、やはりあの男と味方的な関係でいることに強い恥じらいを覚え、たまらず顔を両手で覆う。


「ステキ……なんてドSなの……」


「あんた聖人が好きなんじゃないの?」


「ふふっ、それはそれ――これはこれよ」


「クソ女が」


 そして自身の隣でそれをうっとりとした目で見つめる白井に対して、自身の顏を覆う指の隙間からチラっと覗きながら貞淑さを問うと、あまりに都合がよく節操のない言葉が返ってきたので軽蔑の眼差しに変えた。




「くっ、なんて悪辣で横暴なんだ。だけど甘くみないでほしいね。確かにボクらは弱いけれどその分仲間同士の結束は固いんだ! 白井さん以外。自分が助かりたいからって仲間を売るような奴は一人もいないよ! 白井さん以外。だってそうだろぉ⁉ 西野君! 本田君!」


 圧倒的に不利な状況の中で突きつけられた悪辣で非人道的な要求に、法廷院は悔し気に顔を歪めながらもしかし、自分たちは決してそのようなやり方には屈しないと自らの意思を表明し仲間たちにも同意を求める。だが――


「――僕は命令されただけなんです! 本当はこんなことしたくなんてなかったんだ!」

「――お願いします! なんでも喋ります! 僕だけは許してください!」


「あんれぇ~?」


 しかし、自身の両サイドに居たはずの仲間たちはすでに弥堂の足元に縋りついていた。結束の固い信頼できるはずの味方は、仲間を売ることを秒で決断し助命を嘆願していた。

 法廷院はチラっと高杉を見遣った。彼はまだ気絶して床に倒れ込んでいた。


「ふぅ、やれやれだよ。まぁ、これも人の持つ弱さだよね。仕方ない、ボクは許そうじゃないかぁ」


 法廷院は諦めたように嘆息すると車椅子に座り直し、背もたれに自重を預けた。



「僕たちに背後団体なんていません。ここにいるメンバーで全員です!」

「ずるいよ西野君、それ僕が言おうと思ってたのに!――あ、ちなみにお金とかもちろん貰ってないです、自費で活動というかそもそも予算が必要になるような大層なことはやってません。放課後に適当に誰かに難癖つけるだけの活動です」

「おい、本田っ。今僕が喋ってるんだぞ!――あ、ちなみにこの本田は過食症とか言ってましたが只の自称です。医者には単なる食べすぎだと診断されてます」

「ひどいよ! 何で言うのさ! そういう西野君だって、さも高尚な意識高いビジネス書的なのを読んでるのをクラスで馬鹿にされたみたいな体でいつも語るけど、バレて晒されたのはエロ小説だろ⁉ 『メスガキ』とか『わからせ』とか品性を疑うね! なんで教室で読んじゃったのさ!」

「仕方ないだろう⁉ 難しい本買い集めすぎて何から何まで全部積んじゃってるんだよ! 時間がいくらあっても足りないんだ!」



 自分だけは助かりたい一心でお互いの恥部を暴露しあい醜く仲間割れを始めた目の前の二人に弥堂はまたも失望した。白井から得られた情報と大差がなかったからである。視線を法廷院の方へと向けてみると彼は無様に味方同士で蹴落とし合う同志二人を微笑ましそうに眺めていた。


 こいつを尋問して吐かせるべきか――と弥堂が思考を巡らせたところで法廷院の目がこちらを向き、


「あぁ、ボクから聞いても無駄だよ。彼らが言ったことで全部さ。キミの望むような新しい情報は残念ながら与えてあげられないね」


 先回りしてそう返答してくる。


「…………」


 法廷院の言っていることをそのまま信用するわけではないが、何か隠していることがあったとしても、今日彼らと対峙してみてわかった。彼らはただの高校生だ。例え裏があったとしてもどうせ大した脅威にはならないだろう。


 弥堂はそのように見切りをつけると同時に彼らへの興味を失い、急速にやる気もなくなった。こいつらを捕まえたところで、得られる評価から書類作成などにかかる手間を差し引いたら赤字になるのではないかと気が重くなる。


 まともに対処をするにもやっていることがしょぼすぎて、まず一発退学なんてことには出来ない。だとすれば解散するよう指導をしてその後定期的に監視をすることになるのだが、とてもではないがこんなチンケな連中にそんな時間と労力は割けない。

 よって、なかったことにして放置しておくのが最も効率がいいと考える。こうしてつまらない小悪党が蔓延り続けるのだろうと世の無常を想った。



「お前らもう帰れ、用済みだ」


「えっ? 僕達帰れるんですか⁉」

「誰も死ななくていいんですか⁉」


 突然今までの強硬な姿勢を翻した弥堂に西野と本田は驚く。半ばやけくそになりながら洗いざらい聞かれてもいないことまで必死に喋っていたので若干疑心暗鬼だ。


「ちょっと待ってくれよ、狂犬クン。そんな風に僕たちに価値がないみたいな言い方はないんじゃないかなぁ? 『差別』する気かい?」


「代表⁉」

「ちょっと何余計なこと言ってんですか⁉」


 まさかの身柄解放に不満そうな態度を見せる自分たちのリーダーに西野と本田はさらに驚いた。


「価値がないどころかお前らは相手にするだけ労力の無駄だ。失せろ役立たず」


「なんてこった。役立たずだって? なんてひど――「ちょっと待った」――んん? 何だい希咲さん?」


 またも口論を始めそうな弥堂と法廷院の会話に希咲が口を挟んだ。


「それならあたしの方から質問させてもらうわ。てか、一度訊いたけど答えてもらってないことがある」


「はーん? なんだっけかなぁ。聞かれたからって簡単に答えるだなんて思わないでほしいなぁ」


 挑発的な言葉とは裏腹にその顔は構ってもらえてうれしそうだ。



「うっざ……まぁいいわ。ねぇ――あんたがさっき言ってたあたしが『過保護』って、あれなに? 誰のこと言ってるの?」


 彼らと対峙した最初の方で話題にあがりそのままうやむやになっていた件だ。まるで自身の親友である水無瀬 愛苗のことを知っているかのような口ぶりで話していた法廷院の意図がずっと気に掛かっていたのだ。


「ふふぅ~ん。なんのことだっけかなぁ。ボクそんなこと言ってたかなぁ」


「あんた、また惚け――「はったりですよ」――は?」


 意地の悪い顏で惚けようとした法廷院に希咲が苛立たし気に言い募ろうとしたが、その言葉を言い切るよりも早く、法廷院の仲間である西野が白状した。


「代表のよくやる手口なんです。あぁやって知っているように仄めかして、相手がうっかり誰かの個人名を出したら『そうそう、その〇〇ちゃん』みたいな感じで」


「はぁっ⁉」


 まるで詐欺師のようなやり口に驚きつつも拍子抜けした。


「ちょっと西野君、困るよぉ。もうちょっと引っ張りたかったのにぃ」


「勘弁してくださいよ、代表! せっかく見逃してくれそうなのに何でまた煽るんですか⁉」


「だってさぁ、なんか悔しいじゃん? ボクらは弱いから勝てないのは仕方ないけれど、相手にする価値なしみたいに無視されるのは腹立つじゃん?」


「なにめんどくさいこと言い出してるんですか! 今日はもうやめときましょうよ」


「待ちなさいよ。まだ、ちゃんと答えてもらってないわ」


 西野と内輪揉めをしている法廷院に強くそう問いかける。希咲のその眼差しの真剣さに法廷院は居住まいを正した。


「そうだね、真面目に答えようか。――希咲さん。ボクはキミのいうその誰かを知らない。少なくとも今は、まだ、ね」


「……なんか含みのある言い方ね」


「他意はないよ。言葉通りそのままの意味さ。知らないしボクの方からそれを積極的に知ろうとするつもりもない。最初に言ったとおりに元々ボク個人としてはキミに害意はないんだ。今日は白井さんがさ、どうしてもキミに痛い目を見せたいっていうから仕方なくこういった形になったんだ。本当だよ、信じてほしい」


「…………わかったわ。とりあえず、それで納得してあげる」


「やれやれ疑り深いねぇ――と言いたいとこだけど、そうしてくれると今回は助かるよ」


 完全に疑問が晴れたわけではないが一旦希咲と法廷院との間で折り合いがつく。この連中は『強い者』を標的にしているようだし、そうであるならば間違っても、小動物のように可愛らしい自身の親友である水無瀬 愛苗みなせ まなが、彼らの標的になることはまずないだろう。

 そのように希咲は納得をすることにした。



 調停に至った希咲と法廷院のやり取りに白井がチッと舌を打った。


「おい、この騒ぎはお前が原因なのか?」


「え? なに? 弥堂クンもしかして私に興味あるの? やだ……そんないきなりガツガツこられても、その、困るわ……」


 まだ僅かに風紀委員の職務に対する責任感が残っていた弥堂は、希咲と法廷院の会話から『白井が原因である』という部分を聴き咎め、本人に詰問をする。すると唾でも吐き捨てそうな顔で悪態をついていた地味女が急に頬を赤らめもじもじとし始め、何やらめんどくさいリアクションをした。


「お前になど興味があるか。いいから訊かれたことにだけさっさと答えろ」


「なによ、自分のしたいことだけさっさと済ませようというの? そういうのも嫌いじゃないけれど、でもその前に私たちの関係性をはっきりとさせるべきだと思うわ。私のコトが知りたいのなら貴方はそれ相応の努力を私に見せるべきよ」


「ほう、随分と強気な態度だな。なんならお前の身体に丁寧に訊いてやることもできるんだぞ」


「んっ……いきなり身体を要求してくるだなんて……強引なのね……でもその前に貴方の口からはっきりと言うべきことがあると思うの。都合のいいだけのオンナになんて簡単にはなってあげないわ」


「お前がどうなるかは俺が決めることだ。お前の都合など知ったことか」


「んんっ……なんて勝手なヒトなの……嫌いじゃないわ」


「あんたたち会話が成立してる風な顔して喋ってるけど、お互い言ってること一個も噛み合ってないからね」


 自分の言いたいことだけを言い、聞きたいことしか聞こえない。そんな弥堂と白井のあまりに酷いコミュニケーションを見兼ねて、希咲は自分にも関係のある内容でもあるし、話を取り持ってやることにした。



「えっとね、弥堂。その、あたし的にはわりとよくあることなんだけど。なんていうか、白井さんが聖人のことが好きみたいでそれで――」

「聖人? ……あぁ、『紅月ハーレム』案件か」

「は? なんであんたまでその不快な呼び名知ってるわけ……?」


 他人のことに一切の興味がなさそうな弥堂にまでハーレムの噂が知られていることに希咲は大変な羞恥を覚えた。


「知っているもなにも、それ絡みの揉め事は多いからな。風紀委員会の定例会議でも定期的に議題にあがる」

「うそでしょ……イヤすぎるんだけど……」

「あまり派手にやりすぎんことだな。俺は興味ないが委員の中にはハーレムを解散させるように指導すべきだという意見を挙げる者も少なからずいる」

「解散もなにも実際はハーレムなんかじゃないのよ。あたしだって別に聖人と付き合ってないし、絡んでくるやつらにも何度も言ってるのに――」

「お前らの痴情の真相などどうでもいい。事実かどうかはこの場合さして重要ではない」

「はぁ⁉ なんなのよそれ!」

「それが事実だろうとそうでなかろうと、実際にそれが事実であるという通説が存在することが前提となっている上で、こうしていくつも問題が起きている。俺たちはその起こった問題に対処するのが仕事だ」

「それは、まぁ……そうだろうけどさ……」


 実質的に無関係である風紀委員にまで迷惑をかけていることには申し訳なさを感じつつも、やはり事実無根なことで自分が被害を被り続けている理不尽さには納得も出来ず、希咲は唇を尖らせる。


「もしも、先に言った――お前らを解散させるべきだという意見が通り、俺にその仕事が振られたのならば、俺はそれに対処をしなくてはならなくなる。例え俺自身が興味を持っていなくとも、お前らにとって事実ではなかったとしても、だ」

「あんたってなんか達観してんのね。仕事に疲れたおじさんサラリーマンみたい」

「それが役割だからな。まぁ、実際お前らのそのハーレムとかいう如何わしいものを解散させたところで解決するとは俺には考えられん。実に無駄な上に下らん仕事だと思うから、会議で意見を求められれば風紀委員としての関与に反対はするがな」

「へぇ。あんたって考えるのめんどいからとりあえず全員逮捕ーって感じかと思ってたわ」

「そんなわけがあるか」


 先程までの弥堂の仕事ぶりを見ていて、疑わしきは粛清という過激派脳筋かと思っていたので希咲は意外な印象を受けた。


「ちなみに、あんたはどうやって解決するのがいいと思う?」

「ふむ、そうだな……先のお前の話を聞く限り、襲ってくる連中に事実を訴えても無駄なのだろう? ならばハーレム解散を宣言したところでそれは変わらんだろう」

「そうね。実際あたし小学校の時からずっと否定してるのに誰も信じてくれないわ」

「今すぐに思いつく限りでは方法は二つだ」

「ふむふむ」


 わりと真面目に考えて答えてくれる弥堂に希咲も、そういやこいつと普通に会話するのこれが初めてかもとか考えながら、ちゃんと話を聞く態勢をとる。


「一つは、紅月 聖人あかつき まさとを退学にすることだ」

「は?」

「腐った実に虫が集って来るのならば、その実を捥いで捨ててしまえばいい。これが一番楽で手っ取り早いだろう」

「腐った実はあんただ、あほっ」

「しばらくは学園に残ったお前らに絡む者もいるかもしれんが、本人が目に入る場所にいなければいずれ風化するだろう。ガキの恋心などそんな程度だ」

「あんたのろくでもなさそうな恋愛観は若干気になるけど、とりあえず却下よ」


 早くも真面目に聞いて損したとばかりにジト目で案を棄却する。


「そうか、では二つ目だ」

「なんかもう聞くまでもなさそうだけど、とりあえず言ってみなさい」

「安心しろ、こちらの方が確実で即効性もある」

「むしろもっと不安になったんだけど」

「お前らの中の誰かが紅月の子を孕んで出産を理由に退学すればいい。家庭を壊しにいく覚悟まで持った奴はそこまで残らんだろう」

「思ってた以上にクソね! んなこと出来るわけないでしょうが!」

「だが、これが効率がいいぞ」

「効率で妊娠ができるか! あほ!」


 コンプライアンスの欠片もない方法論に、希咲はこの男にどうやって女性の尊厳という概念を教えるか悩む。


「では逆にこいつらを妊娠させるのはどうだ?」

「はぁ?」


 顎をしゃくって白井を指し示す弥堂の言葉に希咲は眉根を寄せる。


「お前らが妊娠したくないのであれば、紅月に懸想している女の誰でもいいから紅月の子を仕込ませればいい。うまくいけばやっかみの矛先もそいつに押し付けられるぞ。どうだ?」

「どうだ?――じゃねぇわよ、あほんだらっ。とりあえず気軽に女子高生を妊娠させようとするのやめなさい」


「黙りなさい希咲 七海! これは私と彼の問題よ。口を挟まないでもらいたいわね」


「あんたが口を挟むな。ややこしいから」


 黙って聞いていたと思ったら突如鼻息荒く白井が会話に割り込んできた。


「つまり弥堂クン、貴方はこう言いたいのね。私に他の男に抱かれて来いと」


「別にお前じゃなくても構わん。紅月に劣情を催している女などいくらでもいるだろう」


「他の女の話はしないで! 今貴方の目の前にいるのは私なのよ‼」


 白井さんは血走った眼で激昂した。弥堂はめんどくさそうな顔をした。


「じゃあお前で構わん。紅月が欲しいのだろう? どうなんだ」


「そんな迂遠な言い方しないで、はっきり命令すればいいじゃない」


「そうか、ではお前ちょっと行って紅月に抱かれてこい。しっかり孕めよ」


「くっ、ついさっき私を口説いたその口で他の男と寝て来いなんて言うの? ひどいわ……でも命令なら仕方ないわね、いいわ、貴方の言う通りにします。その代わり私のこと捨てたら許さないわよ」


「それは紅月に言え」


 何言ってんだこいつと思いながらも一応本人の了承はとれたようなので、弥堂は面倒だからと白井の言葉の細部は流し希咲へと向き直った。


「おい、話はついたぞ。これで解決するだろう。感謝することだな」


「嘘でしょう……」


 頭のおかしい男の頭のおかしい提案に頭のおかしい女が乗ったという事実に希咲は絶望した。嘘だと思いたいし、普通に考えればそんなことする女などいるわけないのだろうが、何せ白井だ。本人の申告では既に紅月に対して毎朝常軌を逸した痴女的行為を働いているらしい。彼女ならやりかねない。


 こんな頭のおかしいこと絶対に阻止しなければならないが、白井を説得しようとしても話が通じるとは思えない。ましてや彼女を近づけないように紅月に張り付いてガードするなど以ての外だ。

 そんなことをしたらどうせ、自分の男に一切女を近づけないようにするうざい彼女というレッテルを貼られて、より一層自分へとヘイトを集めることになるに違いない。戦況は希咲にとって絶望的だ。


 こうなったら紅月の朴念仁ぶりに賭けるしかない。今まではさんざっぱら彼の鈍感さに苛立たされてきたが、かくなる上は奴の鈍感主人公補正でどうにか躱してもらうしかない。それでうまくいく気はまったくしないが、自分が最前線に立って対処するのも絶対に嫌だ。


 とはいえ、厄介な友人ではあるが、小学校来の付き合いだ。いくらなんでも高校在学中に幼馴染が同じ学園の女子を妊娠させて――などという醜聞は見たくない。


 なにより彼の父親の実家はどこぞの由緒正しい旧家である。聖人の父上殿は色々とやんごとなき事情で長男でありながらその実家を半ば出奔している状態らしい。ただでさえ跡目のことですでにかなりの緊張状態にある中、その息子の聖人がどこぞの馬の骨とも知れぬ痴女との間に学生の身分で軽率に子など作れば――その先は考えたくもない。


 紅月家、天津家、蛭子家。

 幼馴染たちの家はどこも古くから関わりのあるややこしい血筋であるようで、希咲は唯一幼馴染グループの中では、それらと一切関係のない一般家庭の出身なのだが、これまでにすでに何度か彼らの『ご実家』関連の揉め事に巻き込まれたことがある。


 その『ご実家』関連の方々はとにかくもう洒落が一切通じない。現実離れした常識の中で長年栄えてきた彼らが時たま持ち込んでくる、常識離れしたトラブルだけでもう食傷気味であるというのに、こちら側から向こうに火種を放り込むなど言語道断だ。全力で関わりたくない。



(あれ? これってもしかして、この場にいたからってあたしも共犯になったりしないわよね……?)



「ではこうしよう。まず希咲が奴を呼び出す。ノコノコとやってきた所を俺が不意打ちで無力化をし連れ去る。そのまま密室に放り込むからお前が犯せ」


「待ってちょうだい。向こうから手を出したっていう既成事実が欲しいわ。私も一緒に攫われたって体にして、裸で二人まとめて密室に監禁するっていうのはどうかしら」


「そうだな、奴も男だ。数日もあればお前程度の女にでも欲情して襲い掛かるだろう」


「確実に一度で着床にまで持ち込みたいわね。排卵日の調整が必要よ。半月ほど待ってちょうだい」


「いいだろう。その間に俺が場所と食料の備蓄など準備をしておく。必要な物資があれば事前に申告しておけ」


「了解よ。それなら――」



 頭のおかしい男と女が早くも具体的かつ詳細に犯行計画を詰め始めており、そしてその計画に自分も勝手に組み込まれていて、希咲は血の気が引いていくのを自覚した。


「もうやだ……この学園、頭おかしいのしかいない……」


 

 そもそもそんな話してなかったじゃん、どうしてあたしが襲われたかって話だったじゃん、なんで聖人を襲う話になるわけ? と、眩暈がするような徒労感に苛まれる。

 七海ちゃんは無性に親友の愛苗ちゃんに会いたくなった。



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