日記

郷野すみれ

日記

2022年3月30日


 懐かしいものを見つけた。


『2015年6月4日


「先生! 私、日記をつけることにしたんです!」


 私は国語科資料室に行って、仲の良い学校司書さんに報告した。司書さんは、私が話しかけると、作業していた手を止めて顔を上げて笑顔を見せた。


「あら、そうなの? どうして?」


 司書さんの笑顔には人を落ち着かせる何かがあると思う。私もそんな女性になりたいなあ。


「たまたま家から、日記を書くのにちょうど良さそうな素敵なノートが見つかったんです。だから、これに書いていこうかな〜って」


 私はまだ中身が真っ白なノートを掲げる。司書さんは懐かしそうに目を細めた。


「私も沙織ちゃんみたいな年頃に、日記を書いていたわよ」


 目をパチクリさせて、首を傾げる。


「そうなんですか? 今も手元にあるんですか?」

「うん、あるよー」

「今は書いてますか?」


 私が聞くと、司書さんは苦笑いをした。


「日記ってどうしても三日坊主になっちゃうよね」

「ここで宣言したので、三日坊主にならないように頑張ります!」


 私は拳をぐっと握りしめて威勢よく言った。司書さんはそんな私を微笑ましそうに見つめた。


「日記は手元にあるけど、というか実家に置いて置けないからこっちにも持ってきたけど、読むとなかなかの黒歴史だったりするから気をつけてね」


「はーい」


 今日はこんな話を司書さんとした。1ページ目の最初はこの出来事を書こうと思った。

 果たして、この日記は黒歴史になるのだろうか。お楽しみに。


 』


 という懐かしい記述を過去の日記帳を引っ張り出して見つけた。


 そこそこな黒歴史だが、今も続いているので三日坊主ではないだろう。


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日記 郷野すみれ @satono_sumire

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