放浪剣士の適当な旅路

むーこ

第1話 新天地

「こんにちは。通行証を見せて下さいね」


火山灰から作り出された強固なコンクリートによって築かれた堅牢な関門の門前。

街道を渡る乗合馬車から降りたウォンジュンはにこやかに話しかけてくる門番の男の指示に従い、懐に入れておいた通行証を差し出した。


「どうも。ではお名前をよろしいですか?」


「クォン・ウォンジュン」


「ご出身は?」


「デハンミング」


「ご職業を」


「軍人です」


「この国への滞在の目的は?」


「観光です」


「確認できました。良い旅路を」


ニコニコと笑みを浮かべたままの男から通行証を受け取って一礼した後、ウォンジュンはまだ見ぬ新天地に期待と不安を織り交ぜながら異国へと続く関門を潜った。

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